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「SICK’S 恕乃抄 〜内閣情報調査室特務事項専従係事件簿〜」の少しネガティブな感想

SICK`S 恕乃抄 〜内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~ Blu-ray BOX

今回は堤幸彦監督の「SICK'S 恕乃抄 内閣情報調査室特務事項専従係事件簿〜」(以下「シックス」表記)に一応の区切りが付いたので感想を書きます。

 

個人的なスタンス

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スター・ウォーズ」なんかもそうですが、この手の熱狂的なファンが多く付いているタイプの作品はネットに感想1つ書くのも少しビクビクしてしまうというのが正直な所です。その為「ワールドカップ」同様まず始めに自分は本作をピンチョス配信でしか見ていないニワカだという前提を示しておきます。また「ケイゾク」「SPEC」の知識もあやふやな部分が多いです。そしてこのエントリーの中で「シックス」についてポジティブな事を書く訳ではないので、「シックス」を物凄く楽しんだという人は読まない方が良いかも… とも先に書いときます。凄い逃げの姿勢だな自分…

 

全5話を通して感じた事

第壱話 東京大爆発 この戦いの行方は・・・

今回の「シックス」を一言で表すならケイゾク」の匂いを漂わせながら「SPEC」の縮小再生産をやっているという印象を受けました。また基本的には全編通して楽しく見れましたが、あまり新しい挑戦はしていないようにも感じました。例えば「ケイゾク」は「エヴァ」を連続ドラマでやろうという試みがあったし、「SPEC」は連続ドラマでSFをやろうという試みがあった。そして続編という立ち位置に置いても「SPEC」は「ケイゾク」の延長戦をただやるのではなく、SPECホルダーという新たな要素を加えて「SPEC」だけ見ている人にも純粋に楽しめ「ケイゾク」からのファンには「じゃあ、あの人もSPECホルダーだったって事なの?」みたいな推測が楽しめる作りだった。その為「SPEC」は「ケイゾク」の精神的続編という意味合いが強かったように感じる。

ただ今回の「シックス」はオープニングから当然のようにSPECホルダーが登場するので、一見さんにはお断りの作りになっている。ここまでの流れだとそこにネガティブな感想を持っているように思う人も多いだろうが、個人的にはネット配信という地上波より視聴層が狭くなるメディアを選んだ事などからその辺の事は織り込み済みなのだろうしこういうタイプの作品があったって良いと思っている。ただ「SPEC」が「ケイゾク」を枠を超えて新しい事をやったのに対して「シックス」は「SPEC」の枠を出ずに同じ事をやっているという印象は拭えなかった。

 

 

SPECホルダーの魅力

またSPECホルダーのキャラの特徴の面白みがダウンしているのはかなり残念だ。具体的に言えば「SPEC」の時のような「ラミパスラミパス」や「悟ります」のようなマネしたくなるような魅力を持つキャラクターがいないように感じる。

例えばニノマエイトは「リバース」という時間を巻き戻すSPECを持っている。これは「SPEC」のニノマエ(以下ニノマエ表記は全て「SPEC」のニノマエを示す)の時を止める能力の進化版だが、SPECを使う時のアクションはニノマエの指パッチンをする動作程の魅力はない。これは役者のネームバリューの話だけではなく、今回の指パッチンの動きに効果音を入れて本来の音を無くしていたり、何処か「悟ります」の動作にも似ていたりして二番煎じ感があるように感じた。更に言えばこれはケイゾク」の朝倉から「SPEC」のニノマエ、さらにその先の「劇場版」で描かれたセカイと主人公と敵対する側がどんどん強くなっていったのに対して「あっ、またそのレベルに戻るのか…」というガッカリ感もあった。(あの世界では朝倉のが強いキャラだが、今回は作品毎の演出上の話です。)ただ「SPEC」の流れを汲み取れば「シックス」も本当の意味での敵キャラが今後登場する可能性もあるし、もしかたら新倉が絡んでくるかもしれないのでソコは楽しみです。

また他にも他人の顔をコピーするSPECホルダーなど魅力に乏しいキャラが続くなと思う反面で、他人の寿命を喰うSPECを持つ玉森の寿命のチップスの入った箱の底を最後にポンポンと叩く動作みたいのは魅力的に感じました。1枚ずつチップスを食べるので肉体戦になったら即負けそうなので、対面戦には向かなそうですが…

