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世界190カ国のNetflixで配信が始まった実写版『BLEACH』の海外事情/幻のハリウッド版と海外での評価

BLEACH(ブリーチ)

この夏当ブログで散々扱った実写版『BLEACH』が日本を除く世界190ヵ国のNetflixで9月14日(金)より配信がスタートしたので、「ここまで来たらトコトン特集する!」という意気込みで本作の海外事情をまとめます。

 

  • 幻となったハリウッド版『BLEACH 

getnews.jp

本作の海外事情はハリウッド版『BLEACH』の製作が頓挫した話まで遡ることになる。頓挫した理由は製作費が巨額な為確実な集客を見込みたいスポンサーの要望を取り入れているうちに米国のオーソドックスなハイスクール映画になってしまい、原作者の久保帯人先生が「『BLEACH』でやらなくても良い話じゃない?」と感じ修正を繰り返していくうちに脚本がまとまらず契約期間が終了してしまったという理由。

その結果ワーナー・ブラザースの本社は日本で『るろうに剣心』シリーズを大ヒットさせたエグゼクティブプロデューサーに「邦画としてやってみないか?」と持ちかけた事で日本での製作が決まったという。

 

  • ファンタジア国際映画祭で公式上映!

本作の最初の海外上映は7月28日のカナダ・モントリオールで開催された北米最大のジャンル映画祭・ファンタジア国際映画祭』コンペティション部門での公式上映で、上映終了後満席の客席からスタンディングオベーションが起こり続編を望む声が上がる程白熱したという。

更に佐藤信介監督は三池崇史監督・押井守監督に続き、日本人監督3人目の「Outstanding Achievement Award 2018」を受賞した。また本作以外に同じく佐藤信介監督作品のアイアムアヒーロー』と『いぬやしき』も上映されたという。ちなみに今年は他にも日本映画では『カメラを止めるな!』や『ペンギン・ハイウェイ』などが評価されたという。

 

 

  • ニューヨーク上映でSOLO OUT!

本作はその後アメリカ・ニューヨークで行われる日本映画の映画祭『ジャパンカッツ!2018』で上映され、深夜に急遽組まれたアンコール上映のチケットも完売させる人気を見せた。また佐藤信介監督の舞台挨拶と質疑応答の時間も設けられていたという。

ちなみにこの映画祭では他にも『勝手にふるえてろ』『アウトレイジ 最終章』など28作品の日本映画が上映され、樹木希林さんや斎藤工さんなどもゲストとして参加したという。

 

映画祭で上映される事は凄いのだが、それだとクローズな場所で熱心なファンを相手にするだけで多くの人には届かないというデメリットがある。しかし本作はNetflixのコンテンツとして9月14日より日本以外の世界190カ国で配信が始まった事で、気軽に多くの人に作品を観てもらうキッカケを作る事が出来た。

ワーナー・ブラザース作品は昨年公開の『無限の住人』や『鋼の錬金術師』なども海外のNetflixで配信しており、これからもこのような形で日本の作品がアピール出来たら好ましいなと感じる。ちなみにジャニーズ事務所のタレントが主演した作品は海外では普通にネット配信してるのに日本では未だに解禁されない。

 

※『無限の住人』は海外での三池崇史監督作品への期待度の高さからアメリカでは劇場公開もされた。『鋼の錬金術師』は『BLEACH』同様にNetflixオリジナルコンテンツという形で配信されている。

 

  • IMDbでは6.6/10の評価

Bleach: Burîchu (2018) - IMDb

全米の大手映画レビューサイトを見るとNetflixで本作が配信された事で、配信初日に400件程度だったレビュー数が3週間で5300件を超える数まで急上昇した。これは同時期に日本で公開されたが世界でネット配信されてない『銀魂2』のレビュー数170件と比較すればネット配信の威力が理解出来るだろう。

その一方で作品の評価は配信初日の7.2/10から6.6/10まで0.6ポイントダウンしたが、これは多くの人が作品に触れてレビューしてくれた事の証明にもなっているので今の段階ではポジティブな方向で受け取りたい。

 

 

アベンジャーズ』シリーズや『キングコング: 髑髏島の巨神』など数々のヒット作に出演する海外の人気俳優サミュエル・L・ジャクソンが本作を観て“Really enjoyed watching this ‼️‼️‼️と絶賛したという。

 

  • 海外で実写版が公開する意義

Bleach, Vol. 1: Strawberry and the Soul Reapers

BLEACH』は海外でも人気がある作品ではあるが、コミックスは全74巻の長編かつ日本の作品という事もあって海外の人には今から読み始めるには少し敷居が高いように感じる。また日本語を英語翻訳して輸出しているため値段も割高など気軽に楽しめるモノではない。

ただNetflixというコンテンツの中の1作品として2時間で『BLEACH』の導入部分に触れる事が出来るというのなら興味を示し、映画が入口となり新規層を取り入れることに成功するかもしれない。

日本人にとってアメコミはハードルが高く感じる人も多いが、映画ならば観るという人も多い。そして映画からアメコミに興味を持つキッカケを作った人は沢山いるはずだ。日本の人気漫画の実写映画も日本で消費されるだけでなく世界と日本の架け橋になる事を心から願う。

 

 

  • 最後に…

youtu.be

BLEACH』の特報を観て貰えれば分かる通り本作は原作が持つ死神や刀みたいな世界にウケやすい日本独特の要素に加えて、映画版のアプローチとして原作以上に神社や地蔵・雷神などの要素を追加して、虚(ホロウ)のデザインも日本伝統芸能の1つの能を意識したデザインにアレンジしてるなど海外にもウケる日本独自のエンターテイメントとして工夫した後が多く観られる作品です。

その一方で国内での興行収入は5億円程度と大惨敗で、続編を意識した作りではあったが続編は製作されない可能性が高いだろう。ただこういう挑戦はこれからも続けて欲しいなと思います。