上戸彩と斎藤工が禁断の恋人を演じ、斎藤がブレイクするきっかけともなったテレビドラマ「昼顔 平日午後3時の恋人たち」の劇場版「昼顔」を観ました。
とても良かったです。正直連続ドラマは好きだったけど、連ドラで完結している話なので蛇足になるのでは…と心配してましたが、杞憂に終わりました。またどうせあの予告に出てるサーファーと上戸彩が付き合って、斎藤工は元鞘に戻るんだろなーという予想は見事に外れ不倫を闇雲に肯定するわけでも否定するわけでもなく1人の女性が強くなるまでのストーリーとして傑作だと思いました。
オープニングからとても惹きつけられるショットから入りますが、西谷弘監督作品はどれも背景の撮り方が良いですね。日本の田舎の夏の雰囲気が画面から滲み出て良かった。他にも定食屋でのガヤガヤした演出や鯵フライを揚げているシーン、踏切のシーン、夜の駅のシーン、線路のシーンなど些細なシーンだけど印象的に残るショットが多いのも素晴らしい。食べ物も美味しそうに撮れてるのも好意的。
斎藤工の講演会を知る時も、直前に虫が飛んでるシーンで不穏な空気を出したのも良かった。その後ついその講演会に行ってしまう姿やバレた後の落ち着かない様子など上戸彩の演技力もスゴイなーと感心しました。斎藤工がバスを追いかける姿も、上戸彩がバスから降りて走るショットも魅力的。バスに乗って流されていれば何も起きないかもしれないけど、その運命から降りて自分の足で走り出す姿は仮に褒められた愛でなくても応援したくなる姿でした。斎藤工を見つけた時のずっとつまらなそうにしてた上戸彩の嬉しそうな笑顔も良かった。2人の禁断の愛がヒートアップするシーンは最高に盛り上がる。斎藤工が家で妻から逃げようとしてカーテンを開けると妻の姿が写り込み逃げられないことを予感させるショットも見事。濡れた上戸彩も魅力的に映し出される。クラクションのシーンは予告編から最高だった。上戸彩が斎藤工が妻とけじめがつけられてないのでは?と疑う時の食事シーンで斎藤工の椅子には背もたれがあるのに上戸彩の椅子には背もたれがない演出も上戸彩には後ろ盾がないことを示唆して良かった。自身が不倫をしているため相手を信用できない不安感もしっかり示していた。
上戸彩と斎藤工が結ばれる展開は、昨今の不倫の話題からフジテレビ制作映画で不倫でも本当の愛があることを提示するのは想定外。ラストの妻の車での暴走はハラハラさせられ、仮に本当の愛であっても不倫はいけないことだということもしっかり提示する姿勢も良かったです。最後に斎藤工が上戸彩と同じ花火を見られたのかが不明な演出も粋でした。
斎藤工が亡くなったと知り失意のあまりよろけ、線路の方向に偶発的に向かってしまう上戸彩の一連の演出は最高だった。
青信号を蛍に見立てフラフラと追いかけるが、赤信号に変わり悲しみの表情を見せてから、線路に倒れ込み天の川を見つめながら薬指に蛍が止まる。天の川は彦星と織姫の悲劇を思い起こさせる。
しかしその蛍は飛び去ってしまう。蛍を印象的に使う演出も幻想的で素晴らしい。
電車が来る直前に彼女は自分の力で線路から這い上がり命は助かる。このシーンは上戸彩が人生のドン底からギリギリ自分の力で這い上がれたことと重なる映画的演出でグッときました。
最後の彼女が全ての運命を受け止め自身を肯定するラストは感動しました。「神様、あなたはまた私を強くしました。」は本当に勇気をもらえた。
最後に信号が緑に変わり斎藤工が見守っていることを暗示させるのも良い。
ラストの指輪のくだりも下手に感動させようとせず、それでいて感動的な演出でお見事。
とにかく素晴らしい映画で、本作を観た後は強く生きたいと思わせる映画でした。
未見の方は是非!
(ここまでネタバレしておいてアレですが…)
連続ドラマ版
「バクマン。」でいうところのシリアスな笑いが詰まった作品だと思う。
サントラ
結構お気に入り。
不思議な高揚感があるサントラだ。
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なんとなく思い出したので…
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