2023年度冬休み映画興行収入振り返り。
- 『スラダン』『すずめ』、アニメ映画好調
この冬一番のヒットとなったのが原作者・井上雄彦監督による『THE FIRST SLAM DUNK』で最終興行見込みは90〜100億円程度。公開前は「テレビアニメ版からの声優交代」「手描きではなく3DCGアニメ」であることが大炎上し、尚且つ「26年前に完結済みであること」「あらすじが未公開だったこと」などから、興行的に不安視されていたが、蓋を開けてみれば世代を超えての大ヒット。オープニング興行の成功はあらすじを徹底的に伏せたことで観客の興味を惹くことに成功したという分析が有力。サッカー・ワールドカップの盛り上がりがプラスに働いたという説もある。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー曰く今年公開の宮崎駿監督最新作も「スラダン方式」でヒットを狙うという。
11月11日と冬休み映画としては早過ぎる封切りだった新海誠監督最新作『すずめの戸締まり』も年末年始で勢いを落とすことなく好調を維持。通常の11月上旬公開映画なら年末年始には上映回数はあって1回、上映終了していてもおかしくない時期だが、ここは流石『君の名は。』『天気の子』で2作品連続興行収入100億円突破を記録した監督の作品。本作も興行収入は100億円を超えた。一方で東宝が狙う最終興行150億円超えはやや厳しそう。
前2作品ほどのヒットには至ってないが原恵一監督最新作『かがみの孤城』もSNSでの評判が良く、『河童のクゥと夏休み』 『カラフル』 『百日紅』と「作品内容は良いのに興行的には振るわない監督」とされている原恵一監督作品としては珍しく、と書いては失礼だが最終興行7〜8億円程度見込みとそこそこ入ってる。
- 『アバターWoW』、まさかの日本のみ不発
アニメの勢いに押されたのか、興行的に振るわなかったのが国内史上最多の全国1466スクリーンで封切られたこの冬一番の大本命のはずだったジェームズ・キャメロン監督最新作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』。1作目は当時珍しかった奥行きを表現した本格3D映画として社会現象となり最終興行156.0億円の大ヒットを記録したが、続編である本作は「#アバ体験」と3D推しの宣伝をするも最終興行は35〜40億円程度見込みと前作から大幅ダウン。しかも世界的にはメガヒットをしており、日本だけが興行的に外した形。キャメロン監督は来日記者会見で披露されたイルカショーに不快感を示していたとの報道もあり、3作目以降は来日しないのではないか、などと噂されている。オープニング興行が振るわなかったからか、年末年始には「#アバ泣き」と「ドラ泣き」をパクった感動推しのハッシュタッグを突如打ち出してきたことも一部では話題となった。日本では「SF」「映像体験」で推すより「感動」で推した方が動員が見込めるという話もあるので気持ちは分からないでもない。でも某有名アカウントの感想をTwitterの公式アカウントがリツイートしたのにはドン引き。作品そのものよりも日本の広報への不評が目立った印象を受けた。
また実写洋画としてはDCU最新作『ブラックアダム』も不発。年末年始は『アバターWoW』など話題作にスクリーンを持っていかれてまともに稼働しているとも言い難い状況で、これなら12月公開になんてしないで本国と同じ10月末公開のがまだ入ったのでは、と思わなくもない。
- 実写邦画、福田雄一監督最新作が久々にコケる
実写邦画は大泉洋主演『月の満ち欠け』が10〜15億円程度、二宮和也主演・瀬々敬久監督作品『ラーゲリより愛を込めて』と吉岡秀隆主演の人気ドラマの集大成にしてシリーズ完結編『Dr.コトー診療所』がそれぞれ20億円程度の手堅いヒットを記録。
一方で実写映画版『銀魂』以来ヒット作品連発だった福田雄一監督最新作『ブラックナイトパレード』が興行収入10億円に満たない見込みと久々に不発。「流石に飽きられた」「福田バブルの崩壊」という厳しい指摘の一方で「クリスマス映画なのに12月23日公開は遅すぎる」との同情の声もあり。
- 最後に…
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— NHK紅白歌合戦 (@nhk_kouhaku) 2022年12月31日
ONE PIECE UTA LIVE
RED×WHITE
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ウタ、最高のライブをありがとう !!!!!#NHK紅白 #みんなでシェア
「新時代」NHKプラスでもう一度✨https://t.co/MuJbhamYPD pic.twitter.com/M5wCufwEgo
昨年夏公開の『ONE PIECE FILM RED』に登場する歌姫・ウタが『FNS歌謡祭』『Mステ』『NHK紅白歌合戦』など年末の音楽特番に連日出演していた効果もあってか、夏映画にも関わらず冬休みも好調だったという。最終興行は190億円程度見込み。
- 参考
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