MCU最新作の『エターナルズ』と『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』のコラボ予告編が公開された。
- 2019年には『名探偵コナン』とコラボ
MCUの作品が日本のアニメ映画とコラボするのは初めてではなく、2019年の『アベンジャーズ エンドゲーム』と同時期公開だった『名探偵コナン 紺青の拳』と今回と同様のスタイルのコラボ動画に加え、アイアンマンとコナンが仲良く宣伝する様子が両作品の公式Twitterで発信されていたことが話題となっていた。
この背景には前年の2018年に公開された『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』の初週が公開3週目の『名探偵コナン ゼロの執行人』の週末動員数を下回り、初登場2位に甘んじたことから、一部のMCUファンから「世界中で『アベンジャーズ』が大ヒットしてる中で日本は探偵アニメに敗れるのか…」という趣旨でコナンサイドをディスるような発言をしたことで、両者のファンや作品を応援している人の間でちょっと微妙な空気が生まれる、みたいなことが起きたことが関係しているのではないか、という憶測がある。
現実問題、日本でのMCUの興行収入は世界的なヒットレベルと比較すると、やや盛り上がりに欠けるのは事実。その上、シリーズ作品が多く、その作品同士も複雑に絡みあっているため、「一見さんお断り」感も半端ない。そのため、ただでさえファン層は広げ難いのに、国民的ヒット作品のコナンに喧嘩を売っていると捉えてもおかしくないような一部ファンの発言が悪目立ちして、より敬遠されてしまったら溜まったものではない。それ故にMCUとコナンのコラボは宣伝スタッフがこれ以上ファン同士の空気を悪くしないために「周りは色々言ってるかもしれませんが、作品同士は仲良いんですよ」と週刊誌に不仲報道が出た有名人同士が仲良しアピールをするのに通じる戦略を取ったのではないか、という穿った見方をすることも出来る。
実際このコラボ動画そのものが興行に直接的に与えたプラスの影響はそこまで大きくないのだろうが、『エンドゲーム』は前作『インフィニティ・ウォー』が興行収入37.4億円だったのに対して61.3億円、『紺青の拳』は前作『ゼロの執行人』が興行収入91.8億円だったのに対して93.7億円と両作品共に興行収入を伸ばしている。
- 『SAO』との共通点は「はじまりの物語」
一方で今回の『エターナルズ』と『ソードアート・オンライン』シリーズのコラボ動画は、コナンとのコラボと違って唐突感はある。ただ両作品共は公開が同時期で、尚且つ「はじまりの物語」を描いているという共通点ある。MCU・SAO共に人気シリーズであり、何となく作品を認識して興味を持っている人も多いだろうが、既にシリーズ展開を重ねているが故に作品数が膨大にあり、今から観始めるとなるとハードルがかなり高い。
ただ今回は共に「はじまりの物語」なので、「MUCは観てるけどSAOは観てない人」や「SAOは観てるけどMCUは観てない人」がコラボ動画を通して、「今回は向こうも『はじまりの物語』なのか… それなら、他の作品よりは入りやすいイメージがあるし、観てみようかな…」と思ってくれる人が少なからずいることに、そこまではいかなくても片方から暫く離れていた人が久々に観るキッカケにならないだろうか、との期待をかけてのコラボだったのではないかと思う。勿論、純粋な相乗効果もあるだろうし、コナンに続いて2回目をやったということはそれなりに成功したという判断なのだろう。
- 最後に…
個人的にそれぞれの作品のイメージを壊さない範囲でなら、同時期公開作品がコラボして映画界全体を盛り上げていこう、みたいな宣伝は良いのではないかと思う。
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