Netflix映画『シティーハンター』キーアート&追加キャストを公開!
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) 2024年4月8日
◆警視庁捜査一課係長・伊東昭孝役 #杉本哲太
◆有名コスメブランド社長・瀬田月乃役 #水崎綾女
◆瀬田社長の秘書・今野國雄役 #迫田孝也
原作者 #北条司 先生のコメントも到着(続)👇#映画シティーハンター #CityHunterNetflix pic.twitter.com/yv92bhY7dd
Netflix映画『シティーハンター』を観た。
- 現代と80年代の融合、コミック的魅力放つ映像
本作は1985年から1991年まで『週刊少年ジャンプ』で連載されていた北条司氏による同名人気漫画をかねてより「冴羽獠を演じたい」と夢を見ていた鈴木亮平を主演に実写映画化した作品。原作は連載当時の1980年代の新宿を舞台にしているが、本作では開幕早々ゴジラベッドが象徴的なTOHOシネマズ新宿が映し出されていることからも分かるように2020年代現在の新宿を舞台にしている。大規模ロケもしたというネオン光る新宿の風景は華やかな一方で何処か危険な犯罪の匂いが醸し出されているリアルさと同時に原作やアニメを意識したと思われる青みがかった画面と原作準拠の主人公らのビジュアルや車などのフィクショナルさが融合することでとても魅力的な映像となっている。そのため新宿を舞台にしたアバンタイトルのシリアスかつコミカルなアクションシーンの直後に表示される『シティーハンター』というタイトルクレジットからは強い説得力を感じた。これは本作の舞台となる新宿という都市風景をシッカリと映像に落とし込めたからこそのモノだろう。その反面「トー横キッズ」らしき現代の若者らしい服装をしている女の子とそこまで年齢が大きく変わらないであろうヒロインの香が絡むシーンなどでは「流石に髪型とか服装が古臭いというか、コスプレ感が漂うというか…」的な違和感はあり、「現代の新宿を舞台に80年代のキャラクターを動かす」ことに対する製作陣の「どっちつかず」の中途半端さやチグハグ感も否めなかった。ただこの違和感もコミック的な映像につながっている面もあり、必ずしもネガティブな面ばかりでもない。
- 大人の鈴木亮平と少年時代の鈴木亮平
鈴木亮平「Netflixなら、80年代の完全再現もできたかもしれません。でも、僕は子どもの頃、シティーハンターを見て、新宿という街に憧れて、東京という街に憧れた/そういう影響を与えるには現代にするしかないと思いました」
作品全体としては「軽く楽しめて普通に面白かったから、続編も見たい!」「というか、初めから映画ではなくドラマシリーズでやってくれよ!」と思うくらいには楽しめたのが、個人的には本作は映画本編よりも主演の鈴木亮平の本作の実写化に対する熱い想いの方が胸打たれたりもした。本作の主人公は最早今の時代珍しい「巨乳に目がない女好き」で原作では相手の同意なく女性の胸や太ももを触るなど現代なら「セクハラ」を通り越して「性加害」が認定されるような行為がギャグとして繰り返し描かれたりしている。勿論「これは80年代の漫画だから」をエクスキューズに原作のノリを露悪ギャグとしてやるという手もあっただろう。しかし鈴木亮平的には『シティーハンター』は今の若者含めて当時の子供時代の自分のように「憧れ」として捉えて欲しいとの想いが胸にあった様子。そのため原作の女性蔑視的なノリを今の時代にそのまま映像化してギャグとして消費することは「人権意識の高くなった大人の鈴木亮平」には許容できなかったのだろう。
鈴木亮平「Netflixは全世界配信なので、『もっこり』は外国語に訳すことが不可能な単語ですし、シティーハンターを知らない今の日本の観客も一体どういう意味か分からないと思うんです。でも、やっぱり『もっこり』がないとシティーハンターじゃないよね、ということで最終的には『意味がわからなくても言おう』という結論になりました(笑)」
冴羽リョウ・鈴木亮平&北条司「シティーハンター」対談!絶大な原作愛に「作品は幸せ」 80年代は実写化絶対拒否も|シネマトゥデイ
その一方で原作の下ネタを全てカットしてハードボイルド方向に振り切ることは「少年時代にそれらのギャグを無邪気に楽しんだ原作ファンとしての鈴木亮平」として納得できないところがあったのだろう。
- コンプライアンスに真剣に向き合った形跡
僕はコンプライアンスというのは性的なものが一切駄目というルールではなくて、それによって誰かが被害をこうむったり、傷ついたり、生きづらい社会をつくる後押しをしてしまったらいけない、ということだと捉えているので、そこは分けて考えるべきだと思っています。
今回いろんなシーンを安心して撮影できたのは、インティマシー・コーディネーターさんのおかげでした。/僕が裸で踊るシーンでも同じです。
鈴木亮平&森田望智が語り尽くす「シティーハンター」 新たに作ったルールは?「冴羽獠が嫌われてしまうことは避ける」 : 映画ニュース - 映画.com
そんな原作ファンとしての「大人の鈴木亮平」と「少年時代の鈴木亮平」の想いが合わさり「現代求められているコンプライアンスの本質とは何なのか」に凄く真剣に向き合って実写化した結果、近年ありがちな「コンプラを意識しすぎて当たり障りのないキャラや内容に改変して原作の魅力を損ねているパターン」にも「コンプラ、ポリコレを揶揄しながら無神経に開き直るパターン」にも陥らずに各方面から高評価を得られたのかな、とも感じた。仮に今の鈴木亮平が人権意識が欠如した大人だったり、原作に魅了された少年時代の気持ちを忘れていたりしたら、今回みたいな評価は得られなかったのだろうな、とも思った。
- 最後に…
Netflixの高橋信一プロデューサー「リョウが歌舞伎町のビルからサウナの美女たちを見ているシーンでは、あくまで仕事として請け負った任務の最中に、偶然見えてしまったという形にする。それでも不快に感じる方はいると思いますが、リョウの行動原理と今の時代でも許容される範囲とのバランスは細かく検証しました。」
そうはいっても予告編でも流れているサウナの水着女性を覗きながら「もっこり〜もっこり〜」と歌いながら性的に興奮している様子とかは一応「偶然見えてしまった」という形を取ってるつもりらしいが、本作プロデューサーも指摘しているように嫌な人からすれば嫌だろう。そのため序盤から視聴者を天秤にかけているような面もある。個人的には特に「嫌」みたいなことを感じるシーンもなかったが、本編鑑賞後にインタビュー等を読んでいくと「サウナは偶然見えてしまった、という設定の割には積極的に覗いているように見えたが…」みたいなことは思ったし、コスプレイベントの主人公と盗撮魔の攻防も「面白かったけど、どうなんだ…」とコンプライアンスを意識していくと「何がダメで何がセーフなのか頭がこんがらがってくる…」みたいになりがちだな、と感じた。まー、それはそれとして鈴木亮平の下ネタギャグに全力で取り組んでいる際の顔とシリアスなアクションパートの顔のギャップが堪らなかった作品。続編にも期待。
- 関連記事