スポンサーリンク

【大怪獣のあとしまつ/バブル/鋼の錬金術師 完結編/東京2020オリンピック/バイオレンスアクション】、興行的に失敗した映画2022

f:id:MJWR9620:20221122155200p:image

2022年に公開されるも興行的に大コケした上に、SNSでネタにされてしまった映画5選。

 

  • 大怪獣のあとしまつ

大怪獣のあとしまつ

今年最もSNSで悪い意味で話題になったのは巨大怪獣の後始末に追われる山田涼介主演・三木聡監督のコメディ映画『大怪獣のあとしまつ』。本作は公開初日の朝から「酷すぎる」とTwitterでトレンド入り。平日午前にどの程度の人が実際に映画を鑑賞したのかは分からないが、昼間には「多分どっちも観てないし、仮にどっちも観てその評価を下してるら見る目なし」という烙印を押されかねない「令和のデビルマン」というワードも飛び出す大喜利状態。公式ホームページの「絶賛コメント」の中に事実上貶しているとしか思えないコメントが紛れ込んでいることも多くの注目を集めた。これらは主に怪獣特撮映画ファンからの批判が多かったことから三木聡監督ファンからは「『時効警察』の監督で元々コメディの人なんです!ただ『時効警察』が好きな人も覚悟は必要かも…」と擁護してるのかしてないのか分からないツイートが確認され、主演の山田涼介に対しては「『暗殺教室』『鋼の錬金術師』とクソ映画率が高い」「演技も顔もいいんだからちゃんとした脚本を渡してあげて…」とこちらも褒めてるのか貶してるのか分からないツイートが多数投稿された。また山田涼介のファンからは「去年の『燃えよ剣』の沖田総司役は良かったんです…」という推しを庇いたいが、「本作は…」という複雑な心境が察せられる投稿も… 兎にも角にも怪獣特撮映画ファン、三木聡監督ファン、山田涼介ファン、野次馬の批判、擁護、大喜利が飛び交うカオス状態に陥り、Twitterでの勢いだけに関しては『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『劇場版 呪術廻戦0』の公開初日を彷彿させた。

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by 土屋太鳳 (@taotsuchiya_official)

www.instagram.com

更にこうした状況を受けて本作の怪獣造形を務めた若狭新一氏が嘆きのツイートをしたことや本作の出演俳優である土屋太鳳が自身の母親による「1回目は違和感も2回目を観たら〜」という独特な感想をInstagramに投稿したことも話題となった。

本作の主演の山田涼介は公開後に「映画は本当に観る人の自由。どんな感想を持っても、どんなことを言っても良いと思っている。この作品が皆さんの手によって長い時間愛され、長い時間観ていただける作品になればうれしい」と大人なコメント。また『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』では一般向けのに作られた映画に対して特撮オタクが目くじらを立てるのは「大人げない」と騒動を総括した。

こうした経緯もあり、騒動は次第に風化に向かっていったが、公開から約1ヶ月後にプロデューサー達による「予想以上に伝わりませんでした」という趣旨のインタビューが公開されて再炎上。「映画のあとしまつにも失敗した」と揶揄されるオチとなった。

 

 

  • バブル

映画チラシ『バブル』5枚セット+おまけ最新映画チラシ3枚 

『ONE PIECE FILM RED』がメガヒットを記録してヒロインのウタがアニメキャラとして史上初の『NHK紅白歌合戦』に出場するなど大きな話題になった今年、もう1人のウタが出演するアニメ映画『バブル』も悪い意味で話題になった。本作は「監督:テレビアニメ『進撃の巨人』の荒木哲郎」「企画・プロデュース:『君の名は。』『天気の子』の川村元気」「脚本:『魔法少女まどか☆マギカ』の虚淵玄」「キャラクターデザイン原案:『DEATH NOTE』『バクマン。』の小畑健」「音楽:『進撃の巨人』『プロメア』『機動戦士ガンダムNT』の澤野弘之」と日本を代表するトップクリエーターが集結して生み出した『人形姫』をモチーフにしたパルクールアクション。謎の巨大な泡に包まれ降り注ぐ泡で水没し、重力異常で様々なものが浮遊する東京を舞台にしていることから「ジェネリック『天気の子』」とも話題になった。

バブル 1 (ジャンプコミックス)

一方で「第72回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門正式出品」といった宣伝コピーやコミカライズ、ノベライズなどのメディアミックスからは「如何にもマーケティング的に売れる要素を注ぎ込んだプロモーション」感が半端なく、何となく地雷感が漂っていた。そして劇場公開前にNetflixで世界配信が開始すると、その予感は的中。「虚無」「中身がない」「絵が綺麗なだけ」と酷評意見が相次ぎ、劇場公開後は既に配信済み作品であったこともあってか大苦戦。劇場側からしたら堪ったものではないが、制作側はNetflix配信の収益で儲けたとか…

 

  • 鋼の錬金術師 完結編

映画チラシ『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー 最後の錬成』5枚セット+おまけ最新映画チラシ3枚

