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「『変な家』に不穏な空気」「ドラえもん安定、FLYは低空飛行」「ハリウッド大作IMAX論争勃発」、春休み映画興行収入2024

2024年度春休み映画の興行収入への雑感。

 

  • 『変な家』大ヒットも不穏な空気

変な家

この春最大のヒットはウェブライターの雨穴氏によるウェブメディア記事、YouTube動画、その動画と連動した不動産ミステリー小説を原作とした実写映画『変な家』で最終興行は40億円超えが確実視され、50億円も狙える大ヒット。特に中高生の若者が劇場を賑わせているようだが、Yahoo!映画レビューの平均は2.8点と評価はイマイチ。どうやら原作の『世にも奇妙な物語』的なミステリーテイストを『本当にあった怖い話』的なホラーテイストで実写映画化されていることが原作ファンからは不評な様子。(『世にも奇妙な物語』にもホラーテイストの作品は存在するけど、ここら辺は雰囲気でニュアンスを受け取って欲しい)

原作者の雨穴氏もXに主語は記されていないものの「私は興味もないし関係もないので心穏やか」などと投稿しており、何かを「察してくれ」という感じ。Xでは雨穴氏が本作を「クソ映画」とする感想投稿を一度リポストして取り消したというスクショが拡散されていたことなどから「映画の出来に不満があるのではないか」などと推測する声も多い。真相が定かではない本作への原作者の見解とは別に今年は『セクシー田中さん』の問題を機に世間的には成功作として認識されている漫画の実写化作品に原作者自ら「納得いっていなかった」などと打ち明けるケースが複数確認されており、中々複雑な気持ちにさせられたりもする。

 

 

  • ドラえもん安定、イルミネーション久々に外す

「映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)」 オリジナル・サウンドトラック

毎春恒例の『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』も最終興行40億円超えが見込める安定のヒット。『映画ドラえもん』シリーズはコロナ禍以降『のび太の新恐竜』が最終33.5億円、『のび太の宇宙小戦争 2021』が最終26.9億円と伸び悩んでいたが、昨年の『のび太と空の理想郷』の最終43.4億円に続いて復活傾向。コロナ禍初期の公開延期ラッシュも最早随分と昔のことのように感じる。

【映画パンフレット】 FLY ! / フライ ! (チラシ付き)※ショップオリジナルポストカード同包 [出演(声)堺雅人 麻生久美子 ヒコロヒー 黒川想矢 監督: バンジャマン・レネール ]

一方で同じくファミリー向けのイルミネーションスタジオアニメ『FLY!/フライ!』は最終興行5億円程度と見込みとあまり振るわない興行。イルミネーションスタジオの映画は『怪盗グルーのミニオン危機一発』以降昨年公開の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』まで10作品連続日本での興行収入が10億円を超えるヒットスタジオだったが、今回は久々の10億円割れ。日本テレビ系列『金曜ロードショー』で『ペット』と『SING/シング』、フジテレビ系列『土曜プレミアム』で『SING/シング: ネクストステージ』と地上波での過去作品のタイアップ放送など宣伝にもかなり力を入れていたように思えるが、どんな人気スタジオでも偶にはこういうケースが出てしまうのは致し方ないこと。個人的にはミニオンやマリオとかに対してイマイチキャラクターに人を惹きつける可愛さが足りなかったのかな、みたいなことも思わなくはない。

 

 

  • IMAX論争に発展しがちなハリウッド大作

【映画パンフレット】 デューン 砂の惑星 PART2

ハリウッド大作では『デューン 砂の惑星PART2』が7〜8億円程度と最終7.63億円の前作と同水準の興行。本国アメリカでは前作の1.08億ドルから本作は2.65億ドルまで大きく伸ばしているが、日本で横ばいだったので「傑作なのに何故?」という声が多発。中には「『IMAXで観るべき』という口コミが『IMAX以外なら観なくて良い』という形で伝わり、通常スクリーンでの動員が上手くいってないのでは」との指摘まで出た。実際「ベストが選べないならベターよりゼロを選択するタイプ」は一定数存在するので、そうした口コミがIMAXを気軽に鑑賞出来ない地域の映画ファンにとってネガティヴな方向に作用した可能性は否定出来ないが、それは極一部の話で実態として日本での作品及び主演俳優の認知度が低い上にパッと見のルックが地味かつ『風の谷のナウシカ』『スター・ウォーズ』に影響を与えた作品とも指摘される故に既視感バリバリでスルーした人が多かったのではないか。少なくともライト層が『アバター』の3D上映レベルの感覚で「通常上映では観ても意味ないらしいから、観るのをやめておこう」と鑑賞を止めたケースなど殆どないだろう。アメリカでは興行が大きく伸びて、日本では横ばいなのも、作品への評価云々よりも前作公開当時と現在のアメリカと日本のコロナへの認識の差みたいな方が大きいだろう。

映画ポスター 海外版 オッペンハイマー (28 cm x 43 cm) APMPS-IB09465 [U.S. Made Poster]

同じくIMAX推奨も「『DUNE』や過去のノーラン作品対比では通常上映でも問題ない、でもコナンにIMAXの上映枠を全部持っていかれるのは気に食わない!」でお馴染みのクリストファー・ノーラン監督が「原爆の父」を描いた伝記映画『オッペンハイマー』は最終興行15億円以上が見込めるヒット。世界で唯一の被爆国ということもあってか日本での公開は遅れに遅れ、更に「バーベンハイマー」騒動という予想外の角度からの炎上もあってなのか、ユニバーサル映画配給定番の東宝東和ではなくビターズ・エンド配給で公開。劇場公開を実現してくれたビターズ・エンドには心の底から感謝だが、本編内容及び公開前と後の反応を見る限り、東宝東和は「ビビり過ぎたのではないか」感は否めない。日本では原爆の被害描写について大きく賛否が割れているが、広島・長崎での動員は近年の他の洋画と比べても好調だという。

【映画パンフレット】ゴーストバスターズ/フローズン・サマー 監督 ギル・キーナン 出演 ポール・ラッド、キャリー・クーン、

『オッペンハイマー』公開によって日本では若干割を食った感があったのが、それ以前に公開日を設定していた同日公開の『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』で最終興行は4〜5億円程度見込み。前作の最終興行も4.1億円なので「まー、こんなもんかな」感の方が強いが、前作であったIMAX上映が消えたこととの因果関係は疑われる。逆にこのレベルの興行で日本テレビ系列『金曜ロードショー』で前作をタイアップ放送したのは、元の作品のブランド力の貯金によるものか。『オッペンハイマー』は全世界的に夏公開の作品が色々な事情で日本では春公開になったが、本作は本国アメリカ含めて全世界的に春公開なのも作品内容的にチグハグ感があって気になるところ。作品の評価そのものより日本語吹替版のエンディングで流れる 「新しい学校のリーダーズ」のMVの方が話題になっているのも残念。

 

 

  • 最後に…

「もっとIMAXに適した映画があるだろう」という人の中でその期間に実際に上映されていたら観に行った人はどの程度いるのだろうか。

 

変な家 文庫版

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