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【ネタバレ】スネイプ先生はいい人?かっこいい?原作と映画で印象が異なる『ハリー・ポッター』シリーズ「影の主人公」の正体

ブロマイド写真★『ハリー・ポッター』スネイプ(アラン・リックマン)/片手を後ろにまわす

『ハリー・ポッター』シリーズのセルブス・スナイプ先生はヴォルデモート側の人間かと思いきや、実は「ハリーの母・リリーのことを愛しているが故にダンブルドアのスパイとしてヴォルデモート側に潜入して、ハリーのことを守っていた」ことが明かされる「影の主人公」的存在だ。そのためネットではスネイプ先生は「いい人」「かっこいい」扱いされるケースも多い。ただそうしたイメージは映画版の印象によるものが大きい。

 

  • 「いい先生」像は映画版のオリジナルシーン故か

「映画版はアラン・リックマンの渋くてカッコいいルックスのイメージに引っ張られている」みたいな話は置いておいても、映画版と原作のスネイプの印象は大分違う。まず映画版のスネイプは「教師としていい先生」というイメージがある。『アズカバンの囚人』でオオカミと化したルーピンからハリーら3人を身を挺して守ろうとしたシーンは象徴的だ。

また『炎のゴブレット』では授業中おしゃべりをしているハリーとロンを注意するために、態々長めの襟を捲って2人の頭を押さえるなど、ユーモア溢れるシーンもある。こうしたシーンの積み重ねからはスネイプは「授業態度や成績に厳しいから生徒から嫌われているだけで、ちょっとお茶目な面もある普通にいい先生」「生徒を守るために体も張れるカッコいい先生」みたいな印象になる。ただ上述した2つのシーンは映画オリジナルで原作にはない。それどころか『アズカバンの囚人』の原作ではハリーらのもとに駆けつけたスネイプは学生時代の恨みから理性を失い、シリウスやルーピンの話を聞かないどころか、ハリーに対して「蛙の子は蛙だなポッター、我輩は今お前のその首を助けてやったんだ、コイツ(シリウス)に殺されれば自業自得だったのに、お前の父親と同じような死に方をしただろうに」と暴言を吐き、ハリー・ロン・ハーマイオニーの3人から同時に呪文をかけられ気絶させられる始末。しかも気絶したスネイプはシリウスの宙吊り呪文によって低い天井に頭をぶつけられながら移動させられる散々な描写がされており、映画版の「かっこいい」とは正反対のシーンとなっていた。また映画版でのスネイプの生徒に対する意地悪な描写は『賢者の石』でのハリーに対する初授業のシーンくらいだったが、原作ではスリザリンへの露骨な優遇とグリフィンドールへの理不尽な減点も目立つ。こうしたシーンは「いい先生」のイメージから程遠い。

 

 

  • リリーに対して「穢れた血」

また『不死鳥の騎士団』では「スネイプはホグワーツの生徒時代にハリーの父・ジェームズからイジメを受けていた」ことが明かされる。そのため「いい人だと思ってたジェームズはイジメをしていた嫌な奴で、スネイプは陽キャにイジメられていた陰キャ」「その上、初恋の相手・リリーは憎き相手・ジェームズと付き合って可哀想」みたいな印象が強い。ただ映画版では描かれていなかったが、原作ではハリーが覗き見たあのイジメの現場にはリリーもいて、彼女はジェームズからスネイプを庇っていた。しかしスネイプは助けてくれたリリーに対して恥ずかしさやプライドもあってか「あんな汚らしい穢れた血の助けなんて必要ない」と言い放ってしまい、それをキッカケに両者の関係は絶縁してしまう。その上、ジェームズは上級生になるにつれて素行を改めていったのに対して、スネイプは闇の魔術に没頭。もちろん「ジェームズらが集団でスネイプをイジメなければ、また違った展開も…」みたいなことを言い出せばキリがないが、ジェームズの高学年での「切り替えスイッチ」の強さによって両者に差が出たことは否めない。また原作ではジェームズがスネイプのピンチを命懸けで救ったりと真意は不明だが、見方によっては「映画版ジャイアン」的な優しさも見せてはいた。

 

 

  • リリーが殺害されたキッカケは…

またそもそもリリーが殺されたのはデスイーター時代のスネイプが「7月に闇の帝王を倒す赤ちゃんが生まれる」という趣旨の預言をヴォルデモートに伝えたから。もちろん、その時点でスネイプはその赤ちゃんの母親がリリーだとは分かっていなかった訳だが、結果的にリリーの殺害に深く関与してしまったのも間違いない。ただ映画版だけではそうしたスネイプの「罪」の部分は全くと言って良い程伝わってこないので、自身が愛したリリーの子供・ハリーを生涯をかけて守った「いい人」という印象が強くなる。しかし映画でカットされた原作のエピソードを踏まえると、スネイプに「いい人」という表現はあまり適切ではなく、「リリーへの愛」は本物な一方で人物としてはハリーが息子の名前にするなど一応善寄りではあるが、もっと「グレーな存在」として描かれている。

 

 

  • 最後に…

色々と書いてきたが、個人的には映画版の『アズカバンの囚人』でスネイプがハリー達を守ろうとするシーンとか思い入れがあるので、原作と映画どっちも好きなのを前提に、どっちかを敢えて選ぶなら映画版の方が好き。スネイプの最期の記憶も原作は青みがかった銀色の気体でも液体でもないモノが口、両目、両耳から溢れ出ていた的な演出だったのに対して、映画版はスネイプの目から流れた一筋の涙的な演出でロマンチックだった。ハリーが見るスネイプの記憶のシーンもオールタイムベスト級の名シーン。

 

 

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