『大怪獣のあとしまつ』の大コケで「彼にちゃんとした脚本の映画を…」を同情された山田涼介は今年『鋼の錬金術師 完結編』でも興行的に大苦戦した。本作は2017年に公開された荒川弘先生の同名人気コミックスを実写映画化した山田涼介主演・曽利文彦監督作品の続編。前作は『キネマ旬報』2018年3月下旬号によると製作費9億円の大作映画でリクープラインは25億円とも指摘されていたが、最終興行は11.1億円に留まっていた。映画の興行収入の半分は劇場側の取り分で、そこから宣伝費等を含めた製作費を引いた額が利益となることを考えると相当厳しい結果であったことは明らかだ。そのため同じくワーナー・ブラザース製作の人気コミックスの実写映画版である『テラフォーマーズ』『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』『BLEACH』と同様に『ハガレン』も興行的失敗からシリーズ化を見送られたというのが一般的な認識だった。しかしそれから4年が経った今年3月、突如原作のラストまでを描く続編の二部作連続公開を発表。SNSでは実写化発表恒例の「悲鳴」より「戸惑い」の色が強い雰囲気となった。

そんな経緯で公開される本作について宣伝側も「前作の評判が悪い」ということを理解しているからから、著名人コメントでは朝日新聞記者による「おお楽しい! 1作目のあれのアレっぷりは何だったんだ?」と前作について「あれのアレっぷり」と事実上「腐す」フレーズが登場するコメントを紹介。それどころか92.3%が絶賛したという書店員による「これ続編のことを褒めてるのか?」と思える怪しいコメントも紹介していた。

 

一方でそんな宣伝側の戦略も虚しく前編『復讐者スカー』は大コケ、1ヶ月半後に公開された後編『最後の錬成』の公開前にはSNSに投稿された鑑賞者の「映画の良さがもっともっと広まってほしい… みんな見てくれ…」など、宣伝側の想いをファンに代弁させているとしか思えない哀愁漂う動画も公開された。

また本作は前作が原作ファンからの評判が悪いことを気にしてか「最後のシーンが原作そのまま」など「原作の再現がヤバい!」ことをアピールポイントとしていたが、膨大な原作を三部作でまとめることは難しく、『最後の錬成』に至ってはあまりの原作処理速度に「ハガレンRTA」と揶揄された。

 

 

  • 東京2020オリンピック

東京2020オリンピック SIDE:A/SIDE:B [Blu-ray]

あまりの観客の少なさから新型コロナ感染拡大により「無観客試合」となった大会同様に「映画も無観客」と揶揄される程の大コケとなったのが、河瀬直美総監督による東京五輪の記録映画『東京2020オリンピック』だ。本作はパンデミックの影響による史上初の1年延期を踏まえて、アスリート視点で描く『SIDE:A』、アスリート以外の視点で描く『SIDE:B』の二部作連続公開という形を取った。

本来オリンピックの記録映画など大して注目を集めないのがセオリーらしいが、日本では1964年に開催された前回大会を市川崑監督が記録した映画が高い評価を収め国内トップクラスの動員数を収めていたことから、当初から一定の注目度は集めていた。ただ本作がSNSで映画ファンの枠を超えて大きな注目を集めるキッカケとなったのは公開前年の年末にNHK BSで放送された密着ドキュメンタリー『河瀬直美が見つめた東京五輪』での「五輪を招致したのは私たち」発言が大炎上。更に当該番組では「五輪反対デモにお金をもらって参加した」という趣旨の男性の紹介が字幕で流れるが、それが虚偽だったことも判明。字幕の件は河瀬直美総監督及び記録映画とは直接的な関係はないが、ネガティブな印象を残した。

更に公開前には『週刊文春』が河瀬直美総監督によるパワハラ疑惑についてのキャンペーンを展開。その上『SIDE:A』公開後も製作側のドタバタで音楽担当の藤井風が『SIDE:B』から突如降板するトラブルもあり、最終的に河瀬直美総監督自らがエンディング曲を披露することとなった。

東京オリンピック

本作の興行的不発にはテレビの録画技術やネット配信など1964年当時とのメディア環境の違いや、そもそものオリンピックへの関心度、更には一連の騒動によってオリンピックを楽しんだ人からも批判的な人からもそっぽを向かれてしまった可能性などが指摘された。

 

  • バイオレンスアクション

橋本環奈 バイオレンスアクション ポスター 鈴鹿央子 女優 映画

今年地味に結構叩かれたのが人気漫画を橋本環奈主演で実写映画化した『バイオレンスアクション』。本作はハシカン演じるゆるふわ専門学生の殺し屋がソニー製のイヤホンで音楽を聴きながら一回り以上も大きい大人の男たちミュージック・ビデオ的なカット割で無双していく『キック・アス』的な作品。コミックス的なシーンやスローモーションなどポップな演出を多用しながら、時には腕が吹っ飛び血が飛び散るグロめの描写も挟み込まれており、ここだけ聞くと「結構面白そうじゃん!」という感じもするのだが、SNSでは「典型的なダサい日本のアクション映画の代表例」として揶揄の対象となった。

ベイビーわるきゅーれ

リコリス・リコイル 6(完全生産限定版) [Blu-ray]

本作は昨年公開されて高い評価を得た殺し屋女子高生の青春アクション映画『ベイビーわるきゅーれ』との比較だけでなく、同時期にテレビアニメ『リコリス・リコイル』が放送されていたことから「これだから日本の実写映画はアニメに比べてダメ」という対比構造の文脈でも批判された。

youtu.be

全然話題にならなかったけど、本作はソニー開発の「ボリュメトリックキャプチャ技術」を日本の商業映画史上初めて使用していることから、メイキング映像は結構面白い。

 

 

  • 最後に…

前編が興行的失敗したことで、苦戦が明らかな後編である『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』と『東京2020オリンピック SIDE:B』が同日公開だったのは劇場側からすると地獄だったろうな、と思う。

 

  • 関連記事

mjwr9620.hatenablog.jp