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「だから女がバカにされるの」、『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の真矢ミキ演じる沖田の去り際

踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!

『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の真矢ミキ演じる沖田仁美の話。

 

  • 観客にヘイトを与える役柄

沖田は女性初の女性部管理官で登場シーンからヒールで大理石をカツカツ鳴らしながら登場するなど「如何にも」な演出がなされるキャラクター。青島との初対面でも前作の名セリフ「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」を完全否定する「事件は現場で起きてるんじゃないのよ、事件は会議室で起きてるの」と宣戦布告するなど「所轄と対立する悪いエリート」として描かれる。そのため「所轄が勝手に発砲して私が責任を取らされたらどうするの?」と自らの保身のために捜査員への拳銃携帯命令を発動せず、現場の緊迫した場面でもその状況に応じた適切な命令を出せなかったことから、捜査員(すみれさん)を負傷させてしまい(正直、あの状況でSATが求めた発砲許可を出すのが適切な指示だったのかという疑問はあるし、いくら命令がないからといってあの状況から犯人の逃走を許すのは現場の判断としても無能にも程があるが…)、挙げ句の果てにすみれさんを心配する所轄のメンバーに対して「使えなくなったら補充して!」とブチ切れるなど、明確に観ている側にヘイトを与える役柄だった。

 

 

  • 女性エリートへの同情の声

そんな嫌われ役の沖田管理官だったが、映画『室井慎次』の最新作公開のタイアップとして令和の時代に放送されると、SNSでは「沖田管理官は沖田管理官なりに、女性として男社会の中で戦っていたんだな…」と同情の声も少なくない。実際、残業帰りに犯行現場を目撃したショックで「仕事出来る気分じゃ…」と仕事を休もうとする若い女性に対して沖田は「だから女がバカにされるの、仕事は仕事でしょ、やりなさい」と発する。ここからは沖田の「女だからという理由で舐められたくない」という想いを感じ取ることが出来るし、あの高圧的な態度からも「男社会で生き残るためには弱いところは見せてはいけない」という背景が見えてくる。また失敗を恐れて、過度に保身に走る態度も一度の失敗が「これだから女はダメだ」と烙印を押されてしまうこと恐れている、と見ることも出来るし、この状況を相談出来る環境でもない(弱音は舐められる&周囲は男だらけで同じ立場の同姓はいない)から、孤独感も強かったのではないか、と推察出来る。

 

 

  • カムバックを予感させる退場

そのため沖田も「組織の中の被害者」との見方も出来る訳だが、映画としては特にその点には触れずに、退場して行く。それ故に一部では「女性エリートの問題を掘り下げることなく、ヒステリックになって現場を混乱させる姿を強調し、その女性エリートが退場させられて、男性エリートが再登板することで現場が円滑に回り始めて事件が解決する、という展開はジェンダー描写として問題があるのでは」との批判もある。個人的にもそうした批判は理解出来るのだが、本作の沖田はここまで観客にヘイトを与える役にも関わらず、退場シーン自体は観客の胸をスカッとさせるような演出ではなく、凛々しく前を向いて「ここで折れずに、成長してカムバックする予感」すら漂わせる爽やかさがあって、最終的な印象論としての嫌悪感は薄い。

 

 

  • 最後に…

実際、沖田はその後の『容疑者 室井慎次』では室井さんの側近として活躍しているし、完結編『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』ではラストの警視庁の改革会議のメンバーとして室井さんの隣に座って記者会見に応じたりもしている。彼女の良い方向への変化に違和感がないのは、あの去り際のラストカットの説得力から来るものだと思うし、新作の映画にも登場するようなので、今回はストレートにカッコいい姿が見れることを期待したい。

 

  • オマケ

 

 

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