NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の第20回『お帰り義経』で菅田将暉演じる源義経が史実通り亡くなった。
自分にとって義経のイメージはタッキーこと滝沢秀明が演じた2005年放送の大河ドラマ『義経』が強い。とはいってもかなり前のドラマなので記憶は曖昧だが、橋の上で松平健演じる弁慶との対決での身のこなしからも「平安の美少年」のイメージが強い。ラストも自害と同時に白い光が屋根を突き破るなど「美しき悲劇」を前面に打ち出す作り。石原さとみ演じる静御前の舞には「義経を追い込んだ憎き兄・頼朝の前でこんな美しき舞を…」と切なさを覚えた記憶がある。
※『鎌倉殿の13人』では静御前覚悟の舞が義時によって義経の鎌倉への憎しみを煽る為に利用された悲しみ…
\#鎌倉殿の13人 ギャラリー/
— 2022年 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」 (@nhk_kamakura13) 2022年5月8日
【第18回】本日放送!
[総合]夜8時
[BSP・BS4K]午後6時#三谷幸喜 が贈る予測不能エンターテインメント!#菅田将暉 #源義経#佳久創 #弁慶
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そんな印象の義経だったが、本作では登場時からウサギを巡って争いになった際に「矢を遠くに飛ばした方がウサギを獲得できることにしよう!」というゲームを自ら持ちかけながら、至近距離にいる相手を矢で撃ち抜くという鬼畜プレイを実行。勝負したら勝てるかもしれない闘いでもフェアプレイの精神は持ち合わせておらず、どんな手段を使っても勝つというヤバさを見せつけるインパクトのある演出だった。その性格は源平合戦のクライマックス「壇ノ浦の戦い」で頂点に達して、掟破りである相手の船の漕ぎ手を撃つという戦法に出る。しかも事前に味方から理解を得ている訳ではないから、その場で自ら矢を放った後に自軍に対して矢を向けて「やらないなら殺す!」と脅す始末。「コイツはヤバい」ということで「兄・頼朝に裏切られた悲劇の弟・義経」というステレオタイプなイメージを壊し、視聴者に「コイツは頼朝にやられても仕方ない」と思わせた。
菅田将暉『鎌倉殿』源義経が使い分ける無邪気な左顔、狂気の右顔 | FRIDAYデジタル
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2022年5月12日
→左目より右目がややつり上がっているため、演技よって顔の左右を使い分け
→右の顔が映る時は悪い役、左の顔が映る時は善人役の時
「この先私は誰と戦えばよいのか」は真正面だったな… https://t.co/IsSAgNRn3E
しかし「源平合戦」後は「兄に認めらるために源氏を倒すという目標を失った上に兄に認められない、それどころか避けられてしまう」という悲しい状況に… その上、宗盛親子を再開させて、芋の恩返しをするなど人の心を見せ始めるという露骨な「死亡フラグ」を立て始め、「三谷さん、ここまで『頼朝視点なら義経討伐やむなし』みたいな気持ちに視聴者をさせといて、いざ殺すとなると死んで欲しくないような描写を見せてくるなんてヒドいよ…」という気持ち。完全に三谷幸喜の掌で踊らされている。
/#吾妻鏡
— 2022年 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」 (@nhk_kamakura13) 2022年5月22日
文治3年(1189)閏4月30日条
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藤原泰衡の襲撃に対し、源義経の家人らが防戦しますが、すべて敗北。義経は(衣河館の)持仏堂に入ると、まず妻と娘を殺し、次いで自害したそうです。#鎌倉殿の13人 pic.twitter.com/4scWzMEYOQ
ただそのあとステレオタイプな「兄に裏切られた悲劇の弟」という方向に行くのかと思いきや、ラストは「これが『弁慶の立ち往生』の三谷流解釈か…」と思しき身体中に板を装備した弁慶との「これでどうですか?」「いいねぇ〜」という愛らしいコメディタッチなやり取りに始まり、最後まで戦好きの無邪気さを捨てなかった菅田将暉演じる義経。安易な悲劇演出に振れることもなく、それどころか最期の瞬間すら見せなかったが、それが逆に切なさを強くする。今回の弁慶はあまり目立たなかったが、「武蔵坊、世話になった」「やめてください」などの会話からは義経との確かな信頼関係を感じさせた。
※弁慶は敵の矢を身体中に受けるも倒れることなく立ったまま死んだという話を「弁慶の立ち往生」という。タッキー版では松平健が熱演していたが、本作では義経だけがその姿を楽しそうに見ているという演出になっている
第20回「帰ってきた義経」をご覧いただきありがとうございました。
— 2022年 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」 (@nhk_kamakura13) 2022年5月22日
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義経の首を前に泣く頼朝の姿にサブタイトル『お帰り義経』の意味を理解し、より悲しみが増した。本作の頼朝と義経はお互いに「信じたい」という気持ちが最後まであったにも関わらず、兄は人を信じられない性格故、弟は人を信じすぎる性格故の「悲劇」となった。最早分かりきっていた史実に対して、ここまで「何とかならなかったのか…」とやりきれない気持ちにさせるのは三谷脚本の凄さを改めて感じさせる。
最後に小栗旬演じる義時が「あれだけの知恵があれば、どこでも生きていけます」と助言し、尚且つ「逃げ道」があったことも考えると「『チンギス・ハンルート』も提示されていたのに…」と残念に思う。
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