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『世にも奇妙な物語’21 秋の特別編』、桐谷健太主演「ふっかつのじゅもん」の『ドラクエ3』オチ

ドラゴンクエストIII そして伝説へ…

ネタバレ注意

『世にも奇妙な物語’21 秋の特別編』の「ふっかつのじゅもん」ではオチに『ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…』が使われた。

 

  • 「復活の呪文」とは…

『ドラクエ』シリーズは1・2作目は技術的な問題でセーブデータがなく、プレイ終了時に「復活の呪文」というパスワードを聞き、再開時にそれを打ち込むと続きから出来るというシステムが取られていた。これは自分からすれば面倒極まりないシステムだが、当時はセーブデータもなくマリオも毎回最初からやり直していた、みたいなエピソードを聞くと、当時の技術内でRPGを成立させようとした製作陣には頭が下がる。今回の『世にも〜』の「ふっかつのじゅもん」ではこのパスワードを打ち込むことで、かつて桐谷健太演じる主人公の嘘により亡くなってしまった同級生を救うための冒険が始まるという内容だ。

 

 

  • オチで『ドラクエ3』

ただこの同級生は現在の主人公の妻に告白する前日に亡くなったため、この子を救うと未来が変わって主人公の家族が消えてしまう可能性がある。そのため、主人公は同級生を救った後に「未来が変わってしまったかも…」と覚悟しながら家に帰るが、子供も妻も居て一安心。どうやら告白前日に川に落ちて亡くなるという過去は川に落ちて風邪を引いたに変わり、結果的にどちらにせよ告白が出来ないという運命は変わらなかったようだ。そうか、そうか、と感動モードに入っていると、妻が『ドラクエ3』のソフトを発見。そこで妻が「合コンで『ドラクエ3』の話題で意気投合して結婚しちゃったんだよね」と冗談めかしながらソフトを起動させる。すると「呪いの曲」がかかり、「冒険の書」が消えて主人公と妻の記憶がなくなり、お互い「誰?」と怯えるオチで終わる。

 

 

  • 『ドラクエ3』の「冒険の書」は消えやすい!?

この物語、『ドラクエ3』の「冒険の書」あるあるネタを知らないと「?」になりかねないが、『ドラクエ』シリーズは3作目からバッテリーバックアップにより、セーブが可能になる。そしてそのセーブをするのが「冒険の書」と呼ばれる書なのだが、これも時代の関係なのか当時は物凄くセーブしたデータが消えやすかったらしい。更に『ドラクエ3』では何を思ったか製作陣はデータが消えてしまった際に「呪いの曲」という呪われたアイテムを装備した際にかかる嫌な音楽を鳴らしながら「おきのどくですが ぼうけんのしょXばんは きえてしまいました。 」というメッセージを出す演出を施した。その結果、当時リアルタイムで本作をプレイした世代はソフトを入れた瞬間にこれまで積み上げてきたものが一瞬でなくなる恐怖を味わい、それがトラウマになった人も少なくないという。そして今回の『世にも〜』のオチではこの『ドラクエ3』の「冒険の書」が消えやすいトラウマあるあるを上手く使いながら、これまで2人が築き上げてきたであろう様々な事柄がゲームのデータのように一瞬で消えてしまったという残酷なオチに上手く落とし込んでいるのだ。

 

追記:SNSでの指摘で気づいたが『ドラクエ2』は「ふっかつのじゅもん」というパスワード方式故に打ち込み直せば何度でもやり直しが出来る一方で、『ドラクエ3』の「冒険の書」はセーブデータだから消えた段階でやり直しが出来ないというのをオチにしているのもかなりエグい。

 

 

  • 最後に…

今回の『世にも奇妙な物語』は久々に4本とも面白かったのだが、『ふっかつのじゅもん』だけでなく『スキップ』も『優等生』も『金の卵』も、それぞれの登場人物達がこれまでの人生で積み上げてきたであろうものがゲームのセーブデータみたいに一瞬で消えてしまうオチばかりで疲れた。個人的に『世にも〜』の魅力は怖い話から感動話、そして全力でバカをやるコメディ話が揃ってこそだと思うので、もう少しバランスを考えた構成にして欲しいと思った。