『奥様は、取り扱い注意』『シグナル』『科捜研の女』『ルパンの娘』『きのう何食べた？』、TVドラマの劇場版「興行収入」2021

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2021年度公開テレビドラマの劇場版を「視聴率」と「興行収入」を軸に振り返り。

劇場版奥様は、取り扱い注意

2017年10〜12月クールに日本テレビ「水曜ドラマ」枠で放送されていた『奥様は、取り扱い注意』の劇場版。元特殊工作員という正体を隠してトラブルを解決する綾瀬はるか演じる主婦と元公安のエリートであることを隠している西島秀俊演じる夫の物語。放送当時は綾瀬はるかのアクションシーンも注目を集め、ドラマ版の最終回が夫が妻に拳銃を突きつけるシーンで終わっていたことから、続編が待望されていた。

そんな本作の劇場版はアクションシーンはもちろん、舞台をドラマ版の「高級住宅街」から「海辺の地方都市・珠海市」に移し、主人公の立ち向かうものも「ご近所トラブル」から「国家レベルの陰謀と過去の因縁」にスケールアップ。それでいて「夫婦」の関係性により焦点を当てたことから、ドラマファンからは「待ってました！」という声がある一方で、「ドラマのご近所さんを巻き込んだホームコメディ感が好きだったのに…」とガッカリする声も… そのため、劇場版から観た人は「そういうものだ」と思って観るので、他のテレビドラマの劇場版と違って「知らないこと」が作品を楽しむにあたって「プラス」にもなる珍しいタイプの作品でもある。

本作の最終興行は11.9億円とまずまずのヒット。ただテレビドラマが平均視聴率12.7%、最高視聴率14.5%のヒット作だったことを踏まえるともう少し欲しかったかも。ちなみに地上波初放送は西島秀俊主演『ドライブ・マイ・カー』が日本アカデミー賞を最多受賞した翌週なのは運がいいのか狙ったのか…

奥様は、取り扱い注意：綾瀬はるか×西島秀俊の人気ドラマが映画化 “史上最強の夫婦げんか”のその後描く - MANTANWEB（まんたんウェブ）

劇場版『奥様は、取り扱い注意』公式サイト

劇場版シグナル　長期未解決事件捜査班

2018年4〜6月クールにフジテレビで放送されていた同名韓国ドラマをリメイクした連ドラの劇場版。現代を生きる刑事と過去を生きる熱血刑事が謎の無線機によってつながれ、交信しながら未解決事件を解き明かしていく刑事ドラマ。劇場版では韓国ドラマ版にはない日本独自のオリジナルストーリーを描いた作品となっている。

本作はテレビドラマ版の平均視聴率が関東地方では終始一桁だった一方で、関西地方では最終回13.5%の高視聴率を記録した「西高東低」な作品。そのため「低視聴率ドラマが映画化」とも違うよく分からないポジションの作品だったが、劇場版の方はドラマ放送から3年の空白があったこともあってか、興行収入10億円に届かない残念な結果に終わった。

『劇場版シグナル長期未解決事件捜査班』公式サイト

坂口健太郎初主演「シグナル」最終回は９・２％関西は１３・５％で有終の美 : スポーツ報知

科捜研の女 -劇場版-

テレビ朝日で1999年から20年以上にわたり放送されている沢口靖子主演人気科学捜査ミステリードラマ初の劇場版。テレビドラマの劇場版においては「まさかの映画化！」というフレーズが多用されるが、テレビドラマの劇場版が当たり前になった昨今、人気ドラマに対して「まさかの映画化！」、というかテレビドラマが映画になるという「違和感」を味わえる作品も珍しい。何なら主演の沢口靖子がインタビューで「まさか」と答えているレベルだ。ただこれは良い意味で本作がお茶の間にテレビドラマとして定着しているが故の話なのだろう。

何となく舐めがちな作品だが、映画ならではのスケールでコロナ禍を意識した「細菌」を題材にした内容。映画の興行収入としては5億円程度だったが、同じくテレ朝の人気ドラマ『相棒』の劇場版が地上波放送で繰り返し放送して高視聴率を獲得していることから、本作の本領発揮はやはりテレビになるのではないかと感じる。

『科捜研の女 -劇場版-』京都撮影所潜入記。振り返るとそこに沢口靖子がいた！：telling,(テリング)

劇場版　ルパンの娘

2019年と2020年に横関大氏の人気小説を深キョン主演でドラマ化した作品の劇場版。ドラマを2年連続2シーズンもやって尚且つ映画化までしているので、当然高視聴率番組なのかと思いきや、シーズン1の時点で全話一桁かつ最低視聴率5.7%と中々厳しい数字。それでいてシーズン2を放送して再び全話一桁を記録し、最終回では2シーズン通して最低視聴率の4.8%をマーク。映画版も案の定大コケで「テレビドラマと映画をセットで作って共倒れというケースはよく見るけど、シーズン2と映画を作って共倒れというのは珍しい」という感じ。

とはいってもテレビドラマ版のシーズン1の最終回がそれまでを大きく上回る自己最高の9.8%を記録し、『のだめカンタービレ』『テルマエ・ロマエ』『翔んで埼玉』など数々のヒット作を生み出した武内英樹監督作品だけあって、映画版で化ける可能性に賭けたのかも。とはいっても現実は厳しかった。

深田恭子主演「ルパンの娘」最終回視聴率は番組最高９・８％でフィニッシュ : スポーツ報知

深田恭子主演「ルパンの娘」最終回視聴率は世帯４・８％、個人２・６％でフィニッシュ : スポーツ報知

劇場版「きのう何食べた?」

2019年4〜6月にテレビ東京で放送されていたよしながふみ先生の同名漫画を西島秀俊と内野聖陽のＷ主演でドラマ化した作品の劇場版。深夜ドラマにも関わらず、最終回では番組最高視聴率の3.7%を記録。平均視聴率も3%を超え、ネット配信も好調な作品だったという。

そんな本作の劇場版の最終興行は13.9億円と昨年度のテレビドラマの劇場版作品の中ではトップの数字。しかもドラマファン以外からも評価が高い作品となっている。

西島秀俊、内野聖陽Ｗ主演「きのう何食べた？」最終回視聴率は番組最高タイ３・７％ : スポーツ報知

最後に…

2021年度公開のテレビドラマの劇場版はメチャクチャ大ヒットしたみたいな作品はなかったが、今年度は既にヒット作が複数出ているので、このジャンルが今後消えることはないのではないかと思う。ちなみに昨年12月に公開(映画興行的には今年度扱い)されて大ヒットした松本潤主演『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』にも西島秀俊が出演している。

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