100億円超確実宣言も「映画館休業要請」で大ブレーキ、8作連続シリーズ歴代最高興行収入更新叶わず/『名探偵コナン緋色の弾丸』

興行収入100億円超及び8作連続シリーズ最高興行収入記録更新を確実視されていた『名探偵コナン緋色の弾丸』がコロナ禍によって思わぬブレーキを踏まされた。

東京オリンピック同様に公開1年延期

公開日:2021年04月16日(金)

公開館:372館(497スクリーン)

配給:東宝

オープニング:22億1813万800円(3日間)

東京都・新規感染者:666人

最終興行:76.5億円

本作は青山剛昌による大人気コミックの劇場版シリーズ最新作。4年に一度開かれる世界最大のスポーツの祭典「WSG ワールド・スポーツ・ゲームス」東京開催が舞台の作品で、本来は2020年公開予定であったが、祭典のモデルである「東京オリンピック・パラリンピック」が1年延期されることと合わせたのか、東宝が毎年公開しているテレビアニメの劇場版シリーズの中で当時としては唯一の1年延期を発表した。

『再装填プロジェクト』で公開延期を強みに

そのため本作はタイトルと公開延期を掛け合わせた「再装填（リロード）プロジェクト」を実施し、1年延期となった2021年公開バージョンの予告編では当初の公開予定日から新たな公開予定日までの期間の日付を次々と見せ、コナンが「悪りぃ、待たせちまったな」と発言するなど、公開延期を逆手に取った宣伝を展開。更に本作公開前の2月には映画のキーパーソンとなる赤井ファミリーに焦点を当てたテレビシリーズ特別総集編『緋色の不在証明』を公開して興行収入12億円超えを記録するヒットとなり、期待を煽った。

100億円超確実宣言も「映画館休業要請」で…

その結果、本作のオープニング3日間の興行収入は22億円を超えてシリーズ歴代最高のスタートを記録。東宝も「シリーズ初の興収100億超円確実の大ヒットスタート」と鼻息が荒かったが、翌週から3回目の緊急事態宣言が発出され、東京・大阪・京都・兵庫の4都府県の映画館に休業が要請され大ブレーキ。この自粛は東京オリンピック開催のためのものという批判もあり、その大会をモデルにした本作にとっては皮肉ともなった。最終的に7作連続で更新していたシリーズ最高興収の記録もストップする関係者とファンには悔しい結果に終わった。