アメリカでの『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の2週目の興行収入が発表された。
- 『鬼滅の刃』、米国で2週目75.5%ダウン
【興行収入】『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』がアメリカでオープニング7000万ドル
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2025年9月14日
『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(OP6403万ドル)
『F1/エフワン』(OP5700万ドル)
『サンダーボルツ*』(OP7430万ドル)
- Junk-weed’s blog#鬼滅の刃 #無限城編https://t.co/bXtCpK0Iws
これまでのアメリカでの日本映画のヒットは、あくまでも「アメリカで公開された日本映画」という範囲の中でのヒットであり、実際の数字的にはハリウッド大作の大コケ作品の半分程度の成績、みたいな現実もあったりもした。しかし『無限城編』に関してはオープニング7000万ドルと今年公開の『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(OP6403万ドル、最終1.97億ドル)や『F1/エフワン』(OP5700万ドル、最終1.89億ドル)を超え、MCU『サンダーボルツ*』(OP7430万ドル、最終1.90億ドル)とも純粋に張り合えるレベルの記録を叩き出した。そして2週目の累計興行は1.04億ドルと日本映画で初めてアメリカ興行1億ドル突破を達成。アメリカのメディアからも驚きを持って受け止められているが、2週目末の興行に関しては前週比75.5%ダウンの1703万ドル。
- 2週目で失速するタイプの映画の観客層
『ファンタスティック4』北米V2も期待に及ばず MCUの“微妙”な現状とは?
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2025年8月5日
→現在のMCUは、(中略)2週目に前週比マイナス60%という下落率を出すことが当たり前になったということだ。/すなわち現在のMCUは、端的に言ってコアなファン以外をうまくつかめていないのだ https://t.co/5uFK0dWBSK
オープニングでは上回ったいた『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の2週目末は前週比57.5%ダウンの2721万ドルで累計1.22億ドル、『F1/エフワン』の2週末は前週比54.8%ダウンの2578万ドルで累計1.09億ドルに逆転されている。アメリカではオープニングに対して2週目末の興行が半減するのが一般的だが、75.5%ダウンはかなり大きい。今年「オープニングから2週末の下げ幅の大きさ」の視点で注目されたMCU『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』も2週末の前週比は67.1%ダウンだった。この事実はアメリカの『無限城編』の興行は日本のアメコミ映画の興行と同様に「熱心な固定ファンが付いてるのでオープニングではそれなりの成績を出すけど、2週目以降はライト層には広がらずに失速傾向にあるタイプ」だと推測される。
Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba- The Movie - Infinity Castle - Box Office Mojo
Mission: Impossible - The Final Reckoning - Box Office Mojo
F1: The Movie - Box Office Mojo
The Fantastic Four: First Steps - Box Office Mojo
- まだまだアメリカで「伸び代」のある理由
ロビンズ氏によれば、「無限城編」が記録的な公開初週を迎えたことで、これまで「鬼滅の刃」をみようとは思わなかった米国の観客層まで引き寄せた可能性がある。
ロビンズ氏は「こうした出来事は、そうでなければ聞いたことがなかった作品をみてみようという気持ちにさせる」とし、一時的な興味を持つ観客を含む「アニメ界のほぼ全域」を取り込んだとの見方を示した。
一方でアメリカのメディアではアメコミ映画ならフルボッコされるレベルの大幅ダウンにも関わらず好意的な報じられた方をしていることから、『無限城編』も本当の意味でハリウッド大作と同じ土俵で戦える存在として認識されている訳ではないようだ。これは元々のアメリカで求められている期待値が違うので、ある意味では当たり前の話ではある。逆にアメリカで「日本のアニメ、2週目で大幅ダウン!」とネガティヴ一色の報道が展開されたら「少しはそもそもの前提の違いを考慮しろよ!」とツッコんでいたことだろう。そんな「アメリカで公開された日本映画」の興行のレベルをググっと押し上げる反面、高い壁も見せられた『鬼滅の刃』だが、興収分析サイト「ボックスオフィスセオリー」の創設者兼オーナーでもあるショーン・ロビンズ氏は「今回のヒットによって『鬼滅の刃』が更にアメリカに広がる」との見解を示している。実際、アメリカで『鬼滅の刃』の数字的な凄みがアニメファンを超えて広く伝わったのは、日本と異なりコロナ禍でハリウッド大作が軒並み延期された中に公開された前作『無限列車編』ではなく、サマーシーズンは避けたとはいえ平時に堂々とハリウッド大作並みのオープニングを記録した本作『無限城編』なのだろう。そのため『鬼滅の刃』のアメリカでの興行的伸び代はまだまだ残されており、第二章では更なる数字に期待できるかもしれない。
- 最後に…
‘Demon Slayer: Infinity Castle surpassed $559M at the global box office this Sunday, surpassing #FantasticFour to become 2025 second biggest comic book movie (Japanese comic books are called “manga”).
— Global Box Office (@GlobalBoxOff) 2025年9月21日
Next week it crossed the $600M mark globally. pic.twitter.com/QdsT8zXXDV
そんなこんなで『無限城編』のアメリカのヒットにちょっと水を差すようなことも書いてしまったが、世界興行を見ると『無限城編』は5.55億ドルを突破してMCUの『サンダーボルツ*』の3.82億ドル、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の4.15億ドル、『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』の5.20億ドルを超えてDCU『スーパーマン』の6.15億ドルに次ぐ今年のコミック映画の中で2番目のヒットとなっている。『無限城編』の上映はまだまだ続いているので、今後の伸び次第ではアメリカ興行では逆転された『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の5.98億ドルや『スーパーマン』の世界興行を超える可能性も高い。これで『無限城編』が中国でも公開されれば更なる高みも目指せるのだが、前作に続いて公開は未定のようだ。
2025 Worldwide Box Office - Box Office Mojo
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