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想いを風に飛ぶ千速と受け止める重悟、国民的「推し活」映画第29弾『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』ネタバレ感想

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『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』を観た。

 

  • 国民的「推し活」映画、今年は萩原千早

本作は『劇場版名探偵コナン』シリーズ第29作目。近年のコナン映画は「推し活時代」に相応しく、「今年はこの人気キャラクターを掘り下げるのでヨロシク!」というノリの「キャラ推し映画」と化している。それに加えて「毎年お決まりのスクリーン映えする派手なアクション」と「最高でもキスまでに留まる範囲でのピュアな恋愛描写」は若いカップルや家族連れにも安心の作風で、正に年間トップクラスの興行収入を叩き出す「お祭り映画」「イベントムービー」という表現がピッタリのシリーズだ。毎年、日本各地(偶に海外も含む)の観光名所で壮大なアクションを繰り広げて、コナンと犯人たちにメチャクチャに破壊されることを地元住民が歓喜する様子も『ゴジラ』シリーズ同様の「国民的映画」の風格を感じさせる。そんなコナン映画の今年の「推しキャラ」は神奈川県警交通機動隊の萩原千速で、箱根や横浜など神奈川県の名所をメイン舞台に謎の暴走黒バイク「ルシファー」とのバイクアクションが描かれた。

 

 

  • 脚本は相変わらず、でもラストで満足度上昇

脚本は相変わらずツッコミどころ満載でとっ散らかっている。各キャラクターの箱根と横浜の移動速度はご愛嬌にしても、推理パートのプロセスも謎解きパートの説明も雑だし、『時計じかけの摩天楼』のセルフオマージュ(一定速度を下回ると爆発と赤ではなく青の導線を切って爆弾解除)なのだろうが、コナンの爆弾解除のプロセスも根拠も不明でピンチになったと思ったら流れ作業のように即解除。ラストの軍用ヘリでスナイパーがどうやって生き残ったかも演出不足だし、全体的にアクションの見せ方にタメがないのも気になるところ。監督の要望で追加されたという蘭姉ちゃんの拉致も、アクションシーンすらカットの犯人捕獲オチは来年の高待遇約束のギャップも含めてギャグとして面白かったが、無駄に話を広げるだけの詰め込み過ぎな面は否めない。物語前半には歩美ちゃんがコナンに「蚊が付いてる」とビンタしてコナンがキレる謎シーンもあった。正直、中盤までは「これ本当に面白いのか…」と自分に問いかけるような瞬間も何度かあったが、それでもクライマックスに入るとお馴染みのテーマソングと共に展開される荒唐無稽なド派手なアクションの連打と締めの青山剛昌全開のエモいラブコメ要素で半ば強引に満足度を高めてくるのが近年のコナン映画の王道パターン。

 

 

  • 想いを風に飛ぶ千速と受け止める重悟

特に横浜ベイブリッジのケーブルを時限爆弾付きのルシファーで駆け上り、そのまま勢いで犯人の乗っている軍用ヘリに突っ込んで突入するアクションは兎に角快感で気持ち良い。SNSで見た研二も松田も一つ目の爆弾解除に成功するも、二つ目の爆弾から逃げられずに死亡したが、千速は2人からの「バイクに乗った千速は無敵」との言葉を風に空を舞って、2人の死を乗り越えて生き残った、的な解釈にも「なるほど」と思わされた。そう考えると背景の観覧車の見え方も感慨深くなる。ただ折角ルシファーに乗ってるなら、千速がもうちょっと分かりやすく闇落ちしかけるが2人の想いを知って持ち直す的な演出でも良かったのかな、とも思えた。

また今年のラブコメ要素である「軍用ヘリから落下する千速を上部分が破産したミニパトの後部座席に乗る横溝重悟がキャッチして、ヘリコプターのライトが当たると反射で真っ白なウェディングドレスの千速をお姫様抱っこしているような構図になる」は昨年の『隻眼の残像』をフラッシュバックせざるを得なかったが、「堕ちた天使を救う」という構図自体は良かった。世良がコナンをキャッチしたのも上がった。千速はコミックスまでの範囲だと重悟に対して松田と同じ危うさを感じて嬉しそうな表情していた反面、まだ「ここにも面白そうな男がいた」扱いで恋愛対象として見てない感じがあったが、今回は完全に乙女な顔をしてたのも、コナン的ラブコメ要素として見たいものを見せてくれた感があった。

 

 

  • 最後に…

今年のコナン映画は無人車両が暴走して爆破など『ワイルド・スピード』シリーズを連想させるシーンが多いと思ったら、ラストに「良い子はマネしないでね」的な注意喚起があって、その点も『ワイスピ』そっくり。ラストで蘭姉ちゃんがバイクではなくパーソナルモビリティ(『踊る大捜査線』の新作予告で青島も乗ってた)なのも観客への「まずは身の丈にあったところから」というメッセージなのだろうが、「蘭姉ちゃんを一般人代表扱いでいいのか」「ネットだとLUUPで割と嫌なイメージ付いてるからオチとして微妙な気持ちになる人多いんじゃね」感はあった。

 

  • オマケ

初代千速役の田中敦子さんが生きてたら、重悟役の大塚明夫さんと『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』組で、『AKIRA』的なバイクチェイスを展開させる、90年代アニメ映画リスペクト作品になってんだよな… というか、多分それを狙ってたんだろうな…と悲しい気持ちに…

 

 

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