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「時間は止められない」「失敗に終わることもある」、打ち切り悲しかった『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ

ブルーレイ2枚パック  アメイジング・スパイダーマンTM/アメイジング・スパイダーマン2TM [Blu-ray]

サム・ライミ監督版『スパイダーマン』とMCU版『スパイダーマン』の間には、ソニー・ピクチャーズの興行的期待に応えられず打ち切りになったマーク・ウェブ監督版『アメイジング・スパイダーマン』があった。

 

  • 日本での興行収入が半減した『アメスパ』

アメイジング・スパイダーマン (吹替版)

『アメイジング・スパイダーマン』は2012年に公開された『スパイダーマン』のリブート作品。当時は「リブートとリメイクの違いは!?」みたいのが話題になっていた記憶がある。サム・ライミ監督版の『スパイダーマン3』から5年、特別映画好きとかでなくても「えっ!?スパイダーマン、役者変えて新しくなるの?」みたいな話になるくらいにはサム・ライミ監督版の『スパイダーマン』は日本で定着しており、恐らくそれは世界規模のものだったのだと今にして思う。

スパイダーマン (吹替版)

『アメスパ』はサム・ライミ監督版とは大きく異なる目元が黒でラバー調のスーツ、アメコミの原作通りとはいえ映画しか知らない日本人には馴染みのない「ウェブシューター」とやたらと暗い画面にも関わらずジョークを飛ばすスパイディ。そして何より知らない役者たち。日本での興行収入はサム・ライミ監督版は70億円前後の大ヒットだったが、『アメスパ』の1作目は3D上映でチケットアベレージは上昇したにも関わらず31.6億円と前シリーズの半分にも届かず、多くの日本人が本作に違和感を持っていたことを物語っていた。

 

 

  • 早々に正体を明かすピーター

マーベルセレクト/アメイジング・スパイダーマン/リザード アクションフィギュア

そして、また自分も多くの日本人同様に『アメスパ』に違和感を持った1人だった。ネットで集めた情報により「ウェブシューター」やジョークを飛ばすスパイディは原作通りと理解するも、サム・ライミ監督版『スパイダーマン』の「好きな女の子が中々こちらを振り向いてくれない感」と「好きな女の子に正体を明かせない葛藤」みたいはのが好きだった自分としては、『アメスパ』のいきなりグウェンに正体を明かすピーターには気持ちが乗り切れなかった。また1作目のヴィラン・リザードも『スパイダーマン2』のドクター・オクトパスと役割が似ている上にビジュアルは前シリーズより地味に感じ、橋での人命救助も前シリーズへの既視感を覚えた。そのため「別に悪くないけど、自分はサム・ライミ監督版の方が好きだな。なんか画面もやたら暗いし」みたいな感想を持ち、周囲にも「なんか、またベンおじさんが死ぬんだよw」と茶化すようなことを話していた。

 

 

  • 時計塔でのグウェンの死

アメイジング・スパイダーマン2

それから2年後の2014年、続編『アメイジング・スパイダーマン2』が公開された。予告編では「オズコープ社」「グリーンゴブリン」と聞き覚えのある単語が並び「またかよw」感もあった。その一方で電気を派手に使う新ヴィラン・エレクトロに期待もあった。

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そして自分は本作を持って1作目から『アメスパ』の評価を上方修正することになる。冒頭からこれまで明かされてなかったピーターの両親の死の描写で引き込まれ、前作では暗いコスチュームと画面によって食い合わせの悪さも感じさせたスパイディのジョークが目元が白で明るいコスチュームに変更し、画面も明るくなったことで楽しく観れた。3D効果も抜群でニューヨークのビル街を飛ぶシーンはライド感があり、アクションシーンも見応え抜群だった。また前作では「原作通りといっても、手から直接出る方がロマンがあるよね」という意見もあった、「ウェブシューター」もエレクトロ戦では戦闘描写でも見応えのある使われ方をし、更にピーターが理系の成績がトップレベルであることとグウェンの秀才さが生かされる装置になっていた。

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そしてラストのグウェンの死。オープニングで歯車と時計の描写を見せた本作は、クライマックスの時計塔で歯車を食い止めていた、つまりは時間を止めようとしていたピーターの糸が、歯車が回ること、つまりは時間が進むことによって切れてしまい、ピーターが再び放った「糸」という名の「手」が彼女を捉えることはできなかった。ピーターはグウェンの父との約束を守れず彼女を失ってしまったことを悔やみ、長い月日を虚無に過ごす。しかしメイおばさんがベンおじさんとの思い出を整理して正しい場所にしまうことで前に進もうとする姿を見せられ、ピーターもグウェンとの思い出を整理し始める。そしてピーターは自身が卒業式では聞き逃したグウェンのスピーチを聞き、グウェンと過ごした時間によって与えられたものを正しい場所にしまい直し、自らがやらなければならないこと、再びニューヨーカーの希望になることを決める。本作のメッセージは時間は進み続けること、そしてその止めることのできない事実によって希望を抱き続けれない時があること、それでも強く生き続けなければならないことだったのだと感じた。

 

 

  • 最後に…

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本作観賞後、本当かどうかは分からないが劇中でグウェンがスパイダーマン姿のピーターを公衆の面前で「ピーター!」と叫んでしまい自らの口を塞ぐというシーンは、役になりきっていたエマ・ストーンのミスだったが、そのまま使ったみたいな話を聞いて「素晴らしい映画だったな」と噛み締めた。しかしその後「良いニュースと悪いニュース」が同時に飛び込む日が来る。それは「スパイダーマンがMCUに参戦すること」、そして「『アメスパ』は打ち切りになること」だった。つまり本作は「失敗に終わった」作品となった。それでも誰かの希望となったのも事実なのだろう。最後にエマ・ストーンがシリーズ打ち切りの4年後の『73の質問』で、「好きなスーパーヒーローは?」という問いに「今でもスパイダーマンよ」と返答してくれたことをとても嬉しく思ったことを記しておく。

 

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