【鎌倉殿の13人】「御台所の言葉の重さを知ってください」、三谷幸喜らしいコメディ展開から鬱々しい展開への「落差」ダメージ

(17)「助命と宿命」

三谷幸喜脚本の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の第17話が放送された。

 

本回は大泉洋演じる源頼朝が小栗旬演じる北条義時に「源義高の討て」と命じるも、小池栄子演じる北条政子らが反対して何とか逃してあげようとする内容。義高に女装させるなど初回を思い起こさせる展開もあり、世間のイメージする「三谷喜劇」らしいコメディ色の強い展開が続く。その頂点に達するのが北条政子らが「義高を見つけ次第首をはねよ」と御家人に命じていた頼朝に「彼を助けてあげる」ことを約束させるために一筆書かせるシーン。「一筆書いてもらいます」「何度も騙されております」「今日の年月日も」と頼朝に迫る北条政子らの描写は、そこだけ切り取れば偉そうな態度の大泉洋に小池栄子ら女性陣が迫る面白い画になっている。

 

 

しかし時は既に遅く義高の首は取られてしまった。北条政子は「決して許さぬ」とその場を去る。そして頼朝はその言葉を「重く受け取る」として、まだまだ甘ちゃんの義時に「首をはねたものを斬る」ように命じる。ただ頼朝の命に従っただけの御家人を斬ることに最初は抵抗感を示すも、最終的に彼を斬った義時はその事実を姉・政子に伝える。「そこまでする必要はなかった」と更に怒る政子に義時は「御台所の言葉の重さを知ってください」「我らはもうかつての我らではないのです」と言い放つ。さっきまでの「三谷コメディ」らしい展開の釣瓶打ちからのギャップの大きさによりしんどさも増す。

 

 

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三谷幸喜脚本作品を複数観てきたが、思い返せば同じく大河ドラマ『新選組!』の堺雅人演じる山南切腹回でも山南さんを助けようとする組員とのやり取りを喜劇調で描きながらラストはそのギャップにより彼の死をより重いものとして視聴者に印象付けた。大泉洋が出演した『黒井戸殺し』の斉藤由貴が作った不味いカレーのコメディ描写も最終的に逆転させて視聴者に苦みを与えた。

 

 

あまり歴史は詳しくないが、自分の中にあるかすかな歴史の知識と出演者のインタビューを照らし合わせると、どうやらこれから先も辛い展開が続くらしい。コメディ展開からのシリアスによる「落差」で視聴者にダメージを与えるのが三谷脚本の本質だとしたら、今後の展開はコメディ色が強くなる度にその後あるであろう鬱々しい展開に身構えることになりそうだ。

 

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