スポンサーリンク

「濃厚接触」が重要なキーとなる『アンナチュラル』第1話 /「2年前にコロナパニックを予期していたようだ」と話題

アンナチュラル Blu-ray BOX

【注意】『アンナチュラル』第1話ネタバレ

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっている。そんな中で話題となっているのが2018年1月クールにTBSテレビで放送された石原さとみ主演のテレビドラマ『アンナチュラル』だ。本作は全国初の死因究明に特化した調査を行う研究機関「UDIラボ」を舞台とした作品。毎回様々な不自然死(アンナチュラル・デス)を遂げた遺体を解剖することで、その裏側にある謎を解明していくストーリーだ。

 

  • 謎の連続突然死

今回話題となっているのは第1話の「名前のない毒」だ。第1話では自宅で突然死した息子の死因に納得のいかない両親がUDIに調査を依頼する。遺体を解剖した石原さとみ演じるミコトは男性が「毒殺」された可能性に至る。すると、その男性と一緒に仕事をしていた女性が突然死したことが判明。「謎の突然死」が2件あることからミコトたちは「連続毒殺事件」が起きたことを視野に、調査を進めていく。

 

 

  • 容疑者は天才科学者!?

ミコトたちは男性の住んでいた家の調査をしていると、男性の恋人が現れタバコを吸い始める。彼女は遺体の第一発見者だが、「どうしてここにきたのか?」と問われると「泊まりに来た」と説明。一方で彼女は遺体があった場所を気にすることなく踏みつけている。ここで本作が上手いなと思ったのが、ミコトたちが「あの恋人は愛する彼の遺体があった場所を踏みつけていたのに、違和感がある」みたいなことを発言しないところだ。この対面以来、ミコトたちは彼女に容疑をかけ調査を進めていき、「亡くなった男性は彼女と婚約していたにも関わらず、社内で突然死した女性と二股関係だった可能性」「彼女の研究の対象は、男性の死因となった毒物と同じ可能性」「突然死した2人は同じお菓子を持っており、彼女が毒を忍ばせて渡した可能性」と、彼女の「彼らを殺害する動機」や「殺害した方法」などが浮上してきた。一方でお菓子の検査結果からは毒物反応はなく、ミコトらは「彼女が天才科学者である可能性」を視野に入れる。放送当時にリアルタイムで観た身としては、本作は『科捜研の女』のような1話完結モノのミストリードラマだと思っていたので、ここから「法医学者vs天才科学者」の対決という構図で、ミコトたちが「不可能だと思われた殺人方法」を突き止めていくという展開を見せるのだと勘違いしていた。当然「ミスリード」の可能性も考えてはいたが、前述したようにミコトたちが「彼女が遺体のあった場所を踏みつけていた点」に触れていなかったことから、きっとこの部分は『古畑任三郎』スタイルで全ての事実が明らかになった後に彼女が「いつから私を疑ってたの?」と問い、ミコトが「あなたが遺体のあった場所を踏みつけているのをみたときです」と答えるために取ってあるのだとばかり思い込んでいたのだ…

 

 

  • 死因は「毒殺」ではなく「コロナ感染」

f:id:junk-weed:20200401124601j:image

※TBSテレビ

しかし物語は思わぬ方向に舵を取り出す。なんと突然死した彼が亡くなる2週間前にサウジアラビア渡航していたことが判明する。そして彼女が毒物を仕込んで渡したと考えられていたお菓子は、彼がサウジアラビアで買ってきたお土産だったことも判明。ミコトはサウジアラビアがウイルス流行地域であったことから、ウイルスに感染した可能性を疑うが遺体は既に腐敗していて確かめる術がない。そこで登場するのが今は多くの日本人が聴き慣れた「PCR検査」だ。そして彼は「PCR検査」によって、「MERSコロナウイルス」に感染していたことが明らかになる。つまり彼の死因は「毒殺」ではなく「コロナに感染したこと」だったのだ。そして彼と同じタイミングで突然死した彼女の死の謎も、「彼と濃厚接触した(彼らの二股疑惑は事実誤認で、咳から感染した)ことで、コロナに感染した」ということが分かる。その後は感染拡大を防ぐために「日本国民の多くがマスクを装着して、アルコール消毒する」「テレビで専門家が飛沫感染について解説をして、手洗いうがいを促す番組が放送される」「海外からウイルスを持ち込んだ彼が、極悪人のようにネットやワイドショーで叩かれる」などの描写がされており、このことから「『アンナチュラル』はまるで今の日本の状況を予期していたようだ!」と話題になったのだ。

 

 

  • 「濃密な夜」が無実のキッカケ

本作では「ウイルスを日本に持ち込んだとされて世間から散々叩かれた男性」が実は「日本に帰国後に感染した被害者」だったことが明らかになる。彼が無実であることが分かるキッカケとなったのが、彼が帰国後彼女と「濃密なキスを20回以上する」などの「濃厚接触」(劇中では「濃密な接触」と表現)をしていたにも関わらず、彼女はウイルスに感染していないどころか、抗体もなく「ウイルスに触れていない」ことが判明したからだった。「濃厚接触」というワードが聞き慣れないワードだったうちは「濃厚接触って、なんか卑猥」と感じる人がネット上では一定数いた。またそのワードが一般化した後は「男性Aが感染後に女性Aと濃厚接触したことで感染した」みたいな報道が出れば「あっ、」となる人も多い。本作内では「濃厚接触」を夜の営みを連想させながら笑いを誘うような演出がされており、その点でも「まるで今の状況を予期していたよう」に見える。

 

  • 最後に…

もちろん今の日本で起きたことを踏まえて観れば「なんでミコトたちはマスクしてないんだろう?」「遺体から感染とかは大丈なのかな?」「2話目以降コロナについては触れられていなかった記憶だけで、そこまで流行らなかったということなのかな?」みたいなツッコミを入れたくもなってしまうのだが、やはり2年前にこのような展開のドラマを作っていたのはスゴいと感じる。ちなみに劇中では最後まで「彼女が遺体があった場所を踏みつけていた点」については触れられない。彼女の彼への愛は本物だったが、そういう部分はあまり気にしない性格だったのか、それとも少しでも彼の最期となった場所に居たかったのか…

 

第1話 名前のない毒

第1話 名前のない毒

  • 発売日: 2018/01/16
  • メディア: Prime Video
 
アンナチュラル Blu-ray BOX

アンナチュラル Blu-ray BOX

  • 発売日: 2018/07/11
  • メディア: Blu-ray