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「発売当時は叩かれすぎた」「いや、今やってもクソゲー」 発売から10年… 未だ評価割れる『FF13』

ファイナルファンタジーXIII - PS3

ファイナルファンタジー13』が発売されてから10年が経った。本作は発売当時「クソゲー」と叩かれまくったが、現在では「当時は叩かれすぎていた」「そこまで悪いゲームではない」という擁護意見をよくみる。一方で「言うほど悪くないだけで、ダメなゲームであることは変わらない」と否定的な意見も少なくない。今回はそんな賛否割れるゲーム『FF13』を振り返っていく。

 

  • 「固有名詞」の説明不足

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※『FF7』『FF8』を連想させる「コクーン」の近未来都市

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※初期『FF』を連想させるファンタジー世界「グラン=パルス」

本作では魔獣が闊歩する広大な地上世界「グラン=パルス」とその上空に浮かぶ巨大な球状の世界「コクーン」の2つの世界が存在し、両者は互いを嫌っている関係性だ。「グラン=パルス」は初期『FF』のファンタジー世界を、「コクーン」は『FF7』や『FF8』などの近未来都市のような世界観になっている。最新グラフィックで描かれた2つの世界を観て、ワクワクしたプレイヤーも少なくないはずだ。

物語は上の世界「コクーン」を統治する「ファルシ」と呼ばれる神の作った機械によってクリスタルとされてしまった妹を救うために主人公・ライトニングが奮闘するというモノ。ライトニングは「ファルシ」に逆らったことにより、「コクーン」から追放され追われるモノとなる。過去の『FF』では主人公たちが「光の戦士」に選ばられ世界のために冒険をしていたが、本作では世界から追われながら冒険するというのが面白い。

一方で本作の問題点はネット上で「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」とネタにされるようにゲーム内オリジナルの固有名詞が多すぎることだ。否、固有名詞が多すぎるだけならまだしも、本作ではその固有名詞の意味が劇中で大して説明されないのだ。本作の物語は電車の中から始まり、プレイヤーは訳も分からず激しい戦闘に巻き込まれる。そしてよく分からないままライトニングが「バカ野郎が!ファルシが、人の願いなんて聞くか!」とブチ切れ始める訳だが、何に怒っているのかイマイチ伝わらず「置いてけぼり」にされている感が半端ないのだ。ただ本作は固有名詞の意味をを予め押さえておけば、「置いてけぼり」となることはない。そのため後に発売された『FF 零式』のようにオープニングムービーなどで本作の世界観や固有名詞について分かりやすく説明していれば、大分評価も違っていたのではないかと残念に思う。

 

 

  • 「一本道」ではなく「片道」

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本作はフィールドが「一本道」であることも叩かれた。「RPGの一本道」といえば、一般的に「ストーリーが一本道」であることを意味する。しかし『FF13』の「一本道」は文字通り「フィールドが一本道」。『マリオ』のような横スクロールアクションゲームのようなタイプの一本道で、基本的に分岐点のない細長い道を永遠と前に進んで敵を倒していくだけ。ある程度進むとイベントムービーが始まり、それを観終えてまたある程度進むとイベントムービーが始まるというのを繰り返す。本作は全13章で構成されており、1章がクリアするごとに『マリオ』のようにステージが変わり、風景や音楽が変わる。しかしやることは変わらない。その上、本作ではひとつ前のステージに戻ることができない「片道」だったこともプレイヤーの不満を増幅させた。

一方で「一本道」であることに対して「『FF10』も同じ一本道だった」という擁護意見をよく見る。しかし『FF10』はシンを倒すために寺院を巡りながら聖地ザナルカンドに向けて旅をしているのだから、一本道である必然性がある。しかも『FF10』には街があるが、『FF13』には街がない。冒険のためのアイテムを購入するのは街の商店ではなく、フィールドに彼方此方に配置されているセープポイントの要領で購入するという設定。広々とした街に入っても、結局は直ぐに近くのパイプの中に入ったり、歩道や車道を走るだけなので一本道のフィールドと何も変わらない。また『FF10』には「試練の間」と呼ばれるダンジョンが複数存在したが、『FF13』ではダンジョンらしいダンジョンは一つしか存在しない。何とも「RPGらしさ」に欠けるというか、ゲームを攻略しているという楽しさに乏しいゲームというのは事実だ。

