庵野秀明総監修・樋口真嗣監督作品『シン・ウルトラマン』が大ヒットスタートを切った。
- OP3日間で9.9億円、『シン・ゴジラ』超え
“ウルトラ”大ヒット!
— 映画『シン・ウルトラマン』公式アカウント (@shin_ultraman) 2022年5月16日
2022 年実写邦画 No.1!
公開から3日間で
観客動員数64万人
興行収入9.9億円突破! !
映画『#シンウルトラマン』
たくさんの方にご覧いただき
ありがとうございます!
ぜひ、何度でも
劇場でお楽しみください!#大ヒット上映中 pic.twitter.com/7jM0gh7keU
公開初日からのオープニング3日間の興行収入は9.9億円と10億円に肉薄。これは最終興行82.5億円の庵野秀明総監督作品『シン・ゴジラ』のオープニング3日間の興行収入8.47億円を上回るスタートだ。とはいっても『シン・ゴジラ』が夏休み興行の7月下旬公開だったのに対して、本作はゴールデンウィーク終了後の5月中旬公開。また肌感覚的に『シン・ゴジラ』のような口コミで評判を伸ばしてロングランヒットという感じになりそうもない。それでも最終興行50億円以上も視野に入る大ヒットスタートとなったことは間違いないので、後は本作が平均的な映画興行の推移を辿るのか、それともロングランヒットとなるのか、それとも初動に偏る興行になるのかが注目である。
- 怪獣特撮映画はヒットでも15〜30億円
10億円突破が厳しいスタートとなった『大怪獣のあとしまつ』、近年の怪獣特撮映画の興行収入を振り返ると、
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2022年2月8日
シン・ゴジラ 82.5
GODZILLA 32.0
KOM 28.4
vsコング 19.0
パシフィック・リム 15.5
アップライジング 9.0
進撃の巨人 32.5
後編 16.8
ヒットでも15〜30億円程度https://t.co/f0iAbvvVn6
ちなみに近年話題となった怪獣特撮映画の興行収入は上記ツイートの通り。『シン・ゴジラ』を除けばヒット作品でも興行収入15〜30億円程度。そのため『シン・ウルトラマン』も興行収入30億円を超えればリクープ出来るような予算で作っているのではないかと思う。ただ『シン・ゴジラ』や『シン・エヴァ』のメガヒットを考えると、樋口真嗣監督作品『日本沈没』(最終興行53.4億円)や庵野秀明総監督作品『ヱヴァンゲリヲン:新劇場版Q』(最終興行53.0億円)レベルの興行収入50億円突破までいかないと心象的には「まー、庵野映画のメガヒットが続いてたからアレだったけど、現実はこんなもんだよね」「普通の映画は30億円で大ヒットだから…」とちょっと肩透かしな印象になるような気はする。
- 「二匹目のドジョウ」も成功か
ところで本作は『デザインワークス』によると製作費8〜9億円が想定されていたという。実際にかかった製作費はコロナ禍等でもう少し追加されているのかもしれないが、おそらく『シン・ゴジラ』など他の日本の大作映画同様に10億円前後であることは間違いないと思う。これに対してSNSでは「『シン・ゴジラ』で80億円以上稼いでも予算変わらないのかよ」という不満も出ているようだが、『シン・ゴジラ』の続編なら「7かけで50億円をリクープラインとした製作費を…」みたいな話にもなるのかもしれないが、映画興行という観点では『ゴジラ』より明らかに弱い『ウルトラマン』のリメイクとなれば『シン・ゴジラ』ではなく通常の日本の大作映画のリクープラインを元に製作費を決めるというのは妥当だと思う。現に興行収入87.6億円の大ヒット映画『永遠の0』と同じ座組みである「監督:山崎貴×主演:岡田准一×原作:百田尚樹」の映画『海賊とよばれた男』の興行収入は23.7億円に留まった。他にも「二匹目のドジョウを狙った企画が残念な結果になる」みたいな話は山ほど聞いたことがあるはすだ。そういう意味では『シン・ウルトラマン』が大ヒットスタートを切ったのは庵野秀明監督が関わる作品への信頼度の証なのかもしれない。
※「製作費が妥当」というのは「ビジネス的には仕方ないんだろうな…」という意味
- 最後に…
最後に「二匹目のドジョウ」とは別に「続編」だと前作のヒットから逆算して製作費が増える実写映画版『るろうに剣心』シリーズ(『京都編』二部作の製作費30億円に対して『最終章』二部作は50億円)みたいなケースもある。庵野秀明監督は『続・シン・ウルトラマン(仮題)』の製作費の指針を本作の興行収入によって見極めるつもりらしいので、同監督が満足いく製作費を続編で注ぎ込めるようなヒットになればいいな、と思う。
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