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【『ゴジラ−1.0』ネタバレ感想】銀座のシーンで「多くの人が見たいゴジラ」を映像化する「山崎貴監督作品らしさ」

【映画パンフレット】 ゴジラ-1.0 GODZILLA -1.0 監督:山崎貴 出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介 マイナス ONE

山崎貴監督『ゴジラ−1.0』の銀座シーンからは物凄い「山崎貴監督作品っぽさ」を感じた。

 

 

SNSでは本作の銀座シーンは高く評価されている印象を受ける。一方で「思ったよりマイナス感はない」との評価も一定数ある。実際ゴジラが銀座に上陸するシーンはシリアスな音楽がバックだった予告編とは異なり、ゴジラのお馴染みのメインテーマが流れ、マスコミによる「今、我らの日劇がゴジラによって!」みたいなテンション高めのリポートも相まって「観客に絶望を与える演出」というよりは「観客を楽しませる演出」が施されていたように感じた。観客側もあの熱戦シーンまでは「頼むからこれ以上破壊しないで…」というよりは「どんどん破壊してくれ!」と楽しく観ていた人の方が多いのではないだろうか。

 

 

個人的にも山崎貴監督が西武園ゆうえんちの『ゴジラ・ザ・ライド』の演出もしていることもあって「アトラクション感」すら感じたし、本作のゴジラにリアリティは感じず何処か「作り物」というか「見せ物」感を覚えた。ただそれは決して否定的な意味ではなく山崎貴監督の代表作『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズが「リアルな昭和」を再現するのではなく「その時代を知らない人を含めた多くの人が頭の中でイメージする懐かしい昭和」を再現したように、本作では「多くの人が見たいゴジラ、多くの人がイメージするゴジラ」を映像化したのだろう。そしてそれは山崎貴監督の作家性でもあるのだと思う。多分『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』はそれが空回りした。その意味では「現代日本にゴジラが現れたら」をリアリティあるシミュレーションでやった『シン・ゴジラ』とは対照的な作品だったともいえる。

 

※『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの阿部秀司プロデューサーは『広告』2007年6月号で「みんなの頭の中にある、なつかしさのイメージが細部に込められて、作品ができた」と発言(市川孝一「昭和 30 年代はどう語られたか“昭和 30 年代ブーム”についての覚書」から孫引き)

 

※『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』は敵の「大人になれ」発言が切り取られることで誤解を受けているが、実際は「ゲームをしている時間ももう一つの現実」というメッセージを放っている

 

 

そのため『ゴジラ−1.0』は山崎貴監督っぽさを存分に味わえる「山崎貴監督のゴジラ」という感じで個人的には(ある種のスイッチを切り替えた後は)非常に楽しめた。

 

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