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【明かされたキッドの真実は…】『紺青の拳』テイストで北海道版『迷宮の十字路』、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』感想

劇場版 『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』オリジナル・サウンドトラック

ネタバレ注意

『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』を観た。

 

  • 近年はキャラ推し路線のコナン映画

劇場版名探偵コナン 業火の向日葵

劇場版 名探偵コナン ゼロの執行人

『劇場版名探偵コナン』シリーズは『業火の向日葵』辺りから「キャラ推し」の方向が強くなり、『ゼロの執行人』の大ヒットによりその方向性は加速。ただシリーズが続くに従ってどうしても人気キャラによるルーティン化が避けられないためか『紺青の拳』からは「怪盗キッド×京極真」みたいな感じで人気キャラの掛け合わせ技を発動。アメコミドラマ『ザ・ボーイズ』でMCUを揶揄するかのように「SNSでこの人気ヒーローとこの人気ヒーローのハッシュタッグを同時に使えばインプレッションは一つの時の数倍」的なネットマーケティングのセリフがあったと記憶しているが、近年の『劇場版名探偵コナン』シリーズの方向性は正にそのセリフそのもの。偉い大人たちが会議で数年先まで「どういう組み合わせが良いか」とロードマップを作っている姿が頭に浮かぶ。ただ別に自分はこう作り方を批判したい訳でも、揶揄したい訳でもない。寧ろこういう近年の『劇場版名探偵コナン』シリーズもその方向性に乗る形で普通に楽しんでいるにも関わらず、こういう書き方をしてしまうことで自分の意図とは異なるネガティヴなニュアンスに捉えられてしまうのが悲しいところだ。

 

 

  • 『紺青の拳』風味の北海道版『迷宮の十字路』

劇場版 名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)

劇場版名探偵コナン 紺青の拳 (通常盤) (BD1枚組) [Blu-ray]

そんなエクスキューズをした上で今年のコナン映画は「怪盗キッド×服部平次」とピンで十分ゲストキャラが張れる人気キャラと人気キャラの掛け合わせ。更にコナンキャラとしては知名度が劣るであろう沖田総司にスポットを当てて「他にもこんな魅力的なキャラがいるんですよ〜」という紹介も兼ねた作品になっている。ストーリーは北海道・函館を舞台に新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀を巡って怪盗キッドとコナン、平次が対決及び協力していくという内容。北の地を舞台に観光名所を巡りながら日本の歴史に纏わる謎解きをコナンと平次が協力して解き明かしていこうとするプロットは西の都・京都を舞台にした『迷宮の十字路』を思い起こさせるが、作風のテイストとしては『紺青の拳』に近い印象を受けた。ただその意味では今年は爆発やアクションは比較的大人しめ。コナンがスケボーでロープウェイのロープをスライドして登るアクションなど例年並みの荒唐無稽なアクションを繰り出したりもするが、ここ2作で流れた『キミがいれば』もかからなければ、墜落する航空機を止めようとするコナンたち、的なラストの壮大なアクションみたいのがなかったりするので、ゲスト声優の大泉洋が「コナン君が函館市を破壊しすぎ!」とネタで怒っていたのでもっと大変なことが起こると期待していた分「あっ、もう終わりなんだ…」という若干の肩透かし感もあった。

 

 

  • 新一とキッドの顔と声が似てる理由は…

まじっく快斗(1) (少年サンデーコミックス)

本作のマクガフィンの一つである「戦況を大きく変えるほどの何か」の正体が「核兵器」を連想させながらも、実は暗号解読の機械で「今となってはスマホの方が有能」という落とし所は皮肉が利いていて良かったのではないか、と思った。平次が和葉に告白を失敗するのは「まー、去年の黒の組織絡みと同じでこの手の物語において重要なことは原作でやるから、映画で描く訳ないんだよな〜」ということが分かりきってたので「ですよね〜」という感じだったが、その失敗の理由が『踊る大捜査線』で大昔に見たネタと被ってたのは苦笑い。大オチの「優作と盗一は生き別れの双子の兄弟でコナンとキッドは従兄弟関係だった」という新事実は本編で平次が「お前ら双子なんか」とか青子の「私の幼馴染の小さい頃のとそっくり」みたいにやたらと強調してたから「最速上映で見た人がやたらと盛り上がってるみたいだし、ここら辺になんかあるのかな」とは思ったが、まさか人間関係の紹介図に一つ新たな線を足す形でメタ的な理由でしかなかったはずの「新一とキッドの顔と声がそっくり」という設定の辻褄合わせをしてくるとはビックリ。正直「後付け」感が半端ないのだが、青山剛昌先生がいつからこの設定を考えていたのか気になるところ。コナンにキッドが初登場した回で既に蘭が快斗を新一だと見間違える描写も工藤優作との関係性の匂わせもあるけど、もしその段階から考えて伏線を張っていたのなら本当に凄い。ただ「従兄弟ってそんなに似るものなのか?」的なことも思う。

 

 

  • 最後に…

そんなこんなで去年のラストを超える瞬間最大風速的な盛り上がり方には欠けるも、北海道の観光気分も味わえて一年に一回の恒例行事として楽しかった。ただ今年はちょっと作画がイマイチなところが多かったのは残念。最後に大泉洋演じる刑事が実は盗一の変装だったという事実から「またしても何も知らない大泉洋さん」ネタがバズるんだろうな、的なことも思った。

 

最近105巻でも新一とキッドの顔と声が似てることが両者の間でやたら疑問視されるセリフがあったが、これも今回のオチへの前振りだと思えば納得。

 

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