「原作から殺害順序入れ替え」「世界配信で特攻題材」、道枝駿佑版ドラマ『金田一少年の事件簿 聖恋島殺人事件』ネタバレ感想

金田一少年の事件簿R(12) (週刊少年マガジンコミックス)

道枝駿佑版ドラマ『金田一少年の事件簿 聖恋島殺人事件』のネタバレ感想。

 

  • 『R』の最長シリーズ、前後編で映像化

『聖恋島殺人事件』は『金田一少年の事件簿R』の12〜13巻に収録されているシリーズ46番目の長編事件。原作ファンからは「海辺のコテージの事件」「食糧庫が荒らされる」などの類似点から堂本剛版でドラマ化もされた『悲恋湖殺人事件』を連想する声も少なくない。原作では「ジェイソン」というワードも登場することから、作者としてもある程度狙っていることが推測される。連載時期が2016〜2017年と比較的最近の事件故に、シリーズ4番目の事件で既にドラマ化もアニメ化もされていた『学園七不思議殺人事件』のリメイクだった1話目と異なり、初見の人も多かった様子。

道枝駿佑版『金田一少年の事件簿』は「世界配信」を前提にしていることから放送前のプロデューサーのインタビューでは「通常のドラマより予算が多い」と語っていたが、そう言うだけあってロケ地に桟橋やコテージを実際に建てるなどの豪華仕様。また殺害シーンも金田一たちに女医の頭に矢が突き刺さる瞬間を見せる殺害方法は原作を読み返した時に「これドラマだと差し替えか編集で誤魔化すんだろうな…」と思っていたので、原作ですら描いていなかった刺さる瞬間を真正面から描いていて、原作よりエグい描写になっていて好感度高かった。『学園七不思議殺人事件簿』の冒頭の基本モノクロで「血」などの「赤」のみをカラーで見せる演出の時も思ったが、今回の製作陣は堂本剛版よろしくグロシーンに力を入れる方針みたいだ。ただ海にひきづり込まれる方は被害者を一度浮上させることなく原作通りそのままひきづり込まれて欲しかった。そっちの方がセイレーンにやられた感が出たと思うのでその点は残念だった。

 

※セイレーンの鳴き声の正体も多分CGで作っていると思うけどクオリティ高くて本当にあるみたいに見えた(もし本当に作ってたらゴメン…)

 

 

  • 殺害順序入れ替え、原作を再構築

『聖恋島殺人事件』は原作と医師たちの殺害順序が逆になっていた。そのため原作では最後だった「水中銃で女医が殺される」が最初の事件となり、原作では最初だった「影尾先生が銛を刺されて殺害される」が最後の事件となっている。この変更はドラマ的見せ場としてのインパクトのある事件を最初に持ってくることで視聴者を惹きつけるだけでなく、一番罪が重いにも関わらず原作では最初に殺されることで影が薄くなってしまっていた影尾先生に焦点を当てる意味でも効果的な改変だったのではないかと思う。謎解きのヒントを手品で美雪が与えるというのは原作通りだが、ドラマ版ではそれに加えて犯人から金田一へ「あまり謎解きばかりに夢中になって大切なモノを忘れるなよ」と美雪絡みのメッセージを追加していたのも良かった。

正直『学園七不思議殺人事件』では85分という放送枠だったということもあってか駆け足の脚本となっており、「ワイヤートリック」の誤推理をカットするなど謎解き的にも、襲われた美雪の扱いが軽いなど人間ドラマ的にも食い足りないモノになっていたので「大丈夫なのかな…」と不安になっていた。しかし本事件は前後編2話分の尺を使って謎解きや人間ドラマを丁寧に描くだけでなく、原作を再構築してより良い物語にしようという意気込みが感じられ、尚且つそれを実現できているのが素晴らしかった。

 

 

  • 「日本らしさ」コンセプトの世界配信で特攻題材

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道枝駿佑版『金田一少年の事件簿』は「日本謹製」を謳い、「日本らしさ」をコンセプトに世界配信するドラマと位置付けられている。自分が初めてそのコンセプトを知った時、4話までドラマ化される『白蛇蔵殺人事件』のような「日本が世界に自慢したい日本」かつ「世界が日本に求める日本」的「和風テイスト」の事件が中心にセレクトされるシリーズになると思っていた。しかし実際は2・3話目で『聖恋島殺人事件』という太平洋戦争末期の日本海軍の特攻が題材となっている事件をチョイス。殺害された医師たちによる人体実験と特攻の共通項は「命を粗末にしていること」だが、特殊潜航艇「回転」の残骸を「永遠の墓標」と見立てながら島民の霧声昼子が発したセリフは日本が世界に配信する作品のメッセージとして重みがあったのではないかと思う。

 

※戦時中の再現映像も力が入っていて良かった

 

 

  • 最後に…

コテージでの事件は合宿気分が味わえるのも良い。ところで生田絵梨花演じる「右竜あかね」が今後原作における「いつき陽介」ポジションの記者枠の代役とかになったりするのだろうか… 

 

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