スポンサーリンク

櫻井翔主演・三池崇史監督作品『ラプラスの魔女』の「観客よ!これが映画だ!」とアピールするクライマックスの演説シーン

ラプラスの魔女 DVD 通常版

ネタバレ注意

今回は櫻井翔主演・三池崇史監督作品の「ラプラスの魔女」のラストシーンの個人的な解釈。

 

本作のクライマックスの舞台は洋館だ。昨年公開された「ジョジョ」のクライマックスも洋館だったがその建物と雰囲気は酷似している。その洋館で一際目立つ赤い服に包まれた豊川悦二が大演説を繰り広げるのだが、そのシーンは全て観客にカメラを意識させるかのようなズームやカメラのブレを意図的に取り込んだ演出を施している。

 

 

豊川悦二は役所としては100年に一度の天才映画監督で彼は自分の家族を失敗作として硫化水素で一家惨殺を目論んだ人間だ。その悲劇をリアリティ溢れる映画にしたかったからだ。しかし奇跡的に1人だけ生き残ってしまう。ただ豊川悦二はそれすらも映画に取り入れようとして「より良い映画になっていく!」と劇中で叫ぶ。つまり豊川悦二の演説シーンを「これは映画ですよ!」ということをアピールする演出を施すことでメタ的視点を入れたギャグ(ツッコミ)になっているということだ。

 

とても三池崇史監督作品らしいシーンでこのシーンが本作で1番のお気に入りだ。映画館で映画を観ていることを意識させられること程幸せなことはない。余談だが本作は「トリック」や「SPEC」の堤幸彦監督も自分の手で実写映画化したいとインタビューで語っていた。トリッキーな演出手段を好む堤幸彦監督だけあって本作を実写化したかった理由が理解出来た気がした。

 

 

その為クライマックスでVFXをふんだんに使った気候変動からの洋館撃破シーンの後にビデオ映像が途切れるようになる演出も「撮影していたカメラが竜巻に巻き込まれて壊れた!」という三池流悪ふざけ演出の1つなのだろう。それと同時に豊川悦二の想像していた最高の映画は強制的に物語の幕を閉じたということも意味している。

 

 

ここら辺を読み取れずこの一連のカメラワークのシーンを撮影ミスだとか無意味な演出だとかdisる感想が多くて非常に残念だ。