実写映画版『耳をすませば』が2022年10月14日(金)から公開される。
- 『耳をすませば』といえば『カントリーロード』
『耳をすませば』といえばスタジオジブリによってアニメ映画化された作品が有名だ。その中でも名シーンとされるのが中盤にある天沢聖司の奏でるバイオリンの音色に合わせて主人公の月島雫が自身の翻訳した『カントリーロード』の日本語オリジナル歌詞を歌う場面。『カントリーロード』は他にもジブリ作品では珍しい夜景から始まるオープニングで冒頭から英語歌詞版が流れ、物語前半でも「コンクリートロード」という形で印象的な使われた方をしている。そのため「『耳をすませば』といえば『カントリーロード』」と言っても過言ではない。また上述した名シーンによって「天沢聖司といえばバイオリン」という印象もある。
- 実写映画版は…
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— 映画『耳をすませば』公式 (@mimisuma_movie) 2022年6月2日
映画『#耳をすませば』
場面写真公開🗝
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#地球屋🛖での再会
•✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼•#耳すま #雫と聖司の10年#安原琉那 #中川翼 pic.twitter.com/Uktt05kOwp
そのため実写映画版『耳をすませば』の天沢聖司が楽器を奏で、それに合わせて月島雫が歌っているようなビジュアルは「コレコレ」感があり、「雫の服装含めて雰囲気とかアニメ版の感じが出てるじゃん!」とか思った。
そして特報映像でも天沢聖司役の松坂桃李がドヤ顔で楽器を奏で始めるシーンで「よっ!待ったました!」みたいな気分にもなった。ただよくよく聴いてみれば松坂桃李の奏でる音色は『カントリーロード』ではなく『翼をください』。耳触りのいい聴き馴染みのある名曲かつ「ほら、お前らが欲しいのはコレだろ」みたいな感じで楽器を弾き出したからウッカリ騙されそうになったが、全く違う曲だ。更に天沢聖司の将来の夢もアニメ版の「バイオリン職人」ではなく「チェロ奏者」。これも楽器に疎い故に流していたが、同じ弦楽器というだけでこれまた別物だった。
- ジブリの実写映画版だと思って欲しい感
何故このようなことが起きているかを推測にするにあたり、まず大前提として認識しなければならないのは本作が『魔女の宅急便』よろしく「ジブリアニメの実写映画版ではなく、原作漫画の実写映画版」という点。ただ原作漫画での天沢聖司の夢は「チェロ奏者」ではなく「画家」で、『カントリーロード』はおろか歌うシーンすら存在しない。また原作では海外留学をしていない(映画公開時に連載された続編『幸せの時間』でどうなってるかは未読故に分からないが、少なくとも本編では海外留学の話は出てない)が、予告編的に実写映画版の天沢聖司はジブリ版と同じく海外留学をしている設定の様子。これでは原作の実写映画版というよりジブリの実写映画版のような気もしてしまうが、製作陣からすれば「ジブリの設定をそのままやる訳にはいかないからマイナーチェンジはしてるけど、まー、ほら分かるじゃん」という話なのかもしれない。
- 最後に…
『魔女の宅急便』と違って『耳をすませば』の原作者はジブリ作品に対して好意的どころか、関係性としても良好っぽいので、事実上ジブリの実写映画版みたいになっていてもOKみたいなところもあったのかもしれない。最後に予告編の「2人の物語にまた日本中が恋をする」の「また」は多くの観客が原作版ではなくジブリ版を想像しているが、別にそれは間違いではないのだろう。
- 追記
松坂桃李、『耳をすませば』設定変更に不満吐露!?
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2022年10月16日
→松坂さん「チェロでいきますってのが、クランクイン1ヶ月前に決まったん」「そっち(ヴァイオリン)やらせてくれよと思ったんですけど、そっちだと監督が納得いかなかったんでしょうね」#耳をすませば #松坂桃李 https://t.co/UaXBclhiS9
実写映画版でチェロを使うことが決まったのはクランクイン1ヶ月前だったという。
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