【鎌倉殿の13人】「死ねば義高殿に会えるんですもの… 楽しみで仕方ない」、南沙良演じる大姫に与えた三谷幸喜の「鬼脚本」

(24)「変わらぬ人」

NHK・大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の第24話『変わらぬ人』で大姫が20歳の若さで病に侵されて亡くなった。

 

  • 義高を救うために自らの命を賭けるも…

史実的にも彼女は幼い頃に婚約者の義高を父・頼朝の殺害計画によって失ったことで気鬱状態に陥り、その後も頼朝の戦略結婚の企てに振り回されるも、病弱故に最後まで結婚はせずに若くして亡くなった悲劇の女性だったという。今回の『鎌倉殿の13人』での大姫は義高殺害指示を出していた頼朝の前で自らの首に刃物を突きつけながら彼を殺すのはやめるように交渉する強さを見せるキャラクターに演出されていた。そして大姫の強い想いに触れて頼朝も義高殺害指示を取り下げる。ただ時既に遅しで、御家人に殺害中止の指示が伝わる前に義高の首は取られてしまい、頼朝に約束が破らぬように一筆書かせている大姫らの元に首が運ばれてきてしまう。結婚相手が父親の指示によって死ぬだけでもショックなのに、自らの命を懸けた結果、義高を救えるところまで交渉を進めたにも関わらず、後一歩のところで彼を救えず、更に彼の首を(恐らく)目撃してしまう展開にした三谷脚本の容赦なさ。あまりに可哀想である。

 

 

  • 静御前の舞と「女子(おなご)の覚悟」

義高を失った大姫は気鬱状態に陥ってしまう。史実では大姫の気鬱状態が晴れたのは13歳と時系列的には義経の愛妾・静御前が男児を出産した後だったという。『鎌倉殿の13人』ではかの有名な静御前の舞は「彼女の正体は本物の静御前なのか」というリトマス紙としての役割を果たす展開となっており、義時は大姫もいる場で彼女に「静御前の名を語るニセモノだと装うためにワザと下手に踊るように」とアドバイスをする。しかし静御前は自信が義経の愛妾であることを主張するかの如く見事な舞を踊ってみせる。これを見た大姫は「なぜ…」と戸惑いをみせるが、母である政子は「女子の覚悟です」と一言述べた。おそらく大姫は義経を愛する静御前の覚悟の舞を見て、生涯義高のみを愛し続ける覚悟を決めたのかもしれない。

 

  • 呪い(まじない)にハマるも…

とはいっても受けた傷は中々消えるものでもなく、大姫は「呪い」にハマるスピリチュアル女子に変貌。自らの名前を若くして病気で亡くなる『源氏物語』のキャラクター・葵と名乗り、親戚に呪いをかけた魚の頭を配ったり、母親に呪文を唱えさせたりとかなり痛い感じの仕上がりとなった。ただ義時の妻である八重が川で行方不明になった際には、周囲が彼女の無事を祈っているにも関わらず、「もう死んでるわ」とシビアな見解を示した。ここから大姫は義高の経験からいくら呪いを唱えたところで、人は死に贖えないという諦めにも近い闇を感じさせた。

 

 

  • 前向きに生きようと決めるも京で…

大姫はその後も義高一筋で未婚を貫く姿勢をみせた。しかし時の流れと木曾義仲を亡くした巴の再婚話に触れることで人生を前向きに生きようという姿勢を見せる。ただ京で丹後局から「なんでそんなに調子に乗ってるの?」と言わんばかりの洗礼を受け、完全に心が折れて逃走。大姫を発見した三浦義村から「自分の幸せのために生きればいい」とアドバイスを受けるも、その後は病に侵されて「好きに生きるということは好きに死ぬこと」「死ねば義高殿に会えるんですもの… 楽しみで仕方ない」と死を受け入れることで、みるみると衰弱していき史実通り若くして亡くなることとなった。20歳の女性が今を生きるより死んであの世で好きな人過ごす方を望んでしまうのは何とも悲しい話だ。更に『鎌倉殿の13人』では頼朝が大姫の死を悲しむこともなく「(史実では死因がアヤフヤな)範頼が呪ったに決まっている」と逆恨みして範頼暗殺指示を出す負のエッセンス付き。大姫の死だけでも辛いのに、そこに範頼の死まで絡めて頼朝の暴走を描く展開には三谷幸喜の「鬼脚本」振りが際立っていたように思う。

 

 

  • 最後に…

「義高を助けられる!→もう死んでました」「義高のことには区切りをつけて前向きに生きよう!→丹後局からのハラスメントじみた洗礼」とただただ不幸なだけでなく、一度「希望」を見せてから落とす三谷幸喜のしんどい脚本。常に政治の道具として利用された切ない人生だった大姫を色んな人から「何かを背負わせたくなる顔だね」と指摘されていたという南沙良が演じたというのもナイスキャスティングだったように思う。

 

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