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過去には「前の経験を生かせる機会がない」発言、山崎貴監督『ゴジラ−1.0』のVFX(CG)が高評価なのは「集大成的映画」故か

【映画パンフレット】 ゴジラ-1.0 GODZILLA -1.0 監督:山崎貴 出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介 マイナス ONE

山崎貴監督『ゴジラ−1.0』のVFXが高評価だ。

 

  • 「前の経験を生かせる機会がない」

僕らの場合だと、昭和の世界を作った後には宇宙戦艦の映画を作り。それから戦闘機の映画を作った後にはクリーチャーの映画を作ってという感じで。毎回、1から勉強し直さないといけない。(中略)前の経験を生かせる機会がないですから。

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山崎貴監督は過去のインタビューで日本とハリウッドのVFXに大きな差が生じている背景の一つとして「前の経験が生かせないから」との理由を指摘していた。どうやらハリウッドでは水の表現が得意なプロダクションは水ばかり作るからどんどん水の表現が上手くなる一方で、日本は「昭和の世界作ったら、次は宇宙戦艦を作って…」と毎回新しいことをやるから前の経験が活かせずに経験値が貯まらないのだという。

 

 

  • 過去作品のジャンルはバラバラ

上記引用部分の記事配信時期を踏まえれば「昭和の世界」は2005年に1作目が公開された『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、「宇宙戦艦」は2010年公開『SPCE BATTLESHIP ヤマト』、「戦闘機」は2013年公開『永遠の0』、そして「クリーチャー」は当時最新作だった2014年公開『寄生獣』のことを指していると推察できる。その後山崎貴監督は2016年に終戦直後の日本を舞台にした『海賊とよばれた男』、2017年に「妖怪」と「黄泉の国」を描いた『DESTINY 鎌倉ものがたり』、2019年に「戦艦」を描いた『アルキメデスの大戦』、2022年に「オバケ」を描いた『ゴーストブック おばけずかん』を公開しているが、どの作品も基本的にはジャンルがバラバラで毎回新しい映像を作っていた。

 

 

  • 集大成的作品

改めて出来上がったものを観ると、集大成感があるというか、二十数年監督をやってきて、吸収してきた知見や技などを惜しみなく注ぎ込んだ作品になっていると思いますね

「ゴジラ-1.0」完成報告会見 | TOPICS詳細 | 東宝株式会社

一方で今回の『ゴジラ−1.0』は山崎貴監督本人だけでなく庵野秀明監督など自他が認める「山崎貴監督の集大成的な映画」。これはVFXに限った話ではないのだろうが、複数のインタビューを読むと「『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の冒頭でゴジラを登場させた時は到底全編登場は無理だと思ったが、今の技術なら行けると思った」とか「『アルキメデスの大戦』で培った水の表現が活かされた」みたいな趣旨の発言が並んでいて、過去作品からの経験値がシッカリ貯まって作品に反映されている様子。今回モーションキャプチャ周りの話を全然見かけないのでどういう風に撮影したのか不明だが、『寄生獣』の頃はミギーを再現するためにスクエニの新システム(当時)を借りることで作ることが出来た、的な話もあったので、本作ではそうした部分も生かされているのかもしれない。

 

 

  • 最後に…

何はともあれ今回VFXのクオリティが高かった理由の一つには、これまで『ALWAYS 三丁目の夕日』を撮るとなったら一から昭和の世界、『寄生獣』を撮るとなったら一からモーションキャプチャ、『アルキメデスの大戦』を撮るとなったら一から水の表現と、過去作品で一つ一つ到達していった経験値を集大成的にフルに生かせられたのも良かったのかな、と感じた。

 

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