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「炎」よりも「森」と「海」、前作と同じ話をするジェームズ・キャメロン監督『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ネタバレ感想

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ジェームズ・キャメロン監督『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』を観た。

 

  • 2作目を二分割、炎要素は意外と薄め?

本作は大ヒット3DSFアクション超大作『アバター』シリーズの第3弾で、ジェームズ・キャメロン監督曰く「第一章の完結編」だという。『アバター』シリーズは1作目で「パンドラの森」、2作目で「パンドラの海」を描き、3作目では「パンドラの火」を描くコンセプトとなっている。そのため個人的には「最新作では予告編にも映っているパンドラの火山が大噴火して、3Dで火山灰と煙がスクリーン全体を覆ったり、ドロドロのマグマが観客席の方まで迫ってきたりするのかな〜」なんてことを期待していたが、実際は今回の敵役であるヴァランが炎を操る程度の話でやや肩透かし。1作目、2作目であったパンドラの自然との触れ合いの「炎バージョン」みたいのもない。しかもヴァランは物語前半でスカイピープルの銃に興味を示して、物語後半は火炎放射銃をぶっ放したりするので、そんなに彼女ならではの炎攻撃を見せてくれる訳でもない。2作目公開時に「2作目は1作目の舞台を海にしただけで、基本プロットは同じじゃねーか!」とネタにされていたが、今回はクライマックスの舞台も同じ海なので、細かいシチュエーションの違いはあれど、「また同じ話を見せられている感」は強かった。これはそもそも本来の2作目も2分割して2作目と3作目に分けたことが要因なのかもしれない。

 

 

  • 「自然を大事に」メッセージ

ただ本作ならではのシーンも複数あって、例えばヴァランが銃を覚える前の物語序盤で部下を炎塗れにしてキャラバンの飛行船風の乗り物に特攻させて、クラゲの頭っぽい質感の屋根が燃え広がるシーンは特攻兵のノリノリさ含めて楽しかったし、物語中盤のヴァランの炎の舞も魅惑的。これまではパンドラの自然の中でのバトルがメインだったが、物語後半ではスカイピープルの基地を舞台にしたバトルシーンも描かれて、人間の作った工業的空間でナヴィが飛び回って戦闘しているのはフレッシュだったりした。トゥルクンがRDAの船に体当たりして次々と破壊していくシーンも大迫力かつ爽快感があった。エイワの姿をあそこまでハッキリ見せてくれるとは思ってなかったので、そこも嬉しかった。こうして振り返っていくと「ヴァランがスカイピープルの銃に興味を示さずに、独自の炎の戦いを展開していればもっとこれまでのシリーズと差別化された画が見せれたのでは…」感もあるが、おそらくキャメロン監督的には「パンドラを第二の地球にしてはいけないという想いから自然を守りたい元スカイピープルのジェイクVSスカイピープルの文明を手に入れることでパンドラを地球の二の舞にしかねない愚かなナヴィのヴァラン(追記:ジェイクの対立軸はヴァランではなくスカイピープルの文明をナヴィに教えて、パンドラを地球の二の舞にしかねないクオリッチの方か…)」という構図を作り、「これ以上地球の環境を破壊してはいけない」というメッセージを観客に伝えようとしているのだろうから、「そういうことじゃないんだよ」という話なのかもしれない。

 

 

  • キャメロン監督と人間ドラマ

ただその割には銃を手に持ち喜ぶヴァランとの対比シーン(追記2:スカイピープルの文明をナヴィに教えるクオリッチとスカイピープルの文明を捨てるジェイク、スカイピープルの文明を手に取るヴァランと手に取らないネイティリの対立軸と見るべきなのだろう)となるサリーが銃を捨てるシーンはかなり淡白だし、ロアクは最終決戦でも銃を使ったりしている中途半端さ。散々引っ張ったネイティリの弓の見せ方も同様だ。他にも「3時間以上もある超大作なのに、ジェイクの『3本の矢』的な演説シーンのダイジェスト感」とか「そもそも妊婦を戦場に立たせるなよ問題は置いといても、ロナルの出産や死亡の一連のシーンが雑過ぎる」とか「ヴァランはエイワに裏切られた過去を持っているみたいな話があったけど、そこは特に掘り下げられず(『鬼滅の刃』なら悲しい過去の回想を20〜30分はやる)、覚醒したエイワの子供であるキリに怯えてそのまま退場って、本作のメインヴィランのオチとしてどうなの」とか「スパイダーをジェイクと共に救出した後のクオリッチの『気まずいな…』は思わず笑っちゃったし、クオリッチが自ら炎の中に飛び込む最期も落とし所として良いと思ったけど、三部作通した敵役で、本作が『ファイヤー・アンド・アッシュ』であることを踏まえると、ラストはもっと劇的に、そして炎に焼かれて灰になる、くらいのことはやって欲しかった」など演出面で物足りなさも多い。こう書くと「いやいや、『アバター』に人間ドラマを求めるなよ」とツッコまれるのだろうが、キャメロン監督自身がインタビューで「本作はアクション映画ではなく人間ドラマだ」みたいなことを言ってたし、そもそもは『ターミネーター2』や『タイタニック』で世界中の人を感動させた監督なので、「いつからキャメロン監督は映像は凄いけど、人間ドラマはダメな人扱いになってしまったんだ…」と残念な気持ち(とは言っても、自分は『ターミネーター2』も『タイタニック』もリアルタイムで触れている世代ではないのだが…)にもなったりもする。

 

 

  • 最後に…

散々文句を書いてきたが、観ている間は普通に楽しかった。『アバター』シリーズには全世界を股にかけて冒険するオープンワールドRPG的な楽しさがあるので、これからもパンドラの色々な自然を見せて欲しいな、と感じた。最後にトゥルクンが「パヤカンは発言するな」みたいなこと言いながら、ヒレをパシャパシャやっているシーンは流石にラドン過ぎて笑った、ジェイクがスパイダーを殺す判断をした際の森の奥に連れて行く妙な生々しさと「こいつガチで殺っちまうんじゃないのか」という緊張感も良かった、イカが飛び出す3Dが凄かった、ことを書き記しておく。

 

  • オマケ

クオリティの低いCGに対して「PS2レベル」との揶揄があるけど、3DSの画面を思い出させてくれるのは本作くらい。

 

  • オマケ2

本編前に『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』の予告編があったけど、SNSで「予告編のネタバレもダメ」みたいな空気を感じて「気持ちは分かるけど、流石にな…」的なことも想う。

 

 

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