2021年映画興行収入レポート、年間ランキングトップ10の1〜5位編。
第1位 シン・エヴァンゲリオン劇場版
公開日:2021年03月08日(月)
公開館:346館(466スクリーン)
配給:東宝・東映・カラー
オープニング:33億3842万2400円(7日間)
東京都・新規感染者:116人
最終興行:102.8億円
第1位は庵野秀明総監督の『新世紀エヴァンゲリオン』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』両シリーズの完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で最終興行は102.8億円。新型コロナウイルス等により公開延期を繰り返し、最終的に公開10日前に業界では異例の月曜公開を発表。緊急事態宣言発出中の平日公開にも関わらず、初日だけで8億円を超える大ヒットスタートを切った。
一方で2週目の累計興行が50億円を下回ったことから、100億円突破に早くも黄信号が灯るも、庵野秀明総監督は舞台挨拶で「ロボットアニメの『エヴァンゲリオン』が、『ガンダム』ですら到達しなかった100億に行けば、アニメ界にとっていいことだと思う」と興行収入100億円突破への想いを吐露。それでも興行収入100億円突破には厳しい推移が続き、現実的な到達ラインは90億円前後というのが大方の予想だった。
しかし公開14週目に細かなカットの差し替え等を行った『EVANGELION:3.0+1.01』の公開と共に100万人限定で36ページの冊子「公式謹製 36P冊子『EVA-EXTRA-EXTRA』(A4)」を配布。その結果、前週対比で動員939.8％、興収960.5％という驚異的な数字を記録して週末ランキング1位に返り咲き。その後も「終映宣言」によりイベント感を煽るなど、製作側とファンの意地と根性による粘りで興行収入100億円突破を実現させた。
国内映画ランキング(2021年3月13日～2021年3月14日) - 映画.com
興収100億円を目指す シン・エヴァの庵野秀明総監督：朝日新聞デジタル
『シン・エヴァンゲリオン〜』が公開から14週目にして首位に返り咲き！『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』ほか新作4本がランクイン（6月12日-6月13日）／ニュース - CINEMAランキング通信
『シン・エヴァ』7月21日(水)終映。7月6日(火)「続0706作戦」実施決定！7月11日(日)フィナーレ舞台挨拶決定！ – エヴァンゲリオン公式サイト
第2位 名探偵コナン 緋色の弾丸
公開日:2021年04月16日(金)
公開館:372館(497スクリーン)
配給:東宝
オープニング:22億1813万800円(3日間)
東京都・新規感染者:666人
最終興行:76.5億円
第2位は青山剛昌による大人気コミックの劇場版シリーズ最新作『名探偵コナン 緋色の弾丸』で最終興行は76.5億円。本作は4年に一度開かれる世界最大のスポーツの祭典「WSG ワールド・スポーツ・ゲームス」東京開催が舞台の作品で、本来は2020年公開予定であったが、祭典のモデルである「東京オリンピック・パラリンピック」が1年延期されることと合わせたのか、東宝が毎年公開しているテレビアニメの劇場版シリーズの中で当時としては唯一の1年延期を発表。
そのため本作はタイトルと公開延期を掛け合わせた「再装填（リロード）プロジェクト」を実施し、1年延期となった2021年公開バージョンの予告編では当初の公開予定日から新たな公開予定日までの期間の日付を次々と見せ、コナンが「悪りぃ、待たせちまったな」と発言するなど、公開延期を逆手に取った宣伝を展開。更に本作公開前の2月には映画のキーパーソンとなる赤井ファミリーに焦点を当てたテレビシリーズ特別総集編『緋色の不在証明』を公開して興行収入12億円超えを記録するヒットとなり、期待を煽った。その結果、本作のオープニング3日間の興行収入は22億円を超えてシリーズ歴代最高のスタートを記録。東宝も「シリーズ初の興収100億超円確実の大ヒットスタート」と鼻息が荒かったが、翌週から3回目の緊急事態宣言が発出され、東京・大阪・京都・兵庫の4都府県の映画館に休業が要請され大ブレーキ。最終的に7作連続で更新していたシリーズ最高興収の記録もストップする関係者とファンには悔しい結果となった。
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国内映画ランキング(2021年4月17日～2021年4月18日) - 映画.com
『名探偵コナン 緋色の弾丸』興収100億円超え確実の弾丸スタート！池田秀一、安室人気に「焦燥感あった」｜最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
第3位 竜とそばかすの姫
公開日:2021年07月16日(金)
公開館:379館
配給:東宝
オープニング:8億9166万3200円(3日間)
東京都・新規感染者:1272人
最終興行:66.0億円
第3位は細田守監督最新作『竜とそばかすの姫』で興行収入は66.0億円。
細田守監督は2013年の宮崎駿監督引退宣言(後に撤回)と2014年のスタジオジブリ制作部門の休止により、日テレ及び日本アニメ映画業界から「ポスト宮崎駿(ジブリ)」を期待され、2015年に『千と千尋の神隠し』を彷彿させるファンタジー映画『バケモノの子』を公開して興行収入58.5億円のヒットを記録。一方で作品自体の評価はネガティブな声も多く、興行収入も当初の目標70億円には及ばなかった。
そんな中、2016年に新海誠監督が『君の名は。』で興行収入250.3億円のメガヒットを記録。また2018年公開の『未来のミライ』が興行収入28.8億円と『時をかける少女』以降、常に右肩上がりだった興行収入も前作から大幅にダウンして、良くも悪くも期待値を下げる結果となった。
