ネタバレ注意
『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』の「フサエブランド」と「宮野志保時代の灰原哀への人種差別に伴うイジメ」の掘り下げ。
- 灰原哀「私も米国で東洋系の顔でイヤガラセ」
『黒鉄の魚影』では「フサエブランド」と「宮野志保時代の灰原哀への人種差別に伴うイジメ」について描かれるが、このエピソードが原作で登場するのは40巻。阿笠博士の初恋の相手からの手紙の暗号を解いて約束の場所に会いに行こうというストーリーだが、その際に博士は彼女の髪の色が金髪でそれを隠すために日常的に帽子を深く被っていたことを思い出し、その話を聞いた灰原哀が「私もアメリカにいた頃、東洋系のこの顔でイヤガラセをされてた」と彼女の気持ちに理解を示すシーンが描かれていた。本作では灰原哀がアメリカでイジメられ始めたキッカケが同じく日本人の血が入っていたことでイジメられていた直美・アルジェントを助けたことだった、ということが明かされた。というか、付け足された。だから今回の人種差別のエピソードは一部ネットで言われているような取ってつけた社会性エピソードとかではない。むしろ直美・アルジェントが老若認証システムで最初に宮野志保を探そうとしていたという展開と原作のエピソードを上手く結びつけたな、と感心した。
- 阿笠博士の初恋回で残った謎
原作の話に戻ると、博士の初恋の相手こそが「フサエブランド」の創業者兼社長で、小学生時代に周囲とは異なる金色の髪を気にしていたが、博士が「ボクは好きだよ…、イチョウの葉っぱみたいできれいじゃないか!」と褒めたことでコンプレックスが解消されたという過去を持つ女性。そのため、博士に好意を寄せているが、コナンや灰原を博士の家族だと思い「もう彼は私のことなんて忘れて、結婚して幸せになったんだ」と誤認して自身の気持ちにケリをつけようとする。しかし博士から「今でもイチョウは大好きですよーー!!!」と別れ際に声をかけられたことで、自分を覚えていてくれたことを喜び、また再開する日を望む、みたいなコナンらしい「幼馴染のラブコメ展開」が描かれていた。ただほのぼの回に見せかけて、フサエと運転手の2人だけが乗る車に、コーヒーの湯気具合から食べた直後と推測される3人分のファーストフードの残りにコナンが注目し、そのまま特に回収されない、など意味深な回でもあった。
以下原作102・103巻のネタバレ
- フサエの運転手・ビリーの正体は…
またこの回ではフサエの運転手のビリーに対して「(フサエの)母の再婚相手の友人」「妻はフサエブランドの大ファン」との説明がなされる。またビリーは10年に1回博士との約束の場に向かうフサエから「ま、また、10年後もお願いしようかしら…」と頼まれた際に「いや… たぶん、次に会うのは… そんなに時間はかからないんじゃないかな…」との返答をしている。これも普通に読めば「博士とフサエは両思いなんだから、次会うのは10年もかからないと思うよ」という温かいラストだが、原作102巻で登場する黒い怪しげな車に乗る謎の老人の運転手がビリーに似ていたことから「裏の意味があるのでは…」と最近は邪推されている。また『黒鉄の魚影』ではベルモットがフサエブランドのファンであることが匂わされていたが、この描写が「ビリーのフサエブランドの大ファンの妻=ベルモット」と深読みする者もいる。ここまで来ると「本当かよ」という気もしてしまうが、灰原哀のアメリカ時代のイジメエピソードと同じ回から引っ張ってきていることから、有り得ない話でもないのかな、と思う。ただ103巻で運転手の眉毛がないことやサングラスが違うことなどから「別人では?」との指摘もある。まー、ここら辺は今後の原作の展開を待つしかないし、違ったら赤っ恥という感じだ。
- 最後に…
脚本家の櫻井武晴さんはインタビューの内容的に深読み歓迎みたいな感じだったけど、どこまで想定しているのか…
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