映画化30周年記念作品『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』が公開された。
- 『ロボとーちゃん』以降、興行は全盛期へ
今年で30周年の『映画クレヨンしんちゃん』シリーズは原恵一監督の『オトナ帝国』と『戦国大合戦』によって「ただの子供向け映画と舐めるべからず」という空気がある一方で、20周年記念作品『嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス』では興行収入9.8億円とシリーズ2回目の興行収入10億円割れを記録するなどシリーズの低迷期を迎えていた。しかし21作目『バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』では臼井儀人先生の原作をリスペクトした形での脚本ブラッシュアップを行った結果、興行収入13.0億円と評判と共に大幅回復。
更に翌年の2014年公開『ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』ではひろしがロボットになるという荒唐無稽な設定からの感動物語として『オトナ帝国』『戦国大合戦』以来の傑作と話題を呼び、興行収入18.3億円と当時としてはシリーズ歴代3位のヒットを記録。
そして2015年公開の『オラの引越し物語 〜サボテン大襲撃〜』で興行収入22.9億円と2作目『ブリブリ王国の秘宝』以来21年ぶりの興行収入20億円突破かつシリーズ1作目にして22年間興行トップを守り続けてきた『アクション仮面VSハイグレ魔王』の興行収入22.2億円を上回り、シリーズ歴代No. 1ヒットを更新した。その後2016年公開『爆睡!ユメミーワールド大突撃』で興行収入21.1億円と2年連続20億円突破し、2017年公開『襲来!!宇宙人シリリ』で16.2億円、2018年公開『爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~』で18.4億円、2019年公開『新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜』で20.8億円を記録。3作目以来長年基本10〜15億円で安定していた本シリーズは22作目以降16〜22億円とワンランク上の興行推移をする「興行的全盛期」となった。
- コロナ禍でも毎年公開
一方で2020年公開の28作目『激突!ラクガキングダムと ほぼ四人の勇者』は新型コロナウイルス感染拡大により4月公開のゴールデンウィーク興行から9月公開のシルバーウィーク興行に公開延期。本作同様に当初の公開日から延期された同年公開の『映画ドラえもん』『劇場版ポケットモンスター』同様に「コロナの影響で親が子供を映画館に連れて行くのを避けた」「公開時期がズレて毎年恒例の習慣が壊れたり、そもそも公開されたことへの認知が低かった」ことが影響したのか興行収入は11.8億円までダウン。一方でゴールデンウィーク公開では『名探偵コナン』などの話題作揃い中々獲得出来ない動員ランキング初登場1位を記録する記念すべき作品ともなった。また奇しくもコロナ禍の状況とマッチした内容も含めて高い評価を収めている。
そして2021年には29作目『謎メキ! 花の天カス学園』を公開。本作は当初の公開予定日前日に新型コロナ感染拡大の影響から公開延期を発表するハプニングもあったが、無事同年夏に公開。興行収入も17.7億円とコロナ禍前の水準をクリアするヒットを記録し、風間くんにスポットを当てた作品内容も高評価を得た。また『映画ドラえもん』『劇場版名探偵コナン』『劇場版ポケットモンスター』といった他の東宝の毎年恒例の国民的アニメの劇場版がコロナ禍の2年で最低でも1年間の公開延期を挟んだ一方で、本シリーズは唯一コロナ禍でも休むことなく年1公開を守った。
- 2年ぶりのゴールデンウィーク公開
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— 映画大ヒット上映中✨クレヨンしんちゃん【公式】 (@crayon_official) 2022年4月14日
ほっほーい🙌
オラがいっぱい!
30周年おまとめムービーだゾ!
⋱
たくさんの笑いを届けてきた
野原一家と #映画クレヨンしんちゃん を振り返ろう🎞
今年は記念すべき30作目🎉#忍者しんのすけ 参上🥷
映画館で観るでござるゾ👀 pic.twitter.com/PIoJVOiLED
そんな本作が今年は2年ぶりのゴールデンウィーク公開に帰ってきた。今年は『映画ドラえもん』も春公開に戻り、ゴールデンウィークには公開日こそ1週間のズレはあれど『名探偵コナン』と『クレヨンしんしん』がセットで観れるというのは嬉しい。また同時期公開の『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』では主演のエディ・レッドメインらが来日。コロナ禍以前の「当たり前」が少しずつ戻ってきていることが分かる出来事だった。そんな最新作はオープニング3日間で興行収入3.5億円のスタート。これはコロナ禍前のゴールデンウィーク興行で封切られ、最終興行20.8億円を記録した『新婚旅行ハリケーン 失われたひろし』のオープニング3日間の興行収入3.16億円と昨年の夏公開で最終興行17.7億円を記録した『謎メキ!花の天カス学園』のオープニング3日間の興行収入3.07億円を上回るスタート。『映画ドラえもん』がコロナ禍で低迷する中で、『しんちゃん』は最新作も平時並みの最終興行15〜20億円が期待できる大ヒットスタートとなった。
- 最後に…
10年後も20年後も『クレヨンしんちゃん』の映画が当たり前のように公開されている平和な未来を望む。
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