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音楽を聴くとミュージカル風に踊り出す催眠にかかって頭おかしい認定される映画『ダンスウィズミー』

ダンスウィズミー

「そもそもミュージカルっておかしくない?さっきまで普通に喋ってた人が急に歌い出したりしてさ」

こう早口で捲し立てる「大手商社の勝ち組OL」が催眠術にかかって音楽を聴くとミュージカル風に踊りだして周囲から「えっ、あの人…」と「頭おかしい人認定」される映画『ダンスウィズミー』を観た。

 

本作は『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』『ハッピーフライト』の矢口史靖監督最新作。矢口監督はミュージカル映画が好きで自身も撮りたいと考えていた一方で、「ミュージカル映画は急に人が歌って踊って、また普通の芝居に戻るのは不審者みたいだ」という誰もが一度はツッコんだことかあるであろうポイントに長年引っかかっていたという。またミュージカル映画といってもミュージカルがなくても成り立つ映画が多いことから、ミュージカルがなくては成り立たない映画を作りたいという想いがあったことからも本作の「催眠術」という設定に繋がったという。

 

その上で矢口監督は「催眠術」の設定は日本人が日本語でミュージカル映画をやる「気恥ずかしさ」への予防線の意味合いもあると語る。確かに日本映画が『ラ・ラ・ランド』のような本気の恋愛ミュージカル映画に挑戦しようものなら、仮にクオリティが一定ラインに達していたとしても「イタさ」や「サムさ」を感じてしまうかもしれない。しかしコメディ映画としてやるならそのラインを下げることが出来る。

 

 

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だからといって本作のミュージカルシーンのクオリティが低いわけではない。それどころか「催眠術にかかってるから踊っている」設定から「日本人の日本語ミュージカルへの気恥ずかしさ」の壁を壊す一方で、「催眠術にかかった結果、ミュージカル映画のようにノリノリでみんなが自分の合わせて踊ってる主人公の妄想の視点」と「音楽と共に一人でノリノリで踊ってる痛い人を見る一般人の現実の視点」のギャップを大きくしてコメディに昇華させるには、やはり前者の視点のクオリティが高くなくては成り立たない。そういう意味ではミュージカルシーンに関してはハードルを上げているとも捉えることが出来るが、身長171センチの高身長でスタイル抜群のファッションモデルでありながら、アイドルとして歌と踊りを極めてた経験もある三吉彩花がその高くしてしまったハードルを軽々と超えるようなキレッキレッのダンスを披露してくれる。だからこそミュージカルシーンの後の我に帰った時のギャップもシッカリ笑わせてくれる。またあれだけ楽しませてくれたミュージカルシーンもSNSにアップされて拡散されてワイドショーで取り上げれると「バイトテロ動画」並みにシッカリと「酒に酔った若い女が調子乗った結果」と見えるのも面白い。

 

 

三吉彩花は本作の主演をオーディションで勝ち取っており、吹き替えは一切していないというのも好感度が高い。また三吉彩花自身が電車での移動中などにイヤホンで音楽を聴いていると、ついノッちゃいそうになる怪しい時期があったという。未だに音楽を聴くとノッちゃいそうになる自分は周りから「頭おかしい人」と見られている可能性も自覚して反省しなくてはいけないと思った。

 

 

最後に「結局あのシーンは何だった?」みたいな部分が結構多い映画ではあるけど、基本的には面白かったのでオススメです。