ネタバレ注意
ディズニー・ピクサー最新作『バズ・ライトイヤー』を観た。
You've got a friend, we have the seats. 🤠 Get this exclusive art at The Andy Experience early access screenings today! Tickets are now available: https://t.co/MAxL09V0iG pic.twitter.com/a07b1pKVWf
— Pixar's Lightyear (@PixarsLightyear) 2022年6月15日
本作は「1995年、子供時代のアンディがバズのおもちゃを所有する前に観た映画」という立ち位置の作品。驚いたことに、これは宣伝のための立ち位置ではなく、本編冒頭でも明確に示される。またアメリカでは先行チケット購入でアンディがおもちゃたちと一緒にバズの映画を観ているイラストが特典として配布されたのだという。なんというか物凄く「あざとさ」みたいのを感じる作品だ。それにも関わらず、声優はアメリカ・日本共に『トイ・ストーリー』のバズ・ライトイヤーとは異なる。
『バズ・ライトイヤー』なぜクリス・エヴァンスに声優交代? 製作陣が意図を明かす | THE RIVER
— ゴミ雑草 (@mjwr9620) 2022年7月1日
→ 今回はバズ・ライトイヤーの映画ですから、まず第一に別人が演じる必要があったんです。おもちゃではないライトイヤーですから
うーん…#バズライトイヤー https://t.co/Zd1umlSf3t
その理由を製作側は「おもちゃのライトイヤーではないから」と説明している。しかし、それではあの世界のバズのおもちゃはボタンを押すと出てくる音声と映画の世界のバズの声が異なるということなのだろうか?あのバズはテレビCMをやってたくらいだから、正規品であることは間違いないと思うが、もし自分がバズの映画を好きになって買って貰ったおもちゃの声が別人だったらやや興醒めだ。またバズの声に関してはおもちゃのバズと『トイ・ストーリー2』冒頭のゲームの中のバズの声も一致していた。本作があの世界でも3DCGアニメなのか実写作品なのかは定かではないが、バズ役の人はおもちゃやゲームに声を吹き込むことには非協力的なのだろうか… 特典のイラストにしろ、ややアンディを美化し過ぎというか、なんか「こういうの好きなんでしょ?」みたいに言われてるようで気分が悪い。
作品のメッセージ自体は結構好きだったりする。ただザーグの正体が「もう1人の自分」というのは、『トイ・ストーリー2』と矛盾する上に、理屈的にもよく分からなかったし、それでいてアリバイ作りのように「父さん?」みたいなセリフがあるのも「何だかな…」という感じ。バズが過去をやり直さない理由も現メンバーにそこまで魅力もなければ、彼ら彼女らとの絆が丁寧に描かれてた訳でもないので「そんなにアイツらが好きになったのか、バズ・ライトイヤー?」と説得力が薄い。『スター・ウォーズ』『スタートレック』といったSF作品のオマージュだけでなく、カラーコーンなど本家『トイ・ストーリー』ネタが満載なのは分かるが個人的にはあまり乗れなかった。またドッグファイトに関しては公開タイミングが『トップガン マーヴェリック』の直後だったというのも不幸だったとも思う。
そんなこんなで終始「うーん…」みたいなことを思いながら観た作品。正直「虚無感」も大きく、良くも悪くも「怪作」だった『トイ・ストーリー4』が懐かしく感じた。何だかピクサーらしからぬスピンオフ映画の枠組みを超えることのない平凡な映画になってしまったのように思えた。一層のこと「アンディが子供の頃に観た映画」ではなく「アンディが子供の頃に観た映画が2022年にリメイクした作品」みたいな立ち位置にして欲しかった。何はともあれ作中劇を本編化するのはとてつもなく難しいことなのだな、と再認識した。
- 【追記】
『Lightyear』論争についてティム・アレンが答えています。「この作品と私は何の関係もない」「私はおもちゃの、エヴァンスはアニメ化された人間の声を当てている」「良い映画だがバズとは何の関係もない。繋がりがあれば良かったのだが」
— 元編集長の映画便り (@moviewalker_bce) 2022年7月2日
「最初の4本(ラセターを意味する)とは全く関係のない、別のチームによる映画だ」「『トイ・ストーリー』映画の魅力の一つは本当にバディフィルムであることだ。バズはウッディ抜きにはありえない」とhttps://t.co/JiXILCGJGV
— 元編集長の映画便り (@moviewalker_bce) 2022年7月2日
- 関連記事