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2020年地上波放送映画視聴率レポート/大ヒットテレビ局製作映画『翔んで埼玉』『キングダム』が高視聴率!

2020年に地上波で放送された映画作品の視聴率についての解説エントリー。平均視聴率(関東地区)はビデオリサーチから引用。

 

 

  • 2020年視聴率上位10作品

 

第1位 翔んで埼玉 16.7%

翔んで埼玉

放送日:2020年2月8日(フジテレビ)

第1位は第43回日本アカデミー賞最多受賞作品でもある、興行収入37.6億円を記録した武内英樹監督の大ヒットコメディ映画『翔んで埼玉』のノーカット地上波初放送。視聴率は16.7%で、放送中はTwitterのトレンドランキング世界1位も記録した。同監督のヒット作品『テルマエ・ロマエ』シリーズ同様、繰り返し地上波で放送される作品として定着することも期待されたが、同年にメインキャラクターの一人を演じる伊勢谷友介氏が大麻取締法違反(単純所持)容疑で逮捕・起訴され、懲役1年執行猶予3年の判決が出たことから今後の地上波放送は難しいとされる。

 

第2位 キングダム 16.5%

キングダム(映画)

放送日:2020年5月29日(日本テレビ)

第2位は累計発行部数6400万部を超える大ヒットコミックスを日本テレビが実写映画化し、興行収入57.3億円を記録した『キングダム』。視聴率は16.5%で、『翔んで埼玉』と同じく放送中にTwitterトレンドランキング世界1位を記録した。本作の高視聴率の背景には「大ヒット作品の地上波初放送」「緊急事態宣言発出中による在宅率の高さ」に加えて、放送日の朝に「続編発表」をすることで注目度を高めたことにある。日テレは本作をシリーズ展開する予定で、映画興行と地上波放送の相乗効果が狙える「テレビ局製作映画」の本領を発揮する作品になると期待される。

 

第2位 となりのトトロ  16.5%

となりのトトロ [DVD]

放送日:2020年8月14日(日本テレビ)

『キングダム』と同率2位は『金曜ロードSHOW!』で「3週連続!夏はジブリ」の第一夜に放送された宮崎駿監督作品『となりのトトロ』。2年ぶり17回目の放送にも関わらず、前回放送時の視聴率14.0%から2.5ポイント上昇する視聴率16.5%を記録。第二夜の宮崎吾朗監督作品『コクリコ坂から』も3回目の放送で11.4%、第三夜の米林宏昌監督作品『借りぐらしのアリエッティ』も4回目の放送で視聴率10.6%と前回放送時の視聴率一桁から二桁への回復を見せており、ジブリブランドの強さを再認識させられた。

 

第4位 天使にラブ・ソングを… 15.2%

天使にラブ・ソングを・・・(吹替版)

放送日:2020年5月15日(日本テレビ)

第4位は『金曜ロードSHOW!』の「見たい映画リクエスト」企画第1弾に選ばれた『天使にラブ・ソングを…』。本作は新作とのタイアップ放送でもない1992年公開の比較的古めの作品にも関わらず、15.2%の高視聴率を記録したこと自体も話題となった。

 

第5位 塔の上のラプンツェル 14.7%

塔の上のラプンツェル(吹替版)

放送日:2020年5月1日(日本テレビ)

第5位はディズニー映画『塔の上のラプンツェル』で視聴率は14.7%。本作の特筆すべき点は地上波初放送時の視聴率が8.5%と一桁だったにも関わらず、2回目の放送で11.7%と二桁を突破して、3回目の放送で12.6%、そして今回の4回目の放送で14.7%と放送を重ねるごとに視聴率を伸ばしていることにある。

 

第6位 バック・トゥ・ザ・フューチャー 14.5%

バック・トゥ・ザ・フューチャー (吹替版)

放送日:2020年6月12日(日本テレビ)

