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最早「王道」ではなく「古典」、『ドラクエ3 HD-2D リメイク』は「初めてのドラクエ」に相応しいのか

ドラゴンクエストIII そして伝説へ…- PS5

『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の HD-2Dリメイクをプレイした。

 

本作は1988年にファミリーコンピューター向けに発売されて社会現象になった『ドラクエ3』を スクウェア・エニックスが開発したドット絵と3DCGを融合した独自のグラフィック表現「HD-2D」でリメイクした作品。これまでドット絵で表現されていた世界観が、何処か懐かしさも感じる箱庭的な温かみのあるグラフィックで表現されているのが特徴だ。『ドラクエ3』は『ドラクエ』シリーズの中でも「屈指の名作」として扱われる一方で、発売当時のハードの容量などの都合から「当時の限界」も感じさせる。その点、今回のリメイクでは主人公の父親・オルテガのストーリーを追加して物語に厚みを持たせたり、オーブ探しの動線を張ったり、要所要所で新ボスを複数追加したり、職業ごとの「特技」を増やしたりなど現代でも通用するような工夫が凝らされている。正直、初めて『ドラクエ3』をプレイした時に「名作だと聞いていたけど、今やるとストーリーが全然なくて、お使いと戦闘を延々とやらせているみたいで思ったより楽しくないな…」と思ってしまった自分としては、普通に楽しめるゲームにアップデートされていたように思う。フィールド上に配置されていた種などが入手出来るキラキラも探索要素として「別に撮り損ねても冒険に支障を来たす訳ではないけど、あったらあったで超便利」という塩梅で良かった。

 

 

一方で制作サイドは本作を既存の「ドラクエファン」だけでなく、これまで『ドラクエ』シリーズに触れてこなかった新規層の「最初の1作品」として本作をプレイして欲しい、という趣旨のことも各種イベントやインタビューで語ったりしている。実際ボリューム的にクリア時間まで平均35時間とやりやすい作品ではある。ただ果たして本作が本当に「初めてのドラクエ」に相応しいのかは個人的に疑問に感じる。前述したように本作は現代でも遊びやすいように物語的にもシステム的にもアップデートされたゲームに仕上がっていたように思う。ただどうしても発売時期の限界を感じたのも事実。全体のストーリーや各種イベントは最早「王道」を通り越して「古典」をプレイしているような感覚だった。

 

 

これは発売当時にリアルタイムでプレイしているか、それとも発売当時はまだ生まれてもいなかったか、など世代によって異なる感覚だとも思う。また同じ若者世代でも既に『ドラクエ』シリーズのファンがプレイするのであれば、「過去の偉大な作品」としての楽しみ方も出来る。ただ今まで『ドラクエ』シリーズに触れたことのない人たちの「初めてのドラクエ」としては、古典的なストーリーやアッサリとした各種イベント、無個性で喋らない仲間たちなどが物足りなく感じて「なんかドラクエって凄い人気あるからやってみたけど、やっぱり昔のゲームで今の感覚からするとそこまで面白くはないかな…」というネガティブな印象を与えてしまうのではないか、との不安がある。

 

 

そのため個人的にはグラフィック的にも、ストーリー的にも、仲間キャラクターの魅力的にも、値段的にも「初めてのドラクエ」なら『ドラクエ11』の方が純粋に面白く思って貰えるのではないかと感じた。最後に「本作が『ドラクエ11』で盛り上がった直後に発売されてたならな… 7年は空きすぎだよ…」と思わずにはいられなかった。

 

 

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