道枝駿佑版ドラマ放送&『ハロウィンの花嫁』公開、本格ミステリー『金田一少年の事件簿』と殺人ラブコメ『名探偵コナン』の違い

名探偵コナン & 金田一少年の事件簿 2008年 4/25号 [雑誌]

日本を代表する2大探偵漫画『金田一少年の事件簿』と『名探偵コナン』を比較する。

 

  • 『金田一少年の事件簿』と『名探偵コナン』

金田一少年の事件簿 File(1) 金田一少年の事件簿 File (週刊少年マガジンコミックス)

『金田一少年の事件簿』は1992年から『週刊少年マガジン』で連載されていた原作・天樹征丸/金成陽三郎、作画・さとうふみやの人気漫画。当時の日本にはミステリー漫画は一般的ではなかったが、原案の天樹征丸先生は小説や映像ではヒット作品が多いのだから漫画にもするべきだと考えたという。本作は本格ミステリー漫画がコンセプトとなっており、基本10話前後の話数を使いおどろおどろしい連続殺人事件が描かれる。また少年漫画誌で殺人事件を描くにあたって、読者が犯人側に同情にしてしまうような壮大なバックボーンが用意されている。「巨大な氷の橋を作って車で渡った」「鏡の反射を使って金田一が明智を包丁で刺しているように錯覚させた」等、大胆かつ多少無理のあるトリックも特徴。

名探偵コナン (1) (少年サンデーコミックス)

『名探偵コナン』は1994年から『週刊少年サンデー』で連載されている青山剛昌先生の人気漫画。『週刊少年マガジン』で『金田一少年の事件簿』がヒットしていることから「サンデーの金田一を作れ」的な編集部からのオーダーにより作られた作品。『金田一』が「金田一耕助の孫」という一応現実的な設定になっているのに対して、『コナン』は初回から薬によって体が縮んでしまうという荒唐無稽な設定。また『金田一』はフィジカル面が強いなど現実離れした設定も一応のリアリティラインは確保しているのに対して、『コナン』は「キック力増強シューズ」や「蝶ネクタイ型変成器」など少年漫画らしいガジェットが登場するのも特徴。更に事件の規模が基本3話前後で被害者が1人、犯人の動機も恋愛や金銭問題など『金田一』より軽く読める内容になっている。その一方でコナンの体を小さくした「黒の組織」との対決が縦軸に入っており、メインストーリー自体は『コナン』の方がスケールが大きいものになっている。

単独事件のスケールの差の背景には『金田一』は上述したように「本格ミステリー漫画」路線なのに対して、『コナン』は作者が公言するように「殺人ラブコメ」路線と、あくまでも「事件」より「ラブコメ」がメインであることにある。誤解を恐れずに書けば『コナン』の「事件」は基本的に「ラブコメ」、つまりはキャラクターの人間関係を進めるための要素でしかない。そのため「本格ミステリー漫画」路線の『金田一』は金田一と美雪を始めとしたキャラクター同士の人間関係の設定がいい加減なところも目立つが、『コナン』ではそういうことはなく一度前進した関係が後退することはあっても「なかったこと(作者が忘れる)」にはならない。ここまでの内容を踏まえると『金田一』の魅力は「大胆なトリックと犯人のバックボーン」、『コナン』の魅力は「ラブコメとキャラクター」と考えることができる。

 

 

  • スピンオフの代表作の違い

金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(1) (週刊少年マガジンコミックス)

名探偵コナン 警察学校編 Wild Police Story 上 (少年サンデーコミックススペシャル)

この両作品の魅力はスピンオフ漫画の代表作にも如実に表れている。『金田一』のスピンオフ漫画の代表作といえば犯人視点で「トリック」の所謂「ツッコミどころ」等をネタにしていくギャグ漫画『犯人たちの事件簿』が指摘される。これは『金田一』の犯人が殺人事件に至るまでのバックボーンと「トリック」の大胆さが読者に強烈な記憶を残していたからこそ成り立つ。『コナン』にも『犯人の犯沢さん』という犯人と原作をネタ化したギャグ漫画も存在するが、犯人は「全身黒タイツ」と抽象的な存在なこともあり『犯人たちの事件簿』ほどのヒットには至ってない。一方で『コナン』は安室透を主人公にした『ゼロの日常』や『警察学校編』がアニメ化するレベルのヒット。しかし『金田一』のキャラクタースピンオフ『高遠少年の事件簿』や『明智警部の事件簿』の影は薄い。ここからも『金田一』の魅力は「大胆なトリックと犯人のバックボーン」、『コナン』の魅力は「ラブコメとキャラクター」を裏付けているといえる。

 

 

  • 『金田一』はドラマ、『コナン』は劇場版がヒット

イブニング 2022年9号 [2022年4月12日発売] [雑誌]

劇場版 『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』オリジナル・サウンドトラック

また両作品の魅力はメディアミックスにも表れている。『金田一』はドラマ、『コナン』はアニメ劇場版がヒットしているが、これは『金田一』が『コナン』に対してリアリティラインが高く実写化しやすく、更に原作ファンからも「トリック」が実写映像化映えする楽しさが最低限担保されている面にある。一方で『コナン』は荒唐無稽な設定故に実写映像化に向いていない。しかしアニメ、特に近年のキャラクターにスポットライトを当てた形の劇場版は原作ファンの深堀欲を刺激する。これも両者の魅力の根拠を裏付けているといえる。

 

 

  • 最後に…

『金田一』と『コナン』が同時期に楽しめるお祭り騒ぎの貴重な時期なので、興味があったら読み比べることをオススメする。

 

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