 

 

引っ張りが弱い…

本作には様々な伏線が張られており、物語はオープニングの東京崩壊のシーンへ繋がる構成になっている。確かにオープニングのシーンがどういう過程で起きて、あの先どうなるのか非常に興味はある。ただ「ケイゾク」の時の様な「実の妹を輪姦し自殺に追い込んだ犯行一味の首謀者・朝倉を数年間に渡って執拗にマークし続ける真山」や「SPEC」の「瀬文の部下の死の謎とニノマエがどう絡んでいくのか?」程の強い引っ張りには感じられなかった。

そして第5話の終わり方も「ここまで投げっぱなしで終わるのか!?」とビックリした反面、らしさも感じた。ただ次の配信がいつになるか分からない状況でこの引っ張りだとやっぱり弱い気がするし、そもそも論を言ってしまうと「ケイゾク」も「SPEC」も回を追う毎に世界観やキャラも馴染み、物語のスケール感も大きくなっていく事で加速度的に面白くなっていった作品だったので連ドラで言う所の半分くらいのボリュームで一先ず区切りを付けたのはエンジンがかかりそうなところでストップをかけてしまったようで少し食い足りなさが残ったというのが正直なところです。

そして更に残念なのがケイゾク」の匂わせ要素が本作の一番の引っ張りになっていて魅力になっている事。もちろん本作は「ケイゾク」から始まった物語であり、着地点に「ケイゾク」の要素が絡んでくるのは良いと思うしファンサービスにもなるだろう。ただ「ケイゾク」「SPEC」と同じ世界を共有しているけど「シックス」独自の魅力がもう少し欲しいなと感じてしまいました。

繰り返しになりますが、製作陣はネット配信を選んだ時点で新規層を取り入れようという気が無いのかなという感じがしました。もちろんソレはソレで良いんですけどね… 

 

 

その他の諸々

  • 無くなったコメント欄

YouTubeの「paravi」公式チャンネルでピンチョス配信が行われていたけど、途中からコメント欄に書き込み出来なくなった。ネガティブな書き込みが多かったからかな?

 

  • ピンチョス配信

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<出典:SPECサーガ完結篇『SICK’S 覇乃抄』|TBSテレビ>

賛否両論のピンチョス配信は次もやるのだろうか?ニワカ視点から書けば無料で見れるのは嬉しいけどビジネス的にはどうなんだ?YouTubeでも毎日流すなら広告とかつければいいのに… 余計なお世話だろうけど。

 

  • ネタを撒いた日大

高座は今年の上半期に話題だった日本大学出身。今回のアメフト騒動でネタを撒いてくれたので次のシーズンでどう生かすか少し楽しみ。高座は日大ブランドに誇りを持ってそうだしね。ちなみに日大フェニックスのコートは彼の卒業した文理学部のキャンパスに設置されています。それはともかく犯人の頭に傘刺さってるシーンがあったけど、アレは殺したの?

 

  • 宇垣アナ

「女子アナがやるレベルの仕事じゃない。干されてるのでは?」みたいなネットニュースが出た宇垣アナ。宇垣アナは今TBSラジオのライムスター宇多丸の「アフター6ジャンクション」の火曜アナウンサーを担当しているけど、宇多丸さんの前で堤幸彦監督作品の話題は出せなかっただろうし宣伝も出来なかったんだろうなと勝手に邪推している。そしてこういう個人の憶測から信用性の薄いネットニュースが出来るんだろうなとも思った。

 

最後に…

色々文句ばかりになってしまいましたが、「黒と白のニノマエイトの意味は!?」とか気になる伏線は多いし小ネタの散りばめ方とかも相変わらずで何だかんだ言って楽しめました。ただ次のシーズンではもう少し空撮が欲しいのと、やっぱり「シックス」だからこその面白さがもっと欲しいです。折角ネット配信という地上波とは違う媒体を選んだのだから。

ただ何度も書きますが、決してつまらない訳ではなく「ケイゾク」「SPEC」が好きな人にはオススメです。

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