2021年映画興行収入レポート、年間ランキングトップ10の6〜10位編。
第6位 るろうに剣心 最終章 The Final
公開日:2021年4月23日(金)
公開館:362館(480スクリーン)
配給:ワーナー・ブラザース
オープニング:7億4733万6700円
東京都・新規感染者:758人
最終興行:43.5億円
第6位は和月伸宏の大人気コミックスを大友啓史監督・佐藤健主演で実写映画化したシリーズの完結編『るろうに剣心 最終章 The Final』で最終興行は43.5億円。
本シリーズは1作目から原作で一番人気の『京都編』を実写映画化する案が出るも、『神谷道場編』のストーリーを丁寧に描いてこその『京都編』と判断して、1作目がヒットしたら続編を作ることを視野に製作を開始。結果的に2012年公開の1作目は興行収入30.1億円のヒットを記録し、2014年には製作費30億円を投下して念願の『京都編』を『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』として2部作で公開。『京都大火編』は52.2億円、『伝説の最期編』は43.5億円と2部作合計で95.7億円の大ヒットを記録し、以後本シリーズをモデルにした人気漫画の実写映画化作品が数多く作られるなど、実写邦画界に大きな影響を与えた。
そんな本シリーズの『最終章』は同じ2部作連続公開作品でも『京都編』のような前後編スタイルではなく、原作では『人誅編』の回想としてある『追憶編』をそれぞれ独立した映画でありながら2本の映画が物語としては絡み合っているという複雑な構成。それでも前作までの実績があってか、複雑な構成の2部作にも関わらず『最終章 The Final』のオープニング興行収入は3日間で7億円を超える大ヒットスタートを記録。一方で本作は一説によると公開2日目までは『京都大火編』に続き興行収入50億円超えも期待できるスタートだったというが、公開3日目から前述した『名探偵コナン 緋色の弾丸』と同じく3回目の緊急事態宣言と4都府県の映画館への休業要請により大ダメージを喰らった。その後も休業要請は継続され、大友啓史監督は政府からの根拠のない休業要請に対して声をあげる事態になった。
最終的に『The Final』は最終興行43.5億円と『伝説の最期編』と同等のヒットを記録するも、続く『The Beginning』は興行収入25億円程度と「最高傑作」という評価に反してシリーズ最低興行を記録。2部作累計興行収入も70億円前後で、製作費が50億円ということを踏まえると手放しでは喜べない結果となった。
国内映画ランキング(2021年4月24日~2021年4月25日) - 映画.com
20カ月に及ぶ怒涛の“航海”の始まり――邦画史上最大規模の挑戦『京都大火編/伝説の最期編』。|映画『るろうに剣心』 公式note|note
映画館に対する休業要請について映画監督・大友啓史さんからヒアリング 憲法調査会 - 立憲民主党
第7位 新解釈・三國志
公開日:2020年12月11日(金)
公開館:348館
配給:東宝
オープニング:7億7186万1100円(3日間)
東京都・新規感染者:596人
最終興行:40.3億円
第7位は福田雄一監督が中華統一をめぐる歴史エンタテインメント「三國志」を“新たな解釈”で描く完全オリジナル映画『新解釈・三國志』で、最終興行は40.3億円と同監督をヒットメーカーに押し上げた実写映画版『銀魂』シリーズを上回るヒット。
2020年は新型コロナウイルス感染拡大で映画館の売り上げが大きく低迷。一方で福田雄一監督作品は新型コロナが懸念され始めた2月に公開された『ヲタクに恋は難しい』が13.4億円、1回目の緊急事態宣言発出中により新作映画ですら週末2日間のオープニング興行で1億円に届くか届かないかレベルだった7月に公開された『今日から俺は!!劇場版』が53.7億円、そして再び新規感染者数が増加していた12月に公開された本作が40.3億円と連続ヒット。3作合計の興行収入は100億円を超え、日本の映画界においては煉獄さんに次ぐ存在といっても過言ではない活躍ぶりだった。
一方で本作は国内歴代最高興行収入を記録した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開時期と重なり観客動員ランキングは初登場2位に甘んじる結果に… そのため主演の大泉洋は大ヒット舞台挨拶で「スマッシュヒットしているにもかかわらず、なんですか『鬼滅の刃』は…」「あいつのせいで、全然目立たねぇ。同じ東宝ですよ。なんか新しい特典配ってるやろ。何してんだよ。いいんだって炭治郎は。どんだけ全集中しているんだって話」「『三国志』でも配りなさいよ、鬼滅の刃のグッズを」と入場特典商法をディスりながらネタ扱い。それどころか『紅白歌合戦』で『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の主題歌『炎』をLiSAが歌う番になり、興行収入の話になると白組司会だった大泉洋はNHKにも関わらず「(『鬼滅の刃』のヒットの)おかげで三國志っていう映画のヒットが目立たないっていうね」と恨み節で事実上の宣伝。ちなみに『鬼滅の刃』の便乗商法は今年1月公開の『銀魂 THE FINAL』が本当にやった。
国内映画ランキング(2020年12月12日~2020年12月13日) - 映画.com
大泉洋、おばけ興収『鬼滅』にボヤき「目立たねぇ…」 久々の客前で30分の独演会 | ORICON NEWS
【紅白】大泉洋「鬼滅」に恨み節 「三國志っていう映画のヒットが目立たない」― スポニチ Sponichi Annex 芸能
第8位 花束みたいな恋をした
公開日:2021年01月29日(金)
公開館:350館
配給:東京テアトル・リトルモア
オープニング:2億6108万5490円(3日間)
東京都・新規感染者:871人
最終興行:38.1億円
第8位は『東京ラブストーリー』『カルテット』などの脚本家・坂元裕二の東京を舞台にしたラブストーリー『花束みたいな恋をした』で最終興行は38.1億円。東宝のような大手配給会社の作品でもなく、テレビ局製作映画でもない作品で、オープニング興行も15億円前後が狙える程度のスタートだったが、口コミ効果によりロングランヒット。東京テアトル配給作品において歴代1位の興行収入を記録したという。
主演の菅田将暉は今年、映画は本作の他に『キャラクター』『キネマの神様』『CUBE 一度入ったら、最後』と3本公開。日本テレビで放送されたドラマ『コントが始まる』が始まるも高い評価を得て、小栗旬主演・日曜劇場『日本沈没-希望のひと-』の主題歌『ラストシーン』も担当。更に『ディストラクション・ベイビーズ』『溺れるナイフ』『糸』で共演した小松菜奈と結婚を発表して公私共に充実した年だった。
国内映画ランキング(2021年1月30日~2021年1月31日) - 映画.com
https://www.theatres.co.jp/dcms_media/other/10504r.pdf
俳優の菅田将暉さんと小松菜奈さんが結婚発表 たびたび共演 | エンタメ | NHKニュース
第9位 マスカレード・ナイト
公開日:2021年09月17日(金)
公開館:356館
配給:東宝
オープニング:9億4062万4200円(4日間)
東京都・新規感染者:790人
最終興行:38.1億円見込み
第9位はベストセラー作家・東野圭吾による累計発行部数470万部突破の『マスカレード』シリーズを木村拓哉主演で実写化したミステリー映画第2弾『マスカレード・ナイト』で最終興行は38.1億円。前作『マスカレード・ホテル』の最終興行は46.4億円と2作合計で80億円を超えるヒットとなっている。
本作は大みそかにホテル・コルテシア東京で開催されるカウントダウンパーティ「マスカレード・ナイト」を舞台にした作品。メガホンを取ったのはキムタク主演の『HERO』シリーズでお馴染みの鈴木雅之監督で、キムタクに縁のある役者たちが多く出演する正にキムタクを中心としたオールスター映画。スクリーン映えをする豪華なホテルのセットを作るなど、フジテレビらしいフジテレビ映画で前作に続き多くの観客を集めたのも納得。
また本作公開のタイアップとして放送された『マスカレード・ホテル』が2回目の放送で初回超えの16.7%、『HERO(2007)』が7回目の放送にも関わらず12.1%とそれぞれ高視聴率を記録するなど、テレビ局製作映画として理想的なパフォーマンスを見せた。
国内映画ランキング(2021年9月18日~2021年9月19日) - 映画.com
映画「マスカレード・ホテル」世帯視聴率16・7% 地上波2度目でも高数字:スポニチ
映画「HERO」世帯視聴率12・1% 地上波7度目 2桁キープ― スポニチ Sponichi Annex 芸能
第10位 ワイルド・スピード/ジェットブレイク
公開日:2021年08月06日(金)
公開館:370館
配給:東宝東和
オープニング:10億6156万4450円(4日間)
東京都・新規感染者:4688人
最終興行:36.7億円
第10位は大ヒットカーアクション映画シリーズ第9弾『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』が唯一の洋画としてギリギリトップ10にランクイン。
本シリーズの日本での興行は1作目から8作目までの興行収入が「4.5億円→7.0億円→10.0億円→9.5億円→14.4億円→20.2億円→35.4億円→40.5億円」と基本右肩上がりかつ8作目の興行が1作目の興行の10倍近い数値を出すなど伸び方もエグいシリーズ。最新作は前作の40億円を下回る見込みだが、緊急事態宣言発出中の間引き上映等を考慮すれば十分な数値。ほぼ横ばいの興行と人気の衰えは感じさせず、最終作とされる10作目の日本での興行と劇中でのアクションのインフレが今から楽しみだ。
国内映画ランキング(2021年8月7日~2021年8月8日) - 映画.com
- 最後に…
コロナ前のライブの興奮を味わえたり、コロナのことは一旦忘れて大笑い出来たり、パーティ気分が楽しめたりする映画がヒットした1年だった。
関連記事
2021年度映画興行収入ランキング1〜5位
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2021年12月31日
1位 シン・エヴァンゲリオン劇場版 102.8億円
2位 名探偵コナン 緋色の弾丸 76.5億円
3位 竜とそばかすの姫 65〜67億円
4位 東京リベンジャーズ 44.7億円
5位 るろうに剣心 最終章 The Final 43.4億円
-Junk-weed’s bloghttps://t.co/QmCdShmQNZ