また第11章で下の世界「グラン=パルス」に着いてからは「自由度が広がる」という擁護意見もみるが、個人的にはいきなりだだっ広い草原に突っ立たされて、何をしていいのか戸惑ってしまい、ここでも「置いてけぼり感」を喰らってしまった。またこのフィールドに配置されてる敵はクリア後の「やりこみ要素」として強敵が配置されているため、順当にストーリーを進めているプレイヤーには到底倒すことのできない。それを知らずにウッカリ闘いを始めてしまうと瞬殺されてしまうという悲劇に見舞われてしまう。結局、このフィールドは「取り敢えず通過する」というのが正解なのだが、広大過ぎてどこに向かえば次のイベントが始まるか分からず、とにかく迷って苦痛だったし、「通過しただけ」なので結果的に「一本道」と何ら変わらないフィールドとなってしまった。

 

 

  • 戦闘システム

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苦言が多くなってきたが、戦闘システムはスゴく面白いと感じだ。本作の戦闘は3人で行うが、予め『パターン❶:キャラクターA「攻撃」キャラクターB「攻撃」キャラクターC「溜める」』『パターン❷:A「溜める」B「溜める」C「サポート」』『パターン❸:A「溜める」B「防御」C「回復」』という風に、各キャラクターが戦闘中にとる行動パターンを指定しておき、戦闘状況によってプレイヤーが行動パターンを切り替えて戦闘を進めていく。このシステムだと1人を回復役として決めて、残り2人を戦わせれば負けることがないように感じるが、本作では敵に攻撃すればするだけ敵のゲージが溜まり、一撃で効くダメージが大きくなっていくというシステムが取られている。裏を返せばゲージを溜めなければ、攻撃はほとんど効かない。つまり1人のキャラクターにずっと「回復」役を任せたり、攻撃される度に「回復」を行ってしまうとゲージが溜まらず敵は倒せない。そのため状況に応じて戦闘パターンを変えていかなければならないのだが、一瞬の判断ミスが全滅に繋がる恐れがあり、コマンド方式のバトルにも関わらずアクションゲームのような緊張感を持って楽しむことができる。戦闘曲「閃光」も評価が高い。

その一方でこの緊張感はボス戦だけでなく全ての戦闘で強いられるため、それが「苦痛だ」という声も少なくない。また予め決めておいた行動パターンは、パーティの入れ替わりなどを行うとリセットされてしまいもう一度設定し直さなければならないシステムが「面倒だ」という声も少なくない。更に本作の半分以上は自分が好きなキャラクターでプレイできず、物語の進行上、色々なキャラクターでの戦闘をしなくてはならず、苦手な戦闘方法をするキャラクターがいるとかなり苦痛なゲームとなってしまう。

 

 

  • 最後に…

個人的に『FF13』は「結構楽しかったけど、色々思うところはある」という感じ。このエントリーでは詳しく書かなかったが、「ホープがスノウを恨む」というエピソードも、「ホープサイドからはスノウが母親を殺したように見えていた」とか「プレイヤーにもホープとの和解まで、実はスノウには裏があるのではないかと思わせる演出を施す」とか「もっとホープの若さ故の葛藤を前面に押し出す」とか色々やりようがあっただろうに… と「何となく物語運びが上手くないな」という印象は拭えなかった。ただ予め固有名詞を理解して、世界観を掴んでからプレイすれば楽しめるゲームだとも思うので、発売当時は叩かれていたような「クソゲー」だとは思わない。ただやっぱりもう少し物語の見せ方を考えて欲しかったなとは思う。またフィールドについても、流石に「一本道」過ぎるのでもう少し工夫して欲しかったと感じる。

 

ファイナルファンタジーVII リメイク - PS4

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