『ドラクエ3 HD-2Dリメイク』で選択出来る勇者のビジュアルが「男女」ではなく「ルックスA」「ルックスB」表記であることが一部で物議になっている。
近年のキャラメイクが出来るタイプのゲームはこれまで透明化されてきた「トラスジェンダー(生まれた時に割り当てられた性別と、自身で認識する性が一致していない人)」や「ノンバイナリー(自身の性自認・性表現に『男性』『女性』といった枠組みをあてはめようとしないセクシュアリティ)」らのことも考慮して、「男女」という2択ではなく今回の『ドラクエ3』のように「ルックスA」「ルックスB」のような表記で選択させるようなケースが多い傾向にある。そのため『ドラクエ』シリーズも2022年発売の『ドラクエ10オフライン』では「男女」の選択ではなく「スタイル1」「スタイル2」という表記が使用されていた。
今回の『ドラクエ3』の性別廃止によりネットの一部では「『ドラクエ』は男女2択のままが良かった」との批判も招いた。ただ個人的には『ドラクエ』シリーズは「主人公はあなた」というコンセプトのRPGで、尚且つ「勇者は男」という固定概念が強い時代に発売された『ドラクエ4』で女勇者が選べた際に多くの女性プレイヤーが「自分の性別がある!」と喜んだというエピソードを目にしてきたのもあるので、今回「男女」の2択ではなく「ルックスA」「ルックスB」と表記することで「トランスジェンダー」や「ノンバイナリー」の人たち含めて、主人公に自分を重ね合わせやすい余白が生まれたのは「良いことなんじゃないかな」と思った。
そんなこんなで自分のように「シスジェンダー(性自認と生まれ持った性別が一致している人)」は、これまで通り「ルックスA=男」「ルックスB=女」と認識して選択すればいいだけの話で、そんなに物議を醸すような話ではない(性別によって装備可能の有無が決まる設定はどうなっているのかは気になるが…)ようには思うし、今回は『ドラクエ』シリーズ故に他のゲームと比べて変な形で必要以上に注目を浴びてしまった面もあるのではないか、とも感じた。
- 追記
堀井雄二さんは「ルックスA」「ルックスB」表記について「男女で誰が一体文句言うんだろう」などと疑問を呈していた。
- 発売後の追記
「ルックスA」を選択すると劇中で「男扱い」、「ルックスB」を選択すると劇中で「女扱い」されるので「それなら本当になんでルックス表記にしたの?」感。配慮するなら配慮するでテキストまでちゃんと貫けばいいのに…
- 発売後の追記2
「ルックスB」がただ単に髪型の違いだと誤認して選択した結果、劇中で女扱いされて「!?」となっているプレイヤーも報告されている
- 発売後の追記3
今更だけど「ルックスA」「ルックスB」ってワードセンスが堀井雄二さんっぽくないのもマイナス要因なのかも
- 発売後の追記4
言語哲学で考えるドラクエ性別論争 ルックスA・ルックスBの意義は
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2024年12月19日
→ 「最近は『男性』や『女性』という言葉は使うのが望ましくない言葉だとされている」という誤解も〜
ゲーム内で「ルックスA」が男、「ルックスB」が女扱いされるのは、この誤解があるからなのだろうか… https://t.co/ruUusmcgRV
哲学者の三木那由他氏の記事で再認識したが、世の中には「ポリコレのせいで男とか女とか言っちゃダメな世の中になってる」と誤解している人も少なくないようだし、今回の『ドラクエ3』がゲーム内では「ルックスA」が男、「ルックスB」が女扱いなのも、製作側がそうした誤解を基に形だけ配慮しようとした結果なのでは、と感じた。多様性に配慮するならもう一手間加えて、ルックス選択の後に性別を「男/女/その他」から選ばせれば良かったのではないか、と思う。
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