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【ネタバレ】映画『ラストマイル』、「全てはお客様のために」視点での「デイリーファスト」と「洗濯機」の比較

【チラシ付き、映画パンフレット】 ラストマイル 満島ひかり、岡田将生、ディーン・フジオカ、大倉孝二

ネタバレ注意

映画『ラストマイル』の「デイリーファスト」と「洗濯機」の比較。

 

 

本作はAmazonをモデルにしたとしか思えない世界規模のショッピングサイト「デイリーファスト」の日本支部の流通センターを舞台に「荷物に無作為に爆弾が仕込まれるテロ」が発生する物語。上層部の「何があっても流通を止めるな!」という指示のもと、末端の現場ほど皺寄せが行き、疲労していく姿が描かれるが、最後の一個の爆弾の対処法が会社の倒産によって配達員見習いをやっている宇野祥平演じる佐野亘が自身の勤めていたメーカーの洗濯機を使って阻止するという胸熱展開が描かれる。

 

 

このシーンは「現場の底力」として熱い反面、「自身のかつての仕事が本来とは違った形で報われる」という切なさ、それに加えて純粋に「あの洗濯機がココで生きるのか!」という伏線回収の上手さもあったと思うが、よくよく考えれば事件の発端となるシステムの歪みを生んだ「デイリーファスト」はコスパ、スピード重視で安い労働力で現場をガンガン回して大成功を収めている会社。一方で佐野の勤めていた会社は機能性を重視するあまり、他者との競争に負けて敗退した企業。真の意味で「全てはお客様のために」を実現しようとしていた商品が、企業利益のためのマジックワードとして「全てはお客様のために」を利用して顧客が爆弾テロの被害に遭う可能性を知った上で「死んでも止めるな」精神で流通を続けようとしていた会社を発端とした事件を止めてお客様を救った、というのは結構エモい。

 

 

またパンフレットの野木亜紀子さんのインタビューによると当該シーンは「このところ劣勢の日本家電メーカーの意地」も見せたかった、とのこと。洗濯機のメーカーは「HINOMOTO」だったが、海外の会社である「デイリーファスト」と対比させて、日本へのエールも送りたかったのだろう。

 

 

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