『FF16』の「召喚獣バトル」の魅力の話。
- 「普通に面白かった」=「凡ゲー」?
『FF16』が発売されてから半年以上、世間的な評価は「普通に面白いゲーム」くらいに落ち着いている印象がある。前作『FF15』はロード時間の多さやバグの多さ、そしてストーリーの後半の駆け足振りなどからかなりの酷評を喰らったが、今回はストーリー面で賛否もあるが、概ね好評ではある。ボリュームの面でも十分だっただろう。その一方で『FF15』にはいた熱心なファンの存在も少ないように思う。これは『FF15』が駄作とはいえオープンワールドへの挑戦や好き嫌いは分かれるだろうが仲間との冒険感の演出など圧倒的な魅力もあった。しかし『FF16』は「『FF15』のような失敗は避けなくては」という企画方針だったのか、完成した作品は前作対比でゲームとして圧倒的なクオリティが保たれている一方で、『FF』としてかなり無難な印象も受ける。そのため世間的には前述したように「普通に面白かった」という評価に落ち着いたことで、口コミが広がりにくく、イマイチ盛り上がりに欠けたため売り上げも伸び悩んでしまっている面もあるのかな、と感じる。
- 明らかにバランスが狂ってる「召喚獣バトル」
ただそんなある種の「凡ゲー」扱いもされている『FF16』にも圧倒的な魅力の部分があった、と個人的には感じる。それは本作の目玉であった「召喚獣バトル」だ。『FF16』における「召喚獣バトル」は壮大な音楽と圧倒的な映像美を駆使しながら、長いと30分以上に及ぶ長尺のアクションになっており、「無難」との声もある本作においては明らかにバランスの欠いた構成の戦闘となっている。攻撃ダメージの数字のインフレ具合もエゲツない。そのため「途中でダレる」という気持ちも分かるし、「一回の戦闘が長い割に『召喚獣バトル』自体の回数は少ないから、ストーリーの都合上難しいのは分かるが、一回の戦闘を短くして、バトルの回数を増やして、バランス良く配置して欲しかった」との意見も分かる。
- ダークファンタジーなのに大気圏突破、宇宙へ
ただその明らかに逸脱したバランス故に本作における最大の特徴にもなっているのも事実である。バハムート戦においては中世ヨーロッパを舞台にしたダークファンタジーにも関わらず、最早大気圏を超えて宇宙に飛び出し、青い地球をも背景にしながら戦闘が展開される。この思わず「やり過ぎだろ!」とツッコまずにはいられない演出が堪らない。この作り手が本気で「カッコいい」と思っていることをプレイヤーに体験させようと全力でぶつけに来ている感じが画面越し、デュアルセンス越しに伝わってくるのが、正に「自分は今凄いゲームをやっているんだ」「これこそが『FF』だ」という興奮を呼び起こした。それ故にこの「召喚獣バトル」を冷めた目で見てしまった人にとっては『FF16』は中々厳しい魅力に乏しいゲームになってしまったのだろうな、とも感じる。
- 最後に…
何はともあれ『FF』シリーズにはこれからも「やり過ぎだよ」と思わず笑ってしまうような、何か尖ったモノを提供して欲しいように思う。最後に「デュアルセンスのR2L2ボタンを多用して、召喚獣バトルの拳の重みを体験させて欲しかった」という意見には「なるほど、確かにそれはやりたかった」と思わせられた。
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