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東宝の「ゴジラ」のユニバース化は上手くいくのか?

ゴジラ

今回は東宝が2021年から展開する予定の「ゴジラ」のユニバース化について書きたいと思います。

 

ゴジラブランド復活!

映画ポスター シンゴジラ Shin Gojira Godzilla 片面印刷 US版 hi2 [並行輸入品]

先日、日本大学の会見で司会者が日大ブランドは「落ちません」と発言して話題になっていたが、ゴジラブランドは2004年の段階では確実に落ちていた。その証拠に東宝が「ゴジラ」50周年を記念して製作費20億円をかけた集大成にして最終作の「ゴジラ FINAL WARS」は興行収入12.6億円の惨敗に終わった。この失敗から東宝の市川南さんは「ゴジラ」を復活させることに抵抗があった。しかし2014年公開のレジェンダリー版「GODZILLA(2014)」の製作が決まり東宝は重い腰を上げることを決意する。結果的に「GODZILLA(2014)」は興行収入32.0億円、「シン・ゴジラ」は興行収入82.5億円の大ヒットを記録してゴジラブランドは晴れて復活したのだ。

 

2020年までゴジラを製作できない東宝

GODZILLA ゴジラ(吹替版)

シン・ゴジラ」で日本のゴジラブランドを完全復活させた東宝だが、2020年まで日本では「ゴジラ」を製作できないと樋口真嗣監督は発言しています。理由はレジェンダリーとの契約が2020年まで続いており、その期間は東宝は「ゴジラ」を製作することが契約上できないからです。その為東宝製作の「ゴジラ」が観れるのは2021年まで待たなくてはなりません。

 

 

ゴジラ」をユニバース化へ!

アベンジャーズ (字幕版)

東宝は今後「ゴジラ」の「MCU」のようなユニバース化を計画しているとインタビューで語っていました。つまり「ゴジラ」や「モスラ」「キングギドラ」など単独作品を公開していき、ある程度積み重ねた後に「アベンジャーズ」のように全怪獣が集結する作品を構想しているようです。確かにユニバース1作目で新たなる「ゴジラ」をお披露目し、2作目以降は全国各地に「モスラ」や「キングギドラ」などを出現させユニバースのベースを作りながら、作品を重ねるごとに政府や自衛隊が怪獣対策のための計画やシステム・兵器などを開発していく過程を見せていって最後に集大成的な作品を作れば面白いかもしれない。また「ゴジラ」は過去作品でも「ターミネーター」や「マトリックス」などのハリウッドで流行りの作品の要素を取り入れたことの多いシリーズなので今の時代に作るならユニバース化を進めるのは自然の流れなのだろう。

 

ユニバース化への懸念

ザ・マミー/呪われた砂漠の王女(吹替版)

今回東宝の「ゴジラ」のユニバース化の構想を聞いて真っ先に連想したのは「ダーク・ユニバース」だ。このユニバースは1920年代から1950年代までユニバーサル・スタジオが製作した「ミイラ再生」などのホラー映画を同一世界の出来事としてリメイクする企画だった。これは東宝の特撮怪獣をユニバース化してリメイクしていく今回の企画と一番近いところにあるように感じる。しかしこのユニバースの第1弾である「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」は製作費1.25億ドルに対して全米興行は0.8億ドルと製作費を回収出来ずユニバースの凍結が発表された。(世界興行では4.09億ドルのヒットにはなっているが、やはり全米での興行的失敗の影響は大きい。)またDCコミックを実写映画化していくユニバースの集大成である「ジャスティス・リーグ」も製作費3.00億ドルという破格の予算を投じて制作されたが、全米での興行は2.29億ドルとこちらも全米だけで製作費を回収出来ず厳しい結果に終わった。さらにディズニーが展開する「スター・ウォーズ」のユニバースもはやくも飽きられつつある。ユニバースは当たれば大きいが、リスクも大きい。また現在レジェンダリーが展開中の「モンスター・バース」を含めて50年前に既に東宝がやったことをカッコよくパッケージ化して焼き直しているだけだという声も少なからず存在する。そしてその「モンスター・バース」の第2弾「キングコング:髑髏島の巨神」も製作費1.85億ドルに対して全米興行1.68億ドルと全米だけで製作費を回収出来ていない。(世界興行は5.66億ドルのヒットになっている。)

 

 

過去作品の高いハードル

ゴジラ FINAL WARS

おそらく2021年から展開されるとされている「ゴジラ」のユニバースの1作目は「シン・ゴジラ」の続編ではなく、一度リセットされた世界軸が舞台になるだろう。それがゴジラが今までに存在しない世界なのか、それとも存在している世界なのかは不明だが「シン・ゴジラ」が多くの観客に与えたインパクトを上回る事は非常に難しいように思える。また「アベンジャーズ」のような集大成作品にも「ゴジラ FINAL WAR」という大きなハードルが存在する。本作の評価は賛否両論ではあるが、この作品が持つ勢いや派手さ・豪華さは誰しもが認めるところだろう。その上「モンスター・バース」の作品にも1/10以下の予算で立ち向かわなければならない。「シン・ゴジラ」のように圧倒的な演出や脚本で予算分のハンデをどう埋めていくかがこのユニバースの鍵となるだろう。

 

東宝は「ゴジラ」の伝統を守るべくこれからも製作委員会を作らず自社の出資のみで「ゴジラ」を作り続けると発表している。また世界に通用する作品を作りたいとも語っていた。しかしビジネスという意味では「シン・ゴジラ」でも世界では惨敗だった。これから先の「ゴジラ」にも期待しています。