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【ネタバレ】『サイバーパンク2077:仮初めの自由』4つのラストと「塔エンディング」でのタイトル回収のやり切れなさに酔い痴れる

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世間的には少し遅れる形で『サイバーパンク2077:仮初めの自由』4パターンのエンディングとそれに伴う「塔エンディング」をクリアした。

 

  • ソングバードの月エンドに酔い痴れる

『仮初めの自由』では中盤以降に「ソングバードとリードのどちらを裏切るか」の選択が迫られ、大きく2パターンの展開に分岐する。更にソングバードと共に行動すると最終的に「ソングバードを月に打ち上げるためにリードを殺す、もしくはリードにソングバードを引き渡す」の2択が迫られ、またリードと共に行動をすると「ソングバードの希望を尊重して、彼女を殺すか、もしくは生かすか」の2択が迫られる。そのため『仮初めの自由』は全部で4パターンのエンディングが用意されている。そんな中「女性に騙されたい欲求」のある自分はソングバードと共に行動をすることを選択。案の定、ソングバードはVのことを騙していたことが発覚するが、彼女の「月に行って自由になりたい」という想いとNetflixアニメ『サイバーパンク エッジランナーズ』のルーシーの夢を重ねてしまい、彼女にメチャクチャ肩入れした状態でリードと再開。この際、自分はリードからの「止まれ」を無視して突き進んだ結果、彼にいきなり銃殺されて困惑。「コイツ、結構簡単に撃ち殺してくるな!」と驚き、その後ソングバードを月に送る方向で合意形成を取ろうと慎重に選択肢を選ぶと再び銃殺。こうなると流石に「やってられない」と想い、次はリードを撃ち殺して、ソングバードを月に向かう宇宙船に乗せて出発させてエンディング。本編の「悪魔エンド」の自分の境遇と重ねながら「彼女は最後に自分の意思で夢を叶えたんだ…」「でもそれは『仮初めの自由』でしかない…」とメチャクチャカッコいいエンディングと英題の『Phantom Liberty』の文字を見ながら噛み締めた。普通に泣きそうだった。「もう他のエンディングは見たくない」とすら思った。ただこのエンディングでは本編の追加エンディングが見れないことを知り、仕方なくロード画面から過去データを引っ張り出して、リードにソングバードを引き渡す選択も決行。「なんで彼女を渡さなきゃいけないんだ…」と納得度はかなり低かったが、「彼女はこの世界で生きたところでもう『仮初めの自由』しか手に入らないじゃないか…」と気づいた時に「これもまたタイトルの通りじゃないか」と感銘した。

 

 

  • 生きても死んでも夢を叶えても「仮初めの自由」

次に「どうせならリードと共に行動するバージョンもプレイしておこう」とソングバードを裏切る選択を決行。するとソングバードパートでは「国家の犬め」としか思えなかったリードが、彼女のことを本気で救おうとしていることが伝わってきて、如何に自らが一面的な見方で自分の行動に酔い痴れて愚かな行動をしたのかが理解できて、恥ずかしくなる。知り合ってから大した時間の経っていない自分よりも、リードの方が遥かにソングバードのことを真剣に思っていたことを理解する。これを知ってからだとリードを撃ち殺す選択は中々選べない。何やかんなで終盤までプレイすると今度はソングバードから「私を殺して…」と頼まれる。彼女は最早この世界を生きたところで待っているのは地獄、もちろん「どんな辛い状況でも生きていれば必ずチャンスはある」などと綺麗事を言うのは容易いが、ナイトシティを生きる人間として、彼女の意思を尊重する「殺す」を選択。ただやはり彼女も本当は「生きたかった」はず。現に自分はソングバードパートで彼女の夢を聞いていた。そう思うと彼女にとって「死」は「この世からの自由」であってもやはり「仮初めの自由」。リードの寂しそうな後ろ姿にもやり切れなさを感じた。「もうここまで来たらやるしかない」とソングバードを生かす選択もしたが、大統領が「彼女を救えても君に連絡できない」「君のことはいつも監視しているよ」など不適なことを言っていたことも踏まえると、仮に彼女の肉体が助かっても精神的な自由を手に入れることは容易ではなさそう。こうなるとここでも「仮初めの自由」と本作のタイトルが頭に浮かぶ。生きる道を選んでも、死ぬ道を選んでも、仮に夢を叶えたとしても、得られるのは「仮初めの自由」のみ。如何に「この世界がディストピアで個人が尊重されていないのか」を思い知らされた。

 

 

  • その他大勢として生きて行く「塔エンディング」

『仮初めの自由』では選択次第では本編の追加エンディングもプレイすることができる。そこではVは手術に挑むも2年間眠り続けて、戦闘能力は完全に失うという代償を払わされる。性別や選択肢次第で人間関係はプレイヤーそれぞれだろうが、自身の恋人に連絡をしても返答がない。「2年という時間眠っていたことで、色々変わってしまったこと」を嫌でも実感させられた。そんな中で変わらず電話に出てくれたのが、ヴィクターだった。しかし彼の店は企業と提携しており、2年前とは様変わり。そこで彼は「それでも好きなことは出来ている」と笑うが、ここにも「色々と妥協しながらも好きな仕事は出来ている」という「仮初めの自由」を感じた。それ故に彼とは握手をして別れた。周囲が変わっていってしまった中で、2年前と同じように自分と会ってくれたことへの感謝の気持ちも大きかった。店を出ると不良に絡まれ、これまでのように肉体的手段で解決しようとするも、通用せずボコボコにやられてしまう。これまでは相手が銃で脅してきても、その銃を奪い取り実力の差を分からせるプレイをしてきた自分にとっては失ったモノの大きさを実感させられたし、力があることによってもたらされていた精神的余裕もなくなり、不安感が襲った。ゲームに入り込みすぎである。ただそれ故にミスティとの再会は心の底から嬉しかったし、彼女の「他の普通の大勢みたいに銃撃があったら逃げて隠れれば良い」みたいなアドバイスは心底沁みた。彼女との別れの後にナイトシティで好き勝手暴れて伝説になることを望んでいたVが、その他大勢の中に溶け込むラストは複雑な気持ちで見た。これは決してハッピーエンドではない。しかしバッドエンドでもない。企業の犬にならず途中で命が尽きることを分かっていながらも自らの意思で地球に戻ることを選択する「悪魔エンド」及び月にたどり着く前に死ぬことが分かっていても夢を叶えようとする「ソングバードの月エンド」、要は「どう生きるか」より「どう死ぬか」が好きな自分にとっては、惨めな状況に陥ってもこの世をその他大勢として生き続ける選択は受け入れ難くもしんみりさせるものがあった。この生き方もVにとっては「仮初めの自由」なのだろう。

 

 

  • 最後に…

それとは別に最後の最後で「塔エンディング」のVの腕にスナイパーライフルが突き刺さっているバグが起きたのは本当に最悪。ミスティの手を取る時も、彼女を抱きしめる時も、その他大勢の中に溶け込む後ろ姿のラストショットも腕にスナイパーライフルが突き刺さってて折角のエンディングが台無しだった。次回作があるならバグは本当に何とかして欲しい。Vが敵からのダメージを受けない無敵状態になったせいで、数時間分やり直しが生じたのもキツかった。面白いゲーム故にかなり残念だった。

 

 

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