こうした流れで公開された本作は『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』『サマーウォーズ』と同じインターネットを題材にしており、敢えて外しに行った感すらあった『未来のミライ』に対して興行的に当てにいった感のある作品。CG技術と予算の進歩により描き込まれたインターネット空間は『サマーウォーズ』との対比で宣伝しやすく、『アナと雪の女王』『君の名は。』のヒットに大きく貢献した音楽もメイン要素として扱った。その結果、興行収入は細田守監督史上最大のヒットを記録。一方で作品の世評は作画とミュージカル面では高い評価を得る一方で終盤の展開は批判意見が目立ち、ライト層からは既に国民的な地位を獲得している『サマーウォーズ』との対比を余儀なくされた。また関係者が本音レベルで求めてるであろう興行収入100億円突破からは、ほど遠い結果となった。
国内映画ランキング(2021年7月17日～2021年7月18日) - 映画.com
第4位 ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”
公開日:2020年11月26日(金)
公開館:200館
配給:松竹
オープニング:17億8796万5860円(先行上映含む)
東京都・新規感染者:19人
最終興行:45.5億円見込み
第4位は昨年12月に活動休止をした人気アイドルグループ・嵐のデビュー20周年記念ツアー2019年12月23日東京ドーム公演のライブ映画『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』で最終興行見込みは45.5億円。本作は嵐初主演映画作品『ピカ☆ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』でメガホンを取った堤幸彦監督作品で、「5×20」にちなんで100台のカメラでライブを納めようと企画され、最終的にドローンカメラ含めて125台のカメラが使用され、日本の大作映画1本分の製作費が投下されたという。
本作はこれまで嵐のメンバーの主演映画で最高興行を記録していた二宮和也主演『GANTZ』の34.5億円を突破して嵐主演映画の中でも最大のヒットを記録。ドルビーシネマ限定の先行上映の公開日を嵐のデビュー日・11月3日、公開日をリーダー・大野智の誕生日・11月26日に設定し、公開初日の舞台挨拶では活動休止以来初めて相葉雅紀、松本潤、二宮和也、櫻井翔のメンバー4人がサプライズで集結。芸能活動を休止中の大野智も舞台挨拶にメッセージを送り、同日にはTwitterにも登場してメンバーとの絡みを見せるなどファンを沸かせた。
本作は活動休止した嵐が夢の続きを見せてくれるだけでなく、新型コロナ感染拡大により「それまでは当たり前だったコロナ禍直前のライブの熱気の真空保存」と「生配信ライブで一時的な幕を閉じざるを得なくなってしまったメンバーとファンにとって、チケットを購入して劇場に行って帰る生のライブにある喜びを少しでも取り戻す」という２つの役割も持ち合わせる作品となった。
国内映画ランキング(2021年11月27日～2021年11月28日) - 映画.com
嵐、デビュー日に4人でサプライズ登壇＆近況報告！ 大野智からメッセージも『ARASHI 5×20 FILM』先行初日舞台挨拶 | cinemacafe.net
活動休止中の大野智「智は興奮しておるぞぉ〜!!」と“嵐ツイート祭り”に参戦 | ORICON NEWS
第5位 東京リベンジャーズ
公開日:2021年07月09日(金)
公開館:350館(350スクリーン)
配給:ワーナー・ブラザース
オープニング:6億9643万4440円(3日間)
東京都・新規感染者:823人
最終興行:45.0億円
第5位は和久井健氏の人気コミックを実写映画化した『東京リベンジャーズ』が興行収入44.7億円。
本作は映画公開と同時期にテレビアニメも放送されており、相乗効果で人気を獲得。原作コミックスの累計発行部数も昨年9月の500万部から4000万部まで伸ばし、今年の検索ワードランキングでも上位を獲得するなど『呪術廻戦』と共に2021年を代表する漫画とされる。
本作は続編も内定しているという報道もあるが、今年は後述する実写映画版『るろうに剣心』シリーズが完結したことを踏まえると、日本のワーナー・ブラザースとしては、いい感じに人気漫画の実写映画シリーズのバトンタッチを成功させる形となった。
国内映画ランキング(2021年7月10日～2021年7月11日) - 映画.com
東京卍リベンジャーズ：累計4000万部突破 1年で8倍に急増 アニメ、実写映画人気が追い風に - MANTANWEB（まんたんウェブ）
- 最後に…
『シン・エヴァ』も『コナン』も『るろ剣』も、良くも悪くも異例の形となった本年度のヒット作品。それでも『東京リベンジャーズ』という新たなフランチャイズが生まれたのは希望か…
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2021年度映画興行収入ランキング6〜10位
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2021年12月31日
6位 ARASHI 5×20 FILM 40億円以上
7位 新解釈・三國志 40.3億円
8位 花束みたいな恋をした 38.1億円
9位 マスカレード・ナイト 37〜39億円
10位 ワイルド・スピード／ジェットブレイク 36.6億円
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