第6位は『金曜ロードSHOW!』の「見たい映画リクエスト」企画第2弾に選ばれた『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの1作目。3週連続で放送され、1作目が14.5%、2作目が12.4%、3作目が11.2%と3週連続二桁の高視聴率を獲得した。一方で本シリーズの放送の翌週に「デロリアン繋がり」を強く打ち出す宣伝がされたスティーブン・スピルバーグ監督作品『レディ・プレイヤー1』の地上波初放送は9.8%と惨敗。また「見たい映画リクエスト」企画第3弾の『E.T.』は9.4%、『プラダを着た悪魔』は9.5%と一桁が続き、決して順風満帆という訳でもない。

 

第7位 名探偵コナン 紺色の拳 13.9%

劇場版名探偵コナン 紺青の拳 (豪華盤) (BD+DVD2枚組) [Blu-ray]

放送日:2020年4月17日(日本テレビ)

第7位は劇場版シリーズ歴代最高興行収入93.7億円を記録した大ヒット作品『名探偵コナン 紺色の拳』の本編ノーカットテレビ初放送。劇場版最新作『名探偵コナン 緋色の弾丸』公開記念のタイアップ放送だったが、同作は緊急事態宣言発出により公開延期となった。同劇場版シリーズは同年、本作以外にも『名探偵コナン 瞳の中の暗殺者』が10.3%、『名探偵コナン 純黒の悪魔』が12.5%、テレビアニメのスペシャル版の再放送である『名探偵コナンエピソード"ONE"小さくなった名探偵』が10.4%、『江戸川コナン失踪事件〜史上最悪の二日間〜』が10.5%とそれぞれ視聴率二桁以上の高視聴率を記録している。

 

第8位 ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 13.2%

ミッション:インポッシブル/ ローグネイション (字幕版)

放送日:2020年5月9日(フジテレビ)

第8位はトム・クルーズ主演の大ヒットスパイ映画『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』で視聴率は13.2%。地上波では2回目の放送だったが、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』公開記念タイアップとして初放送された時の視聴率11.5%を上回る結果となった。こちらも時期的に緊急事態宣言発出により在宅率が高かったことがプラスに働いたと考えられる。

 

第9位 魔女の宅急便 12.9%

魔女の宅急便 [DVD]

放送日:2020年3月27日(日本テレビ)

第9位は宮崎駿監督作品『魔女の宅急便』。『となりのトトロ』に次いで2作目のランクインで視聴率は15回目の放送にも関わらず12.9%と高視聴率を記録。前回放送時の12.5%から0.4ポイントのアップとなっている。宮崎駿監督作品は同年上述した2作品以外にも『ルパン三世 カリオストロの城』と「マスクをしないと生きられない世界で、一人の少女が未曽有の危機に立ち向かう―。」とコロナ禍の現在と重ねる宣伝がされた『風の谷のナウシカ』が放送されており、両作品共に視聴率10.2%と二桁を記録した。

 

第10位 トイ・ストーリー3 12.6%

トイ・ストーリー3(吹替版)

放送日:2020年5月8日(日本テレビ) 

第10位はディズニー・ピクサー作品の人気シリーズの第3弾『トイ・ストーリー3』。3年連続5回目の放送にも関わらず視聴率12.6%と地上波初放送時の12.8%に肉薄する高視聴率を記録。これだけの人気作品にも関わらず、前年のシリーズ最新作『トイ・ストーリー4』の公開記念タイアップ放送時の放送時間が22:15から翌日の0:20と不遇な扱いだったのは未だに謎。同年は同枠で『トイ・ストーリー』が9.4%、『トイ・ストーリー2』が10.8%とそれぞれ一定の視聴率を記録し、人気シリーズの底力を見せつけた。

 

  • アニメ、ジブリ・ディズニー・コナン以外は…

映画「聲の形」

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

上述した作品以外のアニメ映画の視聴率は日本テレビでは『リメンバー・ミー』11.3%、『美女と野獣』11.6%、『聲の形』9.6%、『打ち上げ花火 下から見るか?横から見るか?』7.4%、『ルパン三世 THE FIRST』9.1%、『怪盗グルーのミニオン危機一発』7.8%、テレビ朝日では『ドラえもん のび太の月面探査記』5.2%、『クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜』4.4%、『STAND BY ME ドラえもん』7.5%、テレビ東京では『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』2.3%とジブリ作品・ディズニー作品・『劇場版名探偵コナン』シリーズ以外は視聴率一桁と基本的に厳しい結果。勿論、ジブリ作品・ディズニー作品にも『思い出のマーニー』7.6%、『モアナと伝説の海』6.4%と視聴率一桁作品も存在する。

 

  • 実写邦画、地上波初放送で明暗分かれる

マスカレード・ホテル

コンフィデンスマンJP ロマンス編

上述した以外の実写邦画の地上波初放送の視聴率は日本テレビでは『十二人の死にたい子どもたち』6.3%、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』7.7%、フジテレビでは『マスカレード・ホテル』12.4%、『今夜、ロマンス劇場で』9.6%、『コンフィデンスマンJP  ロマンス編』11.7%、『疾風ロンド』7.7%、『暗殺教室〜卒業編〜』4.9%、『今日も嫌がらせ弁当』8.4%、テレビ朝日では『劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜』4.5%、TBSテレビでは『スマホを落としただけなのに』6.2%、『チア・ダン・女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話』9.3%と一部のヒット作品を除けば基本的に一桁。テレビ局製作映画の興行兼視聴率の打率はフジテレビ映画が高い傾向にある。一方でTBSテレビ製作映画は興行的ヒットの割に視聴率は振るわない印象だ。

 

  • 実写洋画、地上波放送は基本一桁

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

オリエント急行殺人事件 (字幕版)

上述した作品以外の実写洋画の地上波初放送の視聴率は日本テレビでは『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』8.7%、『ブラックパンサー』6.0%、『名探偵ピカチュウ』11.8%、『オーシャンズ8』9.7%、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』10.9%、『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』10.3%、フジテレビでは『ランペイジ 巨獣大乱闘』8.2%、『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』7.7%、『トレイン・ミッション』6.1%、『ジャングル・ブック』9.7%、『 MEGザ・モンスター』8.7%、『マッドマックス怒りのデス・ロード』8.0%、『オリエント急行殺人事件』8.4%、『スカイスクレイパー』5.8%、『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』6.9%と3作品以外は視聴率一桁でランキンギトップ10にはランクインしない惨敗ぶり。とはいっても、昨年は新型コロナウイルス感染拡大により実写洋画公開作品が軒並み公開延期となり、タイアップ放送が少なかったというのも影響しているのかもしれない。

 

  • 『鬼滅の刃』総集編が高視聴率

ピアノミニアルバム 劇場版「鬼滅の刃」無限列車編

今日から俺は!!劇場版

映画作品ではないが国内興行収入歴代1位のメガヒット作品となった『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編集長』公開記念タイアップとして放送されたテレビアニメ版の特別総集編『「鬼滅の刃」第一夜<兄弟の絆>』が16.7%、『「鬼滅の刃」第二夜<那田蜘蛛山編>が15.4%、『「鬼滅の刃」<柱合会議・蝶屋敷編>』が14.4%とそれぞれ高視聴率を記録。今後放送されるであろう劇場版の地上波初放送が、どこまでのパフォーマンスを見せれるか今から期待がかかる。また劇場版公開記念のスペシャル番組タイアップ放送としては『今日から俺は!!スペシャル』も11.2%と高視聴率を記録。『今日から俺は!!劇場版』は興行収入53.7億円と2020年度実写邦画No. 1ヒットを記録しているため、今後地上波で放送される際には高視聴率が期待できるが、同年にメインキャストの一人を演じる伊藤健太郎氏が自動車運転処罰法違反(過失致傷)と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で逮捕されたことから、地上波での放送自体が難しい可能性がある。

 

  • 最後に…

2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で映画作品の公開延期が相次ぎ、本来の放送を予定していたタイアップ作品からの変更も多かったという。テレビ局製作映画の大ヒット作品『翔んで埼玉』と『キングダム』が高視聴率を獲得したことは良かった。

 

  • 参考記事

翔んで埼玉:話題の“埼玉ディス”映画 地上波初放送視聴率16.7% - MANTANWEB(まんたんウェブ)

キングダム:地上波初放送の視聴率は16.5% 世界トレンド1位を獲得し大盛り上がり - MANTANWEB(まんたんウェブ)

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