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【全作一覧】『映画クレヨンしんちゃん』30周年記念「興行収入」レポート、本郷みつる・原恵一編/『オトナ帝国』『戦国大合戦』まで

映画チラシ『クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』5枚セット+おまけ最新映画チラシ3枚

『映画クレヨンしんちゃん』シリーズが今年で30周年なので「興行収入」を軸に振り返る。1回目は本郷みつる監督及び原恵一監督時代の1〜10作目。参考文献は記事一番下。

 

  • 「異世界」に迷い込む路線の本郷みつる監督時代

映画 クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王 [DVD]

『クレヨンしんちゃん』は臼井儀人先生の日本の青年漫画。テレビアニメ版は当初半年程度の穴埋め枠だったが、視聴率が倍々ゲームで伸びたことで社会現象となり、映画化されるまでになった。その1作目は1993年7月24日公開の『アクション仮面VSハイグレ魔王』。しんちゃんは基本1話完結の日常系ギャグ作品だったが、アクション仮面が実在するパラレルワールドに迷い込むという非日常的な作品を製作。同じくテレビ朝日で放送されていた『あたしンち』が「日常」のリアリティラインに収めることで劇場版が跳ねなかったことを考えると、本作の「日常に縛られない自由度の高さ」こそがしんちゃん映画をここまでの長寿シリーズにしたのだと断言できる。興行収入は22.2億円と22年間シリーズ首位を守り続け、2022年現在も歴代2位を誇っている。

映画 クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝 [DVD]

1作目が大ヒットしたことで製作されたのが翌年のゴールデンウィーク公開の2作目『ブリブリ王国の秘宝』で『インディ・ジョーンズ』が元ネタとなっているアクション風映画。本作以降は新型コロナによる公開延期作品を除いて、基本的にゴールデンウィーク公開となる。オープニングのクレイアニメも本作から定番化した。製作期間が短かったことから、脚本が執筆されていない。興行収入は20.6億円とほぼ同等のヒットを記録した。

映画 クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望  [DVD]

3作目は前半は「時代劇」、後半は「SFロボットバトル」の『雲黒斎の野望』。後に『戦国大合戦』を製作する原恵一監督が演出で参加していることもあって、時代劇は本格的。また「ABBAAB→→←」のコマンド入力を失敗するとカンタムロボの両手から桜の木が出てくるギャグはあまりにも有名。興行収入は14.2億円と前作から大幅ダウン。本作から『ロボとーちゃん』までの興行収入は基本的に10億円前半の推移が続く。臼井儀人先生が原作漫画を描いた最後の作品でもある。

映画クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険

4作目は世界征服をたくらむ異世界のオカマ魔女・マカオとジョマが潜む城「ヘンダーランド」を舞台にしたファンタジー色の強い『ヘンダーランドの大冒険』。「ス・ノーマン・パー」の不気味さがトラウマとなった子供も少なくないらしい。ギャグ描写として「ババ抜き」はあまりにも有名。呪文「スゲーナスゴイデス」も思わずマネしたくなるインパクトあるフレーズ。興行収入は12.0億円。ここまでの4作品がひまわりのいない野原一家3人の映画であり、本郷みつる監督時代の作品である。特徴は「アクション仮面の実在するパラレルワールド」「ブリブリ王国」「戦国時代」「ヘンダーランド」と異世界に迷い込むファンタジー色の強さであった。

 

 

  • 原恵一監督時代はリアル路線

映画 クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡 [DVD]

「映画化5周年記念」かつ「ひまわり初登場」の『暗黒タマタマ大追跡』で監督が本郷みつるから原恵一に交代。当時、原恵一監督は本郷みつる監督と同じことをやっても仕方ないと違う方向の作品にすることを心がけたという。そのため本作ではシリーズで初めて異世界に迷い込むことのない現実世界を基にした作品になっており、前作までのファンタジー路線よりリアリティラインが高めの作風になっている。ギャグ描写としては「シロをぬいぐるみ扱いする新幹線移動シーン」や「しんのすけとひろしによる囲炉裏作戦」等が印象深い。一方で「オカマ描写」は現在の価値観では中々厳しいものがあるのも事実である。興行収入は11.3億円。

映画 クレヨンしんちゃん 電撃! ブタのヒヅメ大作戦 [DVD]

6作目はぶりぶりざえもんが準主役の『電撃!ブタのヒヅメ大作戦』で銃撃戦や格闘のリアリティが追求された作品。ヒロイン・お色気役は後の上尾先生かつ『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの三石琴乃が務めており、劇中でしんのすけを「しんちゃん」と呼ぶのはミサトがプライベートで碇シンジのことを「シンちゃん」と呼んでいるからとかいないとか。ギャグシーンとしては「みさえとひろしによって大量の便秘薬を盛られたことで腹痛に陥りトイレに向かおうとする筋肉(キャラクター名)と野原夫妻の攻防」が有名。興行収入は10.6億円。

映画クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦 / 映画クレヨンしんちゃん クレしんパラダイス!メイド・イン・埼玉

7作目は丹波哲郎がゲスト出演した温泉映画『爆発!温泉わくわく大決戦』。伊福部昭による『ゴジラ』シリーズの楽曲が使用された巨大ロボットと自衛隊の戦闘シーンは当時『平成ガメラ』シリーズの特撮監督を務め、後に『シン・ゴジラ』を製作する樋口真嗣監督が「客が取られた」と嫉妬するレベルの高クオリティさを誇る。ギャグシーンでは日本ではお馴染みのテレ東ネタをはじめ、「不健康ランド」の描写などが最高。ヒロインの後生掛と指宿も魅惑的。一方で興行収入は9.5億円とシリーズ初の10億円割れで2022年度現在でシリーズワースト記録。敗因は原恵一監督自身が「一番悪ふざけした作品」と述べていることだけあって、ギャグがマニアックかつ大人向け過ぎだったことが指摘される。臼井儀人先生が声優出演してる最後の作品。

映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル

8作目はシリーズ全体の興行収入が右肩下がりかつ前作が10億円割れしたことから「最後の作品」として製作された『嵐を呼ぶジャングル』。前作の反省から「子供達を喜ばせることでシリーズに幕を閉じよう」がコンセプトで作られた。その結果、興行収入は11.0億円とシリーズ初の上昇。シリーズは継続することになり、本作から『オラと宇宙のプリンセス』までの作品には縁起かつぎのためか1作を除いて『嵐(一部作品は伝説)を呼ぶ〜』というフレーズがタイトルにつくようになった。

 

 

  • 傑作であり呪縛、『オトナ帝国』と『戦国大合戦』

映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲

9作目は「前作が最後だと思ってたからやることがない」と困った末にテレビアニメでも一度扱った「万博」をテーマにした『嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』。しんちゃん映画としての子供を喜ばせるギャグと子供に同伴する親世代を泣かせるストーリーのバランスから「シリーズ最高傑作」及び「シリーズ最大の呪縛」として知られる作品。当初は「敵役であるイエスタディ・ワンスモアのケンとチャコがしんのすけとシリーズお馴染みのおバカな闘いが繰り広げられて勝利するラスト」が描かれる予定だったが、原恵一監督の中で「2人にバカな負け方をさせたくない」という想いが強くなったことから、あのラストにたどり着いたのだという。一方でお偉いさんからは「こんな不愉快な映画初めて見た」と不評で、原恵一監督自身も「これはしんちゃん映画ではないのではないか」と不安だったという。しかし公開後の反響からしんちゃん映画の自由さをお客さんに教えてもらう形になった、としている。興行収入は14.5億円と前作から大幅に上昇した。

映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦

10作目は『オトナ帝国』で吹っ切れた原恵一監督が黒澤明映画を参考に戦国時代を舞台に友情と恋愛を描いた『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』。時代考証に力が入れられており、実写作品では予算の関係で飛ばされる合戦描写もアニメーション作品により丁寧に描かれているなど、時代劇映画としての評判も高い作品。本作ではこれまでのシリーズでは禁じ手だった「1人の人間の明確な死」と「しんのすけの真っ正面からの泣き顔のアップ」が描かれている。特に前者に対しては反対意見も多かったが、臼井儀人先生の判断で実現したという。ある種しんちゃん映画の臨界点を突破してしまった作品であり、原恵一監督は本作を持ってしんちゃん映画の監督から降板する。興行収入は14.0億円。

 

 

  • 最後に…

『オトナ帝国』『戦国大合戦』に続くしんちゃん映画の振り返りは別記事に続く。

 

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  • 参考文献

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【ARCHIVE】 「この人に話を聞きたい」【ARCHIVE】 「この人に話を聞きたい」 第9回 原恵一 | WEBアニメスタイル

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原恵一インタビュー「大事なのは物語でありたい」 傑作『オトナ帝国』や『百日紅』生み出した鬼才 - KAI-YOU.net

原恵一監督、映画クレしん「戦国大合戦」で挑んだ“時代劇・恋愛・死”というハードル : 映画ニュース - 映画.com

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