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スタジオジブリの紛い物感溢れるスタジオポノック第一回長編作品「メアリと魔女の花」を観た感想

メアリと魔女の花

[注意]「メアリと魔女の花」のネタバレあり

「金曜ロードshow!」で米林宏昌監督の「メアリと魔女の花がテレビ初放送していたから観てみた。そしたら全然面白くなかったので感想を書きます。

 

  • ポノックのトトロはメアリ?

冒頭でいきなりメアリの横顔と「スタジオポノック第一回長編作品」の文字が!まさか今後スタジオポノックの作品は冒頭クレジットでスタジオジブリのトトロの横顔のように毎回メアリの横顔を見ることになるのか!?ちょっと弱くないないかなソレ…

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  • ニシンのパイを焼きそうなおばあちゃん

冒頭の掴みは「ポニョ」で原画を担当していた米林監督だけあって、その技術を生かした迫力のアクションシーン!「おっ!意外とイケるのか!?」と期待に胸躍らせると、ニシンのパイを焼き出しそうなおばあちゃんが登場!

家政婦までソックリでさらにビックリ!その上この家政婦の顔が「地獄のミサワ」にしか見えなくなってきて笑いが止まらなくなって困った。しかもこの辺りで気付いたけど、予算の関係なのかスタジオジブリ米林宏昌監督作品より絵が安っぽい。ここら辺がどうしてもジブリの紛い物感が溢れて乗れなくなってくる。アクションシーンももっと動いて欲しかったけど厳しいのかな…

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「魔女宅」の主人公同様1人寂しくサンドウィッチを食べているとクロネコが登場。「魔女宅っぽいな〜」なんて思っていると、そのクロネコを追って森の中に!「トトロっぽいな〜」と思ってるとその後もう一度クロネコを追って森の中に入るシーンがある。鈍重だよ… 責めて片方は走って追いかけるとかアクションの違いもないからただでさえ既視感がハンパない映画の既視感が更にハンパない事になる。

木の中に埋まっている箒を取り出すシーンは、ラピュタで飛行石を取り出そうとするムスカソックリ。

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  • 盛り上がりに欠ける飛行シーン

初飛行シーンも「魔女宅」もイマイチ盛り上がりに欠ける演出。ただTwitterであったメアリがキキにカタルシスのある飛び方を教えてもらっているネタは面白かった。

 

  • ピーターは自転車に乗って登場

ピーターは本作のメインの男子キャラはジブリでお馴染みの最初は嫌な奴。それなのにピーターに届け物を頼まれるピーター。嫌々ピーターの家に荷物を届ける途中で自転車に乗って現れるピーターと遭遇。「アレ?ココにも既視感が…」とそういう目線でしか見れなくなってくる自分が段々と嫌になって来る精神衛生面場にもキツい作品。

でも男気を見せるシーンだってあるんだよ!「アレ?でもこのシーンも何処かで…」なんて事をまた考えてしまうけど… 

 

 

  • 敵はしんちゃんとハウルのモブキャラ

スタジオジブリっぽさが無いのが悪の科学者みたいな敵役のキャラクター。ただジブリっぽさがなくても何故か此処だけ「クレヨンしんちゃん」の雰囲気が…

ただその他諸々の敵たちはハウルの動く城」で荒地の魔女を運んでた人たちだよね… 

ちなみに本作はメインキャラクター以外の現実世界の登場人物が不自然なくらい出てこない。またエンドア大学の学生達は全員メガネや仮面を被っていて個性が感じられない。これも予算の関係なのか…

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  • 都合が良すぎる便利キャラ

メアリがピンチになると箒を持って出て来る便利キャラ。しかもラストで一回出で来るとかじゃなくて、メアリが困る度に出で来るからビックリ。しかもこの世界の説明も大抵このキャラがしてくれる。佐藤二朗が救える人は福田雄一堤幸彦だけだと思ってたけど、赤毛の女の子と米林監督も救えるのね!

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  • 最後は2人で手を合わせて「バルス

クライマックスは主人公のメアリとピーターがお互いの手を取り合わせて全ての魔法が無効になる呪文を唱える!「あっ!バルスじゃん」と思うのは束の間、呪文を唱えるとあたりの木々がまるで「もののけ姫」のラストのようにドンドン成長していって一面に緑が広がる!

ラストは森の木々に助けられる主人公たち。そしてまたもや便利キャラが登場して箒を持ってきてくれる。何回目だよ…

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ただメタ視点で観ると結構面白いのが「メアリ」だったりする。例えば夜間飛行という魔法が1日だけ使えるようになる花を2回使うのは、米林監督がジブリという魔法のスタジオで2回監督作品を作った事と重なるし、3回目に夜間飛行を使わないのは米林監督の3作目がジブリ作品という魔法を使っていない事と重なる。

また魔法を使える人間を生み出そうとする実験はスタジオジブリ鈴木敏夫に強引な方法で第2の宮崎駿にされそうになった米林監督の姿とも重なる。そして失敗した結果も…

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  • 最後に…

メタ視点で観れば面白いとは書いたが、全体を通して観るとやっぱり面白く無いし全体的に作りが雑。例えばメアリはエンドア大学で初め新入生と勘違いされてたのに何故か校長と学校見学をし始めて願書を貰うみたいな意味不明なシーンもあるし、不法侵入者は変身魔法にかけられるという校則も物語の中で全く生かされてない。

また米林監督は「思い出のマーニー」で宮崎駿監督らしさを脱却する姿勢を見せたのに、本作では何故かジブリのオマージュシーンを散りばめたジブリの同人映画みたいになっている。コレは「借りぐらしのアリエッティ」より後退しているように感じらるけど、どうなんだろうか?ただ米林監督だって今回の作品はスタジオポノックの第一回作品として絶対コケられないというプレッシャーも強かっただろうし、その結果出来た作品のクオリティや興行収入にも思う所はあると思うので次回作に期待しています。スタジオジブリ作品が好きな人はジブリっぽさがあるシーンを多く発見出来ると思うのでオススメです。

(C)「メアリと魔女の花」製作委員会

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