SNSではテレビドラマ『あなたがしてくれなくても』の最終回の展開の賛否が割れている。
本作は「セックスレス」をテーマにした漫画のテレビドラマ化作品。原作は未完故に最終回のみドラマオリジナル展開となっている。本作の否定派意見に多いのが最終的にみちが陽ちゃんとヨリを戻した展開。「新名さんと再婚して子供を作って欲しかった」「全員自律エンドが良かった」「みちは陽ちゃんとセックスレスだったから別れたんじゃないの?」「子供欲しいみたいな話はどうなったの?」「結局みちは新名夫妻の家庭を壊しただけじゃん」「これまでの話なんだったの?」「最終回の新名さんのセリフ回しや行動が全部キモい」などが主な意見。
ただ新名夫妻の関係性については誠が仕事を優先し続ける楓に愛想を尽かしたことで破綻したのであって、実はみちと「戦友」云々の話は本質的には関係ない。またみちが新名さんのプロポーズを断った点も、みちは社員旅行での件以降は基本的に新名さんのことを「戦友」としてしか見ておらず、彼のことを振ったのも自然な流れではあった。また「セックスレスが解決していない」という点はその前の段階で「求められる方も大変だよね」「陽ちゃんの気持ち考えられてなかった」みたいな脳内ナレーションで自己解決していたし、「子供を作りたい」みたいな話も離婚後に「1人で生きていく」と決心してた以上、彼女の中で優先順位がかなり下がっていたことは明らかだろう。(そもそもみちが陽ちゃんに愛想を尽かした理由は「子供できないから」ではなく「子供欲しくないのに自分と一緒にいたいから話を合わせていた挙句に、更にその場凌ぎで「子供作ってもいい」とか言い始めたから)また「これまでの話なんだったの?」系の批判も「まー、人生一回距離置いてみたら、やっぱり…」みたいなこともあるので「彼女はそういう選択をした」以上も以下もないのだろう。
本作のエンディングを見る限り、みちにとって「あなた(陽ちゃん)がしてくれなくても(あなたとずっと一緒にいたい)」エンド。「影絵」の描写は「陽ちゃんを傷つけたくないから新名さんとの関係を黙っていたみち」、「本当は子供欲しくないのにみちとずっと一緒にいたいから話しを合わせてた陽ちゃん」という「お互い本音を表に出さないことですれ違ってしまった者同士が『影』を通してお互いの気持ちを再確認する」的な演出だろう。
「新名さんがキモい」に関しては前から相手の予定とかを確認せずにプラネタリウムを予約する、みたいな一方的に話を進める厄介さがあったとはいえ、いきなりコイントスを持ちかけて元妻の前でみちへの想いを告白するなど「最終回のオリジナル展開だから、ちょっと無理してまとめたのかな」と苦笑いさせられたのは事実。「特別編」とかやらないで全12話でもう少し丁寧に各キャラの心理描写をやってくれればな、と思わなくもない。
最後にみちの選択に批判も多い本作だが、そういう人は最終回の冒頭を見返して欲しい。一人暮らしをしてるみちの家に「アイツ許せない!」と逃げ込んできた後輩を追ってきた彼氏をみちが追い返そうとすると、後輩は彼氏の元へ戻りイチャイチャし始める。それを窓越しにみたみちは「バカヤロウ」と呟く。つまりそういうこと。陽ちゃんも流されやすいから、後輩同様に暫くすれば子供を作って幸せな家庭を築いているかもしれない。
- 関連記事