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『ターミネーター』シリーズ3度目の3作目『ターミネーター ニュー・フェイト』ネタバレ感想

ターミネーター:ニュー・フェイト (吹替版)

<注意> この記事は『ターミネーター ニュー・フェイト』のネタバレを前提としています

ターミネーター』シリーズ3度目の3作目『ターミネーター ニュー・フェイト』を観た。まず序盤でジョン・コナーがシュワちゃんにぶっ殺されてビックリした。サラ・コナーの夢だと思ったら、本当に殺された。『ターミネーター3』では物語の軸として主人公級の役割を得ていたジョン・コナーだったけど、敵のターミネーターにされた『新起動/ジェニシス』に続いて散々な役割だった。ただ『新起動/ジェニシス』と違って予告編ではその事実は伏せられていた分、観客を驚かせることには成功したわけだからまだ救われたとも言える。

 

 

そんなビックリドッキリな開幕だった『ニュー・フェイト』だったが、新キャラの未来からきた強化人間グレースは身長が高いのもあってかアクションシーンには重量感と迫力があってカッコ良かったし、ピンチ時にいきなり現れてバズーカ砲をぶっ放すサラ・コナーにも痺れた。そんな感じで前半はそこそこ楽しく観ていたのだが、本来待っていたはずのシュワちゃんが登場してから物語の雲行きは怪しくなる。

 

※グレースは目力が強いのも良い

 

 

まず今回のシュワちゃんはジョン・コナーの抹殺に成功したT-800なのだが、任務遂行後はカールとしてシングルマザーとその息子の3人で仲良く擬似家族をやっているという衝撃展開。更に家族を持ったことでサラ・コナーのジョンに対する想いが分かったなどと説明する。当然サラ・コナーからすれば全く納得できない話ではあるが、飼っている犬を撫でながら「家族を持って考えが変わった」などとしたり顔で説明されているわけだから個人的にも「お、おう」感は半端なかった。またロボット兵器というよりは完全に人間のおじいちゃんにしか見えないという違和感もあったが、それは『新起動/ジェニシス』のときも同じだったからツッコミを入れるのは野暮なのだろう。というより「人間らしい」というのが大事なポイントなのだろうが…

 

※よく考えたら犬を撫でるシーンはシリーズファンへのサービスカットだったのだろう

 

※任務を遂行して生きる目的がなくなったシュワちゃんが、偶々父親がいない家族と出会い「この家族を守る」という任務を自分に課した結果「良い人」になったと考えると悪くない気もする。偶々出会ったのがヒットマンとかじゃなくて良かった。

 

※サングラスをかけなかったのは、サラにジョンを殺した自分を思い出させたくなかったという配慮、つまり「人間の心」を持ったという演出だったのだろう

 

 

シュワちゃんの変化問題はさておき、シュワちゃん登場後から物語がスゴいダレる。結局新しい敵のターミネーターも「2体に分裂して戦う」という新要素はあったけど、基本的にT-1000と大差ないうえに分裂を生かしたアクションも殆ど無かったし、シュワちゃんサイドの4人に頼り甲斐がありすぎて「まー、なんとかなるだろう」感が半端なくて緊張感もなかった。何だかんだでシュワちゃんが「ジョンのために…」みたいなセリフを吐きながら敵と共に死んでいくシーンはジーンときたけどね。ただグレースの体内の装置で倒す展開は『ターミネーター3』、シュワちゃんが自己犠牲の精神で敵を押さえながら泣かせる台詞を言う展開は『新起動/ジェニシス』と殆ど同じで「何だかな…」という感じもした。

 

本作は一応新3部作の1作目みたいだけど、興行的に失敗しているから次はないのだろう。グレースがカッコ良かったからオススメといえば、オススメ。「『ターミネーター2』の続編」という視点から『3』『新起動/ジェニシス』『ニュー・フェイト』のアプローチ方法を比較するのも面白いかも…

 

追記

時間を置いてから改めて考えると悪い作品だとは思わないし、グレースとサラがカッコ良かったのは最高だった。映画の全体の空気も好きな部類だ。ただ製作陣が『3・4・新起動』、特に『ターミネーター3』について批判的なコメントをしているのを見ると「そこまでの作品じゃないだろう」とツッコミを入れたくなるくらいには微妙な作品だった。しかも『3・4・新起動』は「忘れてください」としながら、要素要素で『3・4・新起動』のネタを持ってきてるのも残念。