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高校時代クソつまらなくて赤点だった『倫理』をテーマにした漫画『ここは今から倫理です。』

ここは今から倫理です。 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

『ここは今から倫理です。』という漫画を読んだ。

 

高等学校 新倫理 新訂版 文部科学省検定済教科書 [清水書院]

自分の通ってた高校では何故か1年生のときに必修科目として『倫理』という授業があったが、正直な話「クソつまらなかった」という記憶しかない。そもそも最初は『倫理』という文字を読み間違えて、『ろんり』の授業だと思っていた。ちなみに自分以外にもこの勘違いをしていた人は多く、高校のレベルはお察しだ。

実際に使っていた教科書とは違うが、『倫理』の教科書は上のような宗教画が表紙になっていた。そのため「宗教くさい授業だな」ともっぱらネタにされていた。当然『倫理』の授業などまともに聞く気もなく、隣に座ってた女子に倣ってずっとスマホをイジっていた。ノートは一応とっていたが、大学ノートの行線も守らずに書き殴るスタイルで黒板の内容を写しただけなのでテスト前に見直せるような代物ではなかった。その結果テストは赤点。ただ先生曰く「このクラスは4人に1人が赤点だった」という。当然だ。あんな眠くなる授業は聞いてない方が普通。テスト前でも勉強しないのがスタンダードだ。結局自分にとって『倫理』の授業は、高校1年のときに謎に強制受講させられた科目に過ぎず、前述した通り「クソつまらなかった」という記憶しかない。

そんな「クソつまらなかった」という記憶しかなかった『倫理』だが、TSUTAYAの漫画コーナーに行くと「オススメ漫画」として『倫理』をテーマにした漫画が棚に並んでいた。映画評論家の町山智浩さんだかが、昔「アメリカと違って日本は何でも漫画にしてしまう」みたいなことを言っていた気がするが、あの「クソつまらなかった」という記憶しかない『倫理』まで漫画になるのかと驚きながら手に取ってみた。

 

 

物語はある高校を舞台に、選択授業として『倫理』を選んだ高校3年生15人と倫理を教える先生の出来事が描かれる。その出来事というのは、多くの人が想像する通り問題を抱える生徒に対して主人公である倫理の先生が哲学者の言葉などを引用しながら「ありがたいお話」をすることで生徒たちの心のモヤモヤが晴れていくというもの。学園漫画にありがちな「よくもまー、こう都合よく問題を抱える生徒が集まりましたね」というツッコミを入れながら読んだが、これが結構面白い。何よりあんなにつまらなかった『倫理』の授業が、面白く読め、尚且つ「タメになるな」と思えてしまうのが凄い。さすがに「こういう先生に『倫理』を教えてもらいたかった」までは思わないけど、こういう先生に『倫理』を教わっていたら高校生活の見え方も少しは変わっていたかもしれないとは思った。

 

 

主人公の先生は『倫理』について授業の初っ端に「倫理は学ばずとも困ることはない」と冷淡に説明する。高校時代『倫理』の授業を右から左に聞き流していた自分からすれば「そりゃそうだ」と思うし、恐らく殆どの人が高校時代に『倫理』という授業は受けていないわけだから『倫理』は別に学ばなくても困ることはないというのは本当だと思う。ただ本作の中では主人公は教え子に恋をしてしまった童貞の物理の先生に「物理は"物のことわり" 倫理は"人間関係のことわり"を学ぶ授業です 石を水に投げ入れた時 何故水面に波紋が生まれるのかを考えるのが物理で… 人に言葉を投げかけられた時 何故心が波立ち苦しくなるのかを考えるのが倫理です 大事だと思うんですけどけどね どちらも」と説く。

 

 

自分はこのセリフを読んで「『倫理』を学ぶことの意味」みたいなものが少し見えた気がした。そして『物理』も赤点だったことを思い出した。

 

ここは今から倫理です。 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

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