監督 #ヨン・サンホ
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) 2024年3月20日
Netflixシリーズ『寄生獣 ーザ・グレイー』
4月5日より独占配信開始。
人間に"擬態"して生きる寄生生物。もしそれが韓国に襲来していたら…… pic.twitter.com/PpBH3LxZgY
ネタバレ注意
Netflixシリーズ『寄生獣-ザ・グレイ-』を観た。
- 原作とは異なるオリジナル展開の韓国ドラマ版
『寄生獣』は1990年から1995年にかけて『月刊アフタヌーン』で連載された岩明均氏による日本の漫画。2014年から2015年にかけて山崎貴監督によって二部作で実写映画化され、同時期にはテレビアニメ版『寄生獣 セイの格率』も放送された。そんな人気コンテンツが今度はNetflixシリーズとして韓国でドラマ化。原作の物語の実写化ではなく原作の設定をベースとしたオリジナル展開が描かれるとされていた。
- 開幕早々ドライなバイオレンスアクション
ドラマの冒頭は漫画原作からお馴染みの「地球上の誰かがふと思った」から始まり「よっ、待ってました!」といった「コレだよ!コレ!」感があった。ただ空から降ってきた寄生生物はドーム型の大型イベント会場の音楽ライブに降り立ち、その中の1人に寄生。そして開幕早々にかなりの人数のいるライブ会場で堂々と自らの怪物性を露わにしながら大殺戮を繰り広げ、監視カメラで映像を撮影されてしまう。そのため初回から捜査機関は特別対策チームを編成しているというスピーディーな展開。原作の何処にでもあるようなありふれた家庭の一つが始まりだったという「日常がジワジワと侵食されていく感じ」みたいなテイストとはかなり異なるが、コレはコレで「韓国のドライなバイオレンスアクション」という感じで面白い。
- 原作との主人公の設定の違い
主人公の設定も原作では何処にでもいる普通の高校生が音楽をイヤホンで聴いていたが故に耳からの侵入を諦めざるを得ず、仕方なく右手から侵入した結果、色々あった末に脳を奪い取るに失敗した、という「日常の延長線上にあった偶然」によって奇妙な共存が始まるのに対して、本作ではスーパーでイチャモンを付けられた客にナイフで殺されそうになった時に寄生されたことで、ナイフで刺された場所の修復を優先した結果、脳を完全に奪い取ることができなかったという「非日常的シチュエーションによる偶然」に改変されている。また本作では右手に寄生された原作と異なり「寄生生物は1日15分だけ自由に行動でき、その間は主人公の意識はなく記憶も残らない」という設定なので、原作のような主人公と寄生生物のバディ感も薄いし、寄生生物が人間の知識を次々と吸収することで成長していく様子もあまり描かれない。
- 最後に…
サンホ監督によると、VFXチームは、山崎監督が染谷将太を主演に迎えて実写化した映画『寄生獣』2部作を参考にしながら、制作を進めた
こうなると「本当に面白いの?」と思う人も少なくないと思うが、各キャラクターはとても魅力的だし、ストーリーも引き込まれるし、製作陣が参考にしたという山崎貴監督の実写映画版を連想させるようなアクションも見応え抜群。そして何よりラストで続編へのクリフハンガーとして登場したあるキャラクターには若干の「役者は彼じゃないのか…」感はあれど、あの部位がクローズアップされるカットでは思わずニヤリとさせられた。続編が今から楽しみだし、何故「右手が寄生された」という原作の特徴的な設定を改変したのかの「答え」にもなっていたように思う。
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