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【日本謹製、本格ミステリ×ホラー】初代・堂本剛版と2代目・松本潤版の間のテイスト、5代目・道枝駿佑版『金田一少年の事件簿』総評

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5代目・道枝駿佑版ドラマ『金田一少年の事件簿』の総評。

 

  • 「日本謹製」、本格ミステリ×ホラーで世界配信

ドラマ『金田一少年の事件簿』は堂本剛主演・堤幸彦監督演出の初代が視聴率的にもドラマ史的にも大きな影響を残したレジェンド的な作品。一方で続く2代目・松本潤版は独自色を展開するも堂本剛版との比較を避けられずに影が薄い結果となり、3代目・亀梨和也版は原作からキャラクターを大きく変更したことにより不評という結果に終わった。しかし4代目・山田涼介版がチーフ演出に堤幸彦監督の弟子である木村ひさし監督を採用し、初代及び原作を徹底的にリスペクトした作品にすることで成功。続く5代目・道枝駿佑版は主演が山田版に憧れてジャニーズ事務所に履歴書を送った経緯があり、チーフ演出も山田版に続いて木村ひさし監督が続投。メインテーマも山田版に続き初代のアレンジと山田版に近いアプローチがとられる作品になることが予想された。

一方で道枝版は『「日本謹製」、本格ミステリ×ホラー』という山田版との明確なコンセプトの違いも見せた。山田版は犯罪コーディネーターである高遠との対決を軸を置いた作りで、尚且つトリックのヒントを演出的に強調したり、CMごとに容疑者リストを提示するなど視聴者参加型の作品となっていた。それに対して道枝版は高遠が未登場故に「放課後の魔術師」「セイレーン」「ファントム」など基本正体不明の怪人との対決がベースとなっており、その点は初代を彷彿とさせる。また「日本謹製」というコンセプトも「学校の七不思議」や「トイレの花子さん」といった学校系の呪いから「白蛇」「首狩り武者」といった和風テイストの事件だけでなく、太平洋戦争末期の日本海軍の特攻兵器を題材にした事件も採用するなど、放送前の想定よりバリエーション豊かなドラマになっていたように思えた。

 

 

  • 金田一「グルメ設定」生かされず

5代目・道枝駿佑の金田一はお茶らけキャラだった初代・堂本剛版と2代目・松本潤版の中間といったキャラクターだったが、その点はやや物足りなく感じた。大前提として「原作通り」がいいという訳ではない。しかし道枝くんの演じる金田一は『学園七不思議殺人事件』の「毎度お騒がせしています、金田一一です」という初登場シーンや『聖恋島殺人事件』のラストで見せた生田絵梨花演じる女性記者に鼻を伸ばす演技や『トイレの花子さん殺人事件』で見せた大学生グループの三角関係への興味を示した表情、『金田一少年の殺人』での豪華な食事に目を輝かせるシーンや公衆電話越しでの剣持警部のモノマネなど「凄い原作の金田一っぽい!」と思わせるコミカルな演技や悪そうな表情が良かったので、「そこをもっと見せて欲しかったな」「そうすればもっと楽しいドラマになったのにな」という気持ちにさせられる。

そして道枝版では原作や歴代金田一と異なり「グルメ設定」が追加されていたが、これは後半ではほぼ消えていたので、なくて良かったかな、とも思った。また道枝版金田一は美雪を幼馴染故に異性として認識していないような描写もあったが、これもあまり生かされてなかったので、原作や初代及び4代目同様に「好き」またはもっとグレーな感じの描写で良かったのではないか、と感じた。ここら辺の食い足りなさは初回『学園七不思議殺人事件』で最初に殺される桜樹先輩と金田一の対面シーンがなかった頃から不安な部分だったので、もう少し脚本を練り込んで欲しかった、というのが正直なところだ。

 

 

  • シリーズ初の全話視聴率一桁

道枝版は歴代シリーズで初の全話視聴率一桁を記録した作品にもなってしまった。前提事項として初代・堂本剛版は勿論、4代目・山田涼介版が放送されていた2014年と2022年ではテレビドラマの視聴スタイルも多様となり、視聴率が出にくい傾向にある。また今年の春ドラマから民放のテレビドラマは基本「TVer」での同時配信を行い、全体的に視聴率が低い傾向にあった。その上、道枝版は「ディズニープラス」での配信もあった。またこれまでのシリーズと異なり、尚且つ他より視聴率が低い日テレ日曜22:30からの枠のドラマであったというのも、遅い時間故に矢が突き刺さる殺害描写や首無し死体を真っ正面から映せるなどのメリットこそあれど、視聴率的にはデメリットとなってしまった面もあったのだろう。ただ放送前から過去シリーズの再放送など力を入れていた割に初回視聴率から低迷したのは、『金田一少年の事件簿』というコンテンツそのものの人気が落ち始めてる部分もあったのかな、とも思った。

 

 

  • 最後に…

youtu.be

オープニングで匂わせていた『狐火流し殺人事件』をやらなかったのは原作者のツイートをみるに、当初は予定されていたが、最終的にやらなくなったことの名残の可能性もあるのではないかと感じた。シリーズ初のリメイクをするなど「金田一少年の決定版」を目指した本作だったが、個人的には「悪くはないが跳ね切らなかった」ように思えてしまった